炊飯器は万能調理器具?それともごはん専用?ニオイ移りに片付け問題、“時短”のウラに潜むリアル

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2025年12月13日 12:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

「後片付けは誰がやるの?」炊飯器料理ブームに見える"家事負担"のリアル(※画像はイメージです)

「炊飯器に入れるだけ!という料理、調理自体は簡単だけど炊飯器の内蓋等洗うの、めちゃめんどくさくないですか」

 日本中のキッチンで繰り返される「家事の分担」と「時短の代償」に一石を投じる議論がネット上で巻き起こった。

炊飯器調理のデメリット

「炊飯器レシピ」。材料を入れてスイッチを押すだけで、メインのおかずから煮込み料理まで完成するという魔法のような調理法だ。SNSやレシピサイトでは「ほったらかし調理」「時短テク」として紹介され、忙しい主婦や単身世帯までに浸透している。 だが、そのメリットの影に潜む「見えない家事」に焦点を当てた投稿が、Xで爆発的な共感を呼んでいる。

 冒頭の投稿に続け、「ニオイはつくし肉を入れると噴き上がったアク?がこびりついてゴシゴシやらないと取れない後片付けを他人に任せられる人が考えた調理法なのでは」といった問題提起に「炊飯器に匂いもつくし、同時に米は炊けないし、鍋の方が楽かなってなりますね」「私はご飯用と料理用の炊飯器を分けてます」など、各々の工夫と共感の声が飛び交った。

 この「時短」と「後始末」のトレードオフについて、食のプロはどう見ているのか。

 フードスタイリストとして活躍する寺島モエカさんに、炊飯器調理の是非と、メーカー推奨の安全性について聞いてみた。

プロの目から見た炊飯器調理

「炊飯器調理は楽で便利な点もありますが、ご指摘のとおり米の炊飯以外の用途で使用した後の片づけが大変だというご意見については同意する部分もあります。香りの強い調理、香辛料や薬味を使う料理、肉や魚介類の料理などの使用後は内釜や中蓋のパッキンに匂いがついて一度洗うだけではなかなかとれないことがあります。

 通常の炊飯でもでんぷん質が付着するため細部まで洗うことは大切であり、美味しいごはんを食べるために必要な作業です。炊飯以外で使用する場合も同様です。臭いの除去で漂白剤を使用すればよいのではというご意見も見られましたが、炊飯器の部品(内釜や中蓋)は漂白剤NGで柔らかいスポンジと中性洗剤を使って洗うことが推奨されているメーカー(Panasonic、タイガー、象印のみ確認)が多いです」(寺島さん・以下同)

 プロの目から見ても、やはり「匂い移り」「後片付け」は無視できないデメリットのようだ。

 普段から料理に携わる寺島さん自身は、プライベートで炊飯器調理を行っているのだろうか。

炊飯器に調理機能がついているものに関してはアリです。私も機能がついたものを使用していますが火口が足りないときに使っています。火を使わないので他の作業と並行して料理ができる、調理終了後保温してくれるので温かいものが食べられる、夏場でも涼しく料理できるなど利点があります。

 米を炊いた場合もその他の調理に使用した場合も都度しっかりと洗うことは食中毒の観点からも必須ですから苦ではありません。調理機能が付いた炊飯器はクリーニングやお手入れ機能、もともと匂いがつかないような構造になっているなどがありますので匂いは軽減されますが多少の匂いがつくことは致し方ないと思って使っています」

 ここで重要なのは「調理機能がついているものに関しては」という条件だろう。一般的にメーカー各社は、ご飯を炊く以外の目的で炊飯器を使用することは推奨していない。壊れるリスクや事故につながる危険があるため、家の炊飯器の取り扱い説明書に記載の注意事項を一度チェックしてみるといいだろう。

 寺島さんも「油を多く使う料理、カレーやシチュー・あんかけなどとろみのある料理、皮つきのまま野菜を使うときや葉野菜を使う料理、ポリ袋、アルミホイルクッキングシート、ラップを使う料理、水分を吸って量が増す食材(豆、麺、乾物、練り物など)を使う料理は特に注意が必要です」と警鐘を鳴らした。

炊飯器調理に向いているメニューは?

 では、リスクを避けつつ、炊飯器のメリットを活かした賢い使い方はあるのか。

「匂いや洗いが気になるなら、野菜の下茹で程度に使うのはいかがでしょうか。またポトフや野菜のだし煮などの料理は後処理がラクな傾向があります」

 続けて、

「細かく洗うのが手間なのであれば肉魚を使う料理は避ける。匂いがつくことがネックであれば、スパイスや香味野菜などのにおいが強い食材を使う料理は避ける。時短や調理器具をたくさん使いたくない場合は積極的に使う。使用上のルールを守ったうえで臨機応変に活用してみてはいかがでしょうか」

 炊飯器料理は確かに便利だが、万能ではない。調理専用の炊飯器を用意する、匂いの残りにくいメニューを選ぶ、クリーニング機能を活用するなど、工夫次第で快適に使えるだろう。

「入れるだけで完成」という言葉の裏には、見えない家事負担がある。その実態を知った上で、自分なりの炊飯器料理との付き合い方を見つけたい─。

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  • 前に使っていた炊飯器の時肉まん作ったり調理したよ。でも他の料理を作っている間に作れば良いだけだから特に炊飯器でしなくてもいいか〜と思うようになった
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