相次ぐPC向けメモリ/ストレージ価格の“高騰” 台湾・台北は日本と比べてどうか調べてきた

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2025年12月12日 17:11  ITmedia PC USER

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八徳商圏には多数のPCショップが集まる

 昨今、世界的にメモリやストレージの在庫不足と価格高騰が日々深刻化している。このことは、ITmedia PC USERを含むPC関連メディアでも話題となっている。


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 この状況は、海外でも同様なのだろうか――この記事では、「台湾の秋葉原」と呼ばれる、八徳商圏(光華商場)を中心に、台湾・台北市の電気街で現地調査を行って分かったことをお伝えする。


 なお、台北市での調査は12月8日、日本(東京・秋葉原)での調査は12月11日に実施している。また、台湾での価格は「1台湾ドル=5円」換算で計算している。


●メモリ:価格表の更新を諦める店舗も


 価格上昇が続くメモリだが、日本では10〜11月頃から値上げ幅が有意に大きくなっている。この傾向は台湾でも同様だ。


 台湾の自作PCパーツショップでは、日本と同様にメモリの価格表が掲示されている。台北では紙での掲示が主流なのだが、最近は価格表の更新を“諦める”店舗が増えている。価格欄に「内洽(店員にお尋ねください)」と書いてあるものも珍しくないのだ。


 そこで価格を尋ねると、値段の前に「AI(人工知能)需要で高くなっているんだよね」と前置かれることも多い。メモリの価格高騰の背景には、AI関連の需要増が関係していることを痛感させられる。


台北と秋葉原で値段を比べてみると……?


 では、秋葉原と台北でメモリの値段に差はあるのだろうか。台湾の自作PC市場で人気を集めているKingstonの「Fury Beast DDR5-5600」とCrucial(Micron Technology)の「Pro Overclocking DDR5-6000」の16GB×2枚セットについて、価格を比べてみよう。


 秋葉原の価格は3つの店舗で比較しているが、Fury Beast DDR5-5600については1店舗のみの取り扱いだった。また、台北の原價屋ではFury Beast DDR5-5600を「PCへの組み込み」限定で販売している。


 上図を見る限り、パッと見では台北の値段よりも秋葉原の値段の方が高いように見えるが、12月12日時点でKingstonのメモリについては台北での価格が4万円を超えた。価格上昇については台湾の方が「ワンテンポ遅い」状況だが、値上がりの方向性は秋葉原と変わりない。


 秋葉原のC店におけるFury Beast DDR5-5600の価格をよく見てみると、「WH(LEDライト付き)」よりも「BK(LEDライトなし)」の方が安いという“逆転現象”が発生している。これは恐らく新しく入った在庫から価格改定(≒値上げ)をしていることが原因だ。


●SSD:値上がり傾向はあるがメモリよりは緩やか


 SSDも値上がりが続いている。台湾では、以前のような「1TB=1万円(1GB当たり10円)」を下回るSSDはほぼ見られなくなった。「毎週のように価格が上昇している」との声もあった。ただし、メモリと比べると価格の変動は緩やかで、価格表をしっかりと更新している店舗も多い。


 値上がり傾向自体は秋葉原も同様で、既にコンシューマー向け製品から撤退したSolidigm(ソリダイム)製など、旧モデルの在庫を除き安価なSSDはほぼ姿を消している。


台北と秋葉原で値段を比べてみると……?


 では、秋葉原と台北でSSDの価格差はどれほどだろうか。台湾でもメジャーなKingston、Crucial、Samsung Electronics(サムスン電子)とキオクシアから数機種をピックアップして比べてみよう。


 各店舗の価格表から最安値と最高値をピックアップしているが、特に最安値については「価格表の更新が追いついていないだけ」という可能性もあることは、注意いただきたい。


 SSDに関しては、台北も秋葉原も同じような値上がり方をしている。細かい差はあるものの、価格はおおむね同等だ。


 実は、今回の記事は「台湾はメモリだけでなく、SSDの値段もやばい!」という趣旨で執筆を行うつもりだったのだが、ふたを開けてみたら秋葉原も同じような状況だったというオチである。


●台北の郊外に行くとどうなのか?


 八徳商圏は在庫の回転が早いエリアだから、価格が急上昇しているのではないか――そう思った筆者は、台北郊外の店舗でもメモリとSSDの価格を調査した。


 まず、メモリから探してみる。郊外の「三井3C」では、Crucialの16GB DDR5-5600メモリ1枚が4288台湾ドル、日本円換算で2万1440円だった。これだと、郊外の方がむしろ高いということになる。


 次は、SSDを別の店舗で探してみることにした。郊外の「燦坤3C」では、Silicon Powerの「P34A60」(PCI Express 4.0 x4)の1TBモデルは2699台湾ドル、日本円で1万3495円だった。同社の「US75」(PCI Express 4.0 x4)の1TBモデルは2999台湾ドル、日本円で1万4955円だ。


 これらのSSDは、日本でも1万円以下で購入できるSSDとして人気を集めていたが、10月くらいからジワジワと値上げされている。この傾向は台湾でも同様で、安価なモデルでも昨今の値上げの流れには逆らえないようだ。


 郊外でも、チェーン店であればPOS連動されていることもあり、しっかりと値上げは反映されていた。


●まとめ:今は時期が悪い


 今回の調査で印象的だったのは、店員から「今は自作PCを組むには時期が悪い」とハッキリ言われたことである。


 実際、メモリの価格はここ数カ月で4倍以上に高騰しており、今後の見通しも不透明だ。「2026年秋以降に落ち着くかもしれない」という声もあれば「全く分からない」という意見もあった。日本だけでなく、世界中の自作PCユーザーが同じ悩みを抱えている現状である。


 今後どう動くか、早めに考えて行動することが重要だと感じた。



このニュースに関するつぶやき

  • メモリ市場がこんなことになっていたとは…そろそろPC買い替えたいと思っているのだがな…
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