
「健康のために“何をどれだけ食べるか”がこれまでは強調されてきましたが、最近の研究では“いつ、何を食べるか”がとても重要だとわかってきました」
そう語るのは、体内時計を考慮した栄養学である「時間栄養学」で美と健康をサポートする管理栄養士の望月理恵子さん。
「1日24時間の地球の自転に合わせて、私たちの体に備わっている体内時計も生体リズムを刻んでいます。このリズムに合わせて血流や体温などを調節する自律神経や内臓の働きが、活発になったり静かになったり変動します。それぞれの臓器の働く時間に応じて摂取するタイミングを意識的に変えることで必要な栄養分がしっかり消化吸収されやすくなるのです。
たとえば、ヘルシーなイメージがある和定食ですが、みそ汁、干物、漬物と、実は塩分が多めなのが難点。尿と一緒に塩分を排出してくれる腎臓は、18時以降に活発に働き、塩分を排出します。血圧を気にする人が、塩分多めの和定食を食べる際は夜のほうがオススメなのです」(望月さん、以下同)
■高血圧を気にする人がカルシウムを効果的にとるには
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ひとつの食材に含まれる多種多様な栄養素には、それぞれ効果を高める時間帯があることを知っておくのも大切だ。
「ヨーグルトは、タンパク質が多く含まれているため朝に食べることで体温を上げてくれます。また乳酸菌が腸のぜん動運動を活発にして消化吸収をサポートし、自然な排便を促します。便秘がちな人は、朝食にヨーグルトを食べるのがオススメ。その一方、ヨーグルトに含まれるカルシウムは骨の強化に加えて血圧を下げる効果が。実はカルシウムは夕方以降に体内に蓄積されやすくなります。突然死につながる高血圧を気にする人は、夜食べることでカルシウムのより高い効果が期待できます。
またタンパク質が豊富な納豆も、朝食べることで体温が上昇。冷えが改善され代謝も高まり、脂肪が燃えやすくなりますが、他方で、納豆のネバネバに含まれ、脳梗塞や心筋梗塞の原因になる血栓を溶かす『ナットウキナーゼ』は夕食にとることで睡眠時や早朝の血栓予防の効果が期待できます」
自分の体調に耳を傾け、気になる不調の改善効果が期待できる栄養素を適切な「時間帯」にとることが大切だ。そこで、冬に多い脳梗塞や心筋梗塞など血管トラブルによる突然死を防ぐ、食材やメニューの最適な時間帯をクイズ形式で紹介しよう!
【Q1】世界的にもヘルシーと人気の「和食」を食べるのはいつがいい?
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【A1】漬物やみそ汁、塩鮭や干物など塩辛い和食は夜がオススメ。塩分を尿と一緒に排出する腎臓は18時以降に活発に。夜に塩分(ナトリウム)を排出してくれる。答えは・夜
【Q2】脳梗塞の原因になる血栓を予防する「ナットウキナーゼ」が多い納豆は?
【A2】血栓は睡眠中にできやすい。夕食に納豆を食べることで、血液をサラサラにするナットウキナーゼが夜間に働いて血管が詰まることを予防し、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ。答えは・夜
【Q3】血圧を下げる作用もある「カルシウム」が多いヨーグルトは?
【A3】骨の強化だけでなく血圧を下げるカルシウムは、夕方以降、体に蓄積されやすくなる。またおなかがすき始めたほうが吸収率もアップ。正解は、夕食の1〜2時間後がグッド!答えは・夜
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【Q4】健康効果が高いトマト。突然死を招く動脈硬化を防ぐにはいつ食べるのがいい?
【A4】血管の老化(動脈硬化)を早める活性酸素。トマトに多い抗酸化物質リコピンが活性酸素の害から血管を守る。朝はリコピンの吸収率がもっとも高まる。答えは・朝
【Q5】血管をしなやかにする効果が知られるサバ缶やツナ缶は?
【A5】魚油の有効成分であるオメガ3系脂肪酸で血流を改善して血管の健康を保つ「EPA」は、朝に吸収率が高くなる。朝食にツナサンドやサバ缶茶漬けがオススメ。答えは・朝
【Q6】フルーツのなかでも塩分の排出効果が高いキウイは?
【A6】過剰な塩分を排出して血圧をコントロールするカリウムの含有量がフルーツでもトップクラスのキウイ。塩分が体内にたまりやすく、排出されにくい朝にとるのがいい。答えは・朝
【Q7】血管の健康によいアサリたっぷりのボンゴレパスタは?
【A7】アサリなど魚介類(シジミやサンマなど)やのりに多く、血管をつくるときに不可欠で動脈硬化を予防するビタミンB12は午後の早い時間に吸収率が高くなる。貧血予防にも。答えは・昼
【Q8】食物繊維が豊富なきのこ料理は?
【A8】血管を傷つける血糖値の急上昇を抑えるのがきのこ類に豊富な食物繊維。夜は血糖値が上がりやすい時間帯。昼食にきのこ類をとることで夕食時の血糖値の上昇を抑える。答えは・昼
【Q9】脂っこいラーメン、唐揚げ、天丼、カツ丼は?
【A9】突然死のリスクを高める肥満を気にして脂っこいものを避けている人も。昼は脂質の代謝がよく蓄積されにくいタイミング。脂溶性のビタミンA、D、E、Kを一緒にとると血管の老化を防ぐ効果がアップする。答えは・昼
【Q10】カテキンが健康にいいという緑茶は?
【A10】夕食時に飲むと緑茶のカテキンの働きで食後の血糖値抑制効果が高い。カフェインを飲むと眠れなくなる人は要注意だが、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、突然死の引き金となる動脈硬化も予防する。答えは・夜
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