
一度は乗りたい、夢の豪華クルーズ船。「老後の楽しみに」と語る人は昔から多い。なかなかまとまった休みがとれない、そして高額であることから、そう言われているのかもしれない。この数年で、クルーズ船の日本への寄港が増えた。アジア各国を母港とするクルーズ船のみならず、日本を拠点に運航するクルーズ船も増え、旅行会社の店頭でも割と手の届く価格、コースが増えているように思う。最近では通販大手のジャパネットたかたがテレビショッピングで販売するなど、一般認知度も高まっている。
今回、クルーズに乗船することを決めたのは、関連企業で働く知人から「乗ってみない?」と誘われたからで、予想とは裏腹に超魅力的な価格設定。ちょうど年末の仕事が落ち着く時期、さらに短期間かつ久々に台湾に行けるというのも相まって、個人的にヒット。友人を誘って、那覇発着の「MSCベリッシマ」5日間のクルーズの申し込みに至った。
このクルーズは変則的な旅程だ。1日目の夜に那覇港を出港し、2日目朝に石垣へ。同日夜に台北郊外の基隆(キールン)へ向かい、3日目朝に到着。同日夜に出港後、4日目午後に那覇港に到着。さらに停泊する船内で1泊を過ごし、5日目午前に下船するというスケジュールだ。那覇に停泊せずに宮古島へ向かうクルーズや、那覇から東京へ向かう片道クルーズなんていうものもある。
沖縄観光コンベンションビューローの統計によると、2025年度上期に海外から海路で到着した人数は約48万人で、前年より2割増えた。11月には27本、12月には18本のクルーズ船が沖縄県に寄港し、このうち15本、9本が海外クルーズ。1月には37本中26本が海外クルーズの予定だ。
外国船籍のクルーズ船は、必ず海外に1か所寄港する必要があるため、済州島や基隆などの外国に近い西日本は、短期間のクルーズに適した立地。那覇で乗ったタクシーの運転手も、クルーズ船で到着した外国人のほとんどが国際通りのドン・キホーテで買い物をすると話していたが、航空機ほど荷物の量や重さを気にせず、短期間でショッピングを楽しめるショートクルーズは、良い買い出し手段なのかもしれない。
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今回乗ったのは、イタリアで創業され、スイスに本社があるMSCクルーズが運航する「MSCベリッシマ」。2019年に就航し、乗客定員は約5,600名の大型クルーズ船。カジュアル船との位置づけで、航路や提供内容によるが、大半を普段着で過ごすことができる。
この時期は概ね沖縄と台湾を結ぶ航路をひたすら周回しており、那覇と基隆から参加ができる。基隆から乗船する台湾人客も多いし、韓国人もちらほら見受けられた。乗組員も多国籍なので、半分程度は外国人という感覚。「ジャパネットクルーズ」も同船を貸し切っているので、テレビでもおなじみかもしれない。
ツアー代金は申し込む旅行会社によって異なるが、クルーズパートナーでは59,800円から(内側客室)だった。埋まり具合によって直前には投げ売り価格になっている場合もある。さらに、港湾費用が約22,500円と船内チップが1泊あたり18米ドル、別途かかる。船内の客室代やチップ、ビュッフェやレストラン、プールなどの無料施設の利用金額はこれにすべて含まれている。
ビュッフェではコーヒーとお茶、水は無料で、朝食時のみジュースも提供されるが、無料で利用できるレストランでは水のみ無料。アルコールは別料金で、15杯まで飲み放題となる「ドリンクパッケージ」もあるが、料金を気にせずに楽しめる反面、1日だけといった申込みができないのは難点。価格は大半のドリンクが含まれる「イージーパッケージ」が53米ドル、シャンパンなどの高級ドリンクも含まれる「プレミアムエクストラドリンクパッケージ」が89米ドルなどで、気軽に手が届きづらい価格設定ではある。寄港地観光などをしていれば、元を取れる人のほうが稀だろう。
加えて、スターリンクの衛星Wi-Fiのほか、スパなどの娯楽施設、一部のイベント、さらにカフェやジェラート、もちろん免税店でのお買い物は別料金である。船内の金額は感覚的に、海外のレストランやカフェで楽しむのと金額的な大差はない。衛星Wi-Fiも航空機内の有料Wi-Fiと考えれば、理解できる範囲の金額で、この点では絶妙な価格設定といえるかもしれない。加えて米ドル建ての価格設定なので、160円を掛けて考えてしまうと頭が痛くなるので、1米ドルは100円というマイルールを決めると、散財も楽しくなる。
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決められたレストランとビュッフェで食べ、レストランでは水だけを飲んでいれば合理的かつ最低限度のクルーズライフが送れるが、周りと比べると貧相なクルーズにはなる。陸上同様の生活を営もうとすると、それなりの出費は覚悟すべきだろう。
今回は、バルコニー付きかつシングル利用としたことから、結果的には航空機往復&4つ星クラスのホテル宿泊の価格になった。
クルーズのチェックインは飛行機とほとんど同じ今回は前日に那覇市内に入った。船内で会った人の大半は旅行会社のツアー客で、飛行機も含まれた、「フライ&クルーズ」のツアーで当日に航空機で到着する人が多かったが、航空機とクルーズを個別手配する個人客にはちょっとリスキーかもしれない。実際、同行者は常磐線の脱輪事故によって飛行機に乗り遅れたし、余裕は持っておきたい。
チェックインを行う那覇港第二クルーズバースまでは、那覇空港から車で約15〜20分。タクシーの運賃は概ね3,000円弱程度。15米ドルで利用できるシャトルバスがあり、これも絶妙な価格設定。ツアーによっては含まれているようで、空港の到着ロビーにはクルーズ会社やツアー会社のスタッフもいたので安心。
MSCクルーズからは案内がなかったが、前日に県庁前から無料バスがあるという情報を得た。市内からでも割と距離があるので、これに乗車して港まで向かった。実際、このバスはMSCクルーズが提供しているものではないというが、案内がないのは不親切。船内でも外国人向けと勘違いされていたり、知らなかったという人もいた。
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クルーズバースに到着すると、空港で出国するかのように流れが進む。事前にメールで送付され、印刷した乗船券を提示し、同様に事前印刷した荷物タグをバッグにつけて預け入れる。荷物検査、チェックイン、クルーズカードに紐づける写真を撮影し、船内へ。部屋の鍵を兼ねるクルーズカードは部屋のドアノブにかけられていて、これを受け取る。荷物は夜までに部屋まで運ばれてくるが時間指定はできず、すぐに必要なものは自ら運んだほうがいい。
船内での支払いはクルーズカードで行い、乗船してから船内の機械で自身のクレジットカードと紐づける。いくつかの機械では日本円やドル、ユーロの現金も入金できる。最終日には自動的に精算されるようになっていて、内容はアプリ「MSC for Me」から確認できる。カジノのチップすらクルーズカードで購入できるのは便利だが、米ドル建てということもあり、なんとなく金銭感覚が狂う。ちなみに船内のレートは1米ドル=170円超えの極悪レートなので、米ドル建てでクレジットカードで支払うか、現金で支払う場合は事前に米ドルに替えておいたほうがよい。カジノでのチップの払い戻しは米ドルの現金となるが、使う機会もないので機械で入金しておくと便利。儲かった場合は。
さらに、避難訓練への参加が義務付けられている。指定時間に客室のテレビで、飛行機の機内で流れるようなビデオを観て、指定された電話番号に電話。その後に指定された集合場所に行って、クルーズカードを読み込んでもらえばOK。避難なのでエレベーターが使えないなどの制約はある。
ちょっと面倒そうに思えるが、やることはこれで終わり。あとは自由気ままにクルーズを楽しむのみ。
悪天候で石垣に寄港できず那覇港でチェックイン時に、悪天候のため石垣が抜港になるという説明があった。
当初の予定をスキップして那覇港から基隆へ直行するというもの。実際には12月には13日と21日、25日発の3回、石垣が抜港になっている(5日、9日、17日発は寄港できた)。冬の南西諸島は風が強く、時化やすい。やっぱり寄港地での観光も楽しみたいもの。残念な一方で、船内を楽しむ時間ができた、とポジティブに考えることとする。結果的に高波の影響で、その夜は那覇港に停泊し、翌日午前7時ごろに出港。終日航海となった。
船会社は当然悪くはないのがが、「善意のしるし」として、25米ドルのオンボードクレジットが全員に付与された。船内で利用した料金から25米ドルを引いてもらえるもので、ざっくりビール2杯やソフトドリンク3杯、ダブルのジェラート2個くらいというところ。
読みが狂ったのは通信環境。このクルーズは夜に航海し、日中は停泊するパターンだったので、寄港地で仕事ができると思っていたものの、抜港によって日中は通信環境が悪い公海上にいることになってしまった。最終的にはスターリンクの船内Wi-Fiを買ったのだが、端末を切り替えて使うことはできず、端末の台数分購入する必要があるのが難点。1日プランよりもクルーズ期間中をカバーするプランのほうが安く、結果的には全日分を購入したが、カジノに次いで散財したオプションとなった。
ツアー参加者1,000人以上船内を歩くと、どこにでもいるピンクのネックストラップにブルーのクルーズカードをぶら下げた、だいたい後期高齢者の夫婦か2世代、3世代。ストラップのロゴをよく見ると関西の大手電鉄系旅行会社Hのツアー客。聞いてみると1,000人以上乗っているらしい。航空券と組み合わせた商品で日本各地から大量に登場。言い換えれば団体バス25台以上のツアー客、それもほぼ日本語しか話せない人が大量に乗るのだから、推して知るべし。そこは老人パラダイスであった。
実際にカジノで両替で揉めていた日本人は同社の客だったし、夜になるともれなく酔っ払ってるし、船員は多国籍で日本人客に最適化されているわけではなく、お手上げ状態。カジノでもルールがわからず遠巻きにテーブルをみているピンクのストラップの客は多く、もうちょっと仕組みを変えると収益源になるかもしれない。
ツアー会社はツアーデスクを出して、日中は係員が常駐。張り紙などで案内を行っていたが、中小旅行会社経由だと乗船中のサポートは期待できない。複数社のツアー客が乗っていたが、客数が多いだけにH社が最もわかりやすい張り紙のクオリティ。何もわからずに乗船すると、こういうサポートの有無がツアー代金の差として現れる。張り紙は誰でも見れるので、ちゃっかりフリーライダーになるのもアリ。実際、サポートがあまりないというツアー客の愚痴も聞いた。
年老いた夫婦が、部屋までちょっと遠いと言いながら歩いていた。それもそう、全長315メートルの船を右往左往しながら歩いていたら、食事に行くまで軽く1キロ近く歩いていてもおかしくない。ちょっと揺れると歩きづらく、転倒しないか心配になるし、狭い通路では人とすれ違うのもやっと。けがをしたり病気になった場合、医務室も有料なので、海外旅行保険に加入しておく、さらに治療費無制限など手厚くしておくべきだろう。
情報収集はYouTubeやSNSが中心乗船前、船内にどんな設備があるのかを久々に細かく予習することになったが、これもまたクルーズ会社のウェブサイトや案内はそれほどというか、全くもって不親切で、初心者にはハードルが高い。結局、申し込んでもいない旅行会社の案内ページや個人のブログ、SNS、YouTubeに頼ることになった。Facebookにもグループがあって、質問している人や、乗船している写真を投稿している人もいて、割と活発に動いていた。
乗船していた人も、インフルエンサーのYouTubeの動画で予習したという人が多くいたが、それが旅行の決め手になったかというとやっぱり違うよう。船内に持ち込んだほうがいいものや、寄港地での観光方法を参考にしたらしい。それもそう、基隆という読み方すらわからないような街(キールンです)にいきなり降り立っても、事前に計画を立てておかなければ効率的な観光は難しい。そういう意味では、クレーム対策としては割と奏功しているのではないか。
ちなみにH社のツアー客は至れり尽くせりで、オプションとして「選べる寄港地観光」が付いている。個人客などは船内でクルーズ会社のツアーを申し込むことはできるが、やっぱりそういうところがツアーの良いところ。それは金額ではなく、向き不向きの問題。せっかくの旅行で不満ばかりが溜まるのなら、いっそのこと数万ばかりの金で解決したほうが良い。
船内の案内放送もまたお世辞にも親切とは言えず、自身で情報を取りにいったほうが確実で適切な情報が得られる(ただしほとんど英語)。毎日客室に配られる新聞を隅々まで読むことも欠かしてはいけない。船内Wi-Fiに繋いで利用できるアプリ「MSC for Me」の設定もお忘れなく。
バルコニー付きの船室、一人利用でもゆとりなし船室はバルコニー付きにしたが、結局はバルコニーであまり過ごすことはなかった。窓付きのオーシャンビュー、内側客室とそれほど価格差はなかったし、風もあったのでちょっと寒かった。
客室は大きいスーツケースを広げっぱなしにすると、ほぼ足の踏み場もない状態。本来はクローゼットを活用すると思うが、数泊だと億劫だったので、広げっぱなしにすることに。テレビを楽しむといっても選択肢は日テレNEWS24などに限られているので、客室外で過ごす時間のほうが結果的に多くなった。
さらに、部屋にはシャワーブースにボディソープ、電気ポットとコップ、緑茶と紅茶くらいしか備え付けられておらず、それ以外は持ち込む必要がある。乗船前に国際通りのドン・キホーテで、歯ブラシとシャンプーやリンス、ペットボトルの飲料を購入。ティッシュやスリッパもないので、家から持参した。
アルコール類や食品、飲料、電気ポット、衣類用アイロンなどの持ち込み禁止物がある。室内にはドライヤーやヘアアイロンは備え付けられていなかった。どうやら持ち込みが許可されるようになったらしい。電源は日本と同じA型もあった。枕元には電源がないので注意が必要。
船内のカフェでイタリアンコーヒーを飲んだり、パブで世界のビールを楽しんだり、本場のジェラートで舌鼓、カジノで熱い一勝負していたほうが、狭い部屋で過ごすよりはるかに楽しい。最初は節約しようと思っても、こうやって散財に慣れていくのだ。そして全部クルーズカード一枚を提示するだけ。船を下りた後、忘れた頃に請求が来るのである。
同行者とは別室で一人部屋だったが、次回乗ることがあれば、数日のクルーズであればもうちょっと広くて高い部屋で同室、ということでもいいという結論になった。一方で、1週間を超える日程なら、いくら気のおけない友人であっても、別部屋のほうが心の治安が保たれるような気もする。
衛星Wi-Fiのオプションを購入せず、船内で退屈しそうなら、本を持ち込むのもおすすめ。録り溜めたテレビ番組を消化するのもいいし、よいデジタルデトックスの機会とポジティブに捉えてみるのもいいかもしれない。私には無理。
唯一の寄港地、台湾・基隆に到着朝、けたたましい音とともに、基隆に着いた。下船開始時刻は午前7時半と聞いていたが、準備があるので当然のごとくもっと早く着く。台北市内まで行く予定だったので、最初の乗客が下船したことをバルコニーから確認して下船準備を整えた。
同行者とはまずは一番遠い、台北市内へ向かうという案を練った。帰りは時間がなくなればタクシーを躊躇なく使い、時間が残れば基隆を観光しようということに。先に基隆を観光して台北に行くと、時間の読みが難しいという理由で、先に遠くに行き、後から調整する戦法。予定通り下船できるのか、入国までにどれくらい時間がかかるのかなど、わからない点も多く、余白を確保しておいた。
7時半過ぎに下船し、クルーズカードをスキャンし、検疫を通過。下船する台湾人客も多いが、スムーズに進む。パスポートはクルーズ乗船時に預けており、コピーを所持するのみでいい。このコピーは市内で免税の払い戻しを受ける際にも使えた。対面での入国審査はない。
基隆から台北までは、自強号で向かう。乗っていたのはほぼクルーズ客。自動券売機で、クレジットカードのタッチ決済を利用して乗車券を購入する。わずか40分程度で着いた台北駅では、郵便局で同行者が両替。基隆港と比べればちょっと良いレートという印象だが、筆者が利用したRevolutのほうがさらにレートがよかった。わずか半日の滞在で使う金額も限られているので、あまりレートを考えなくてもいいかもしれない。筆者はコロナ前に両替していた、残りの台湾ドルを使う。あの頃の自分に感謝したい金額で、さらに散財に拍車がかかる。
駅前にはなぜか、東武鉄道のスペーシア100系も展示されていたので記念撮影。東武鉄道と台鉄の友好協定締結10周年を記念して、東武鉄道から台鉄に寄贈され、展示されているのだという。自宅の近所を走っていた車両なので、妙に感動した。
朝食は台北駅近くの路上で、豚肉が挟まったトーストとコーヒーで軽く済ませて、地下鉄で国家鉄道博物館へ向かった。日本で活躍した583系車両がどういうわけかそのまま展示されている。理由はどこにも書かれていないのだが、日本車両の展示はブームなのだろうか。さっぱりよくわからない。
バスに乗って台北101へ行き、お土産購入。台湾のウイスキーやお茶などを購入し、トリップドットコムのキャンペーンで2名分が1名分の価格で予約ができた、台湾料理「鼎泰豊」のコースを堪能。本来は1人5,224円のところ、2人で同額。通常の待ち時間は1時間以上のところ、このチケットではスキップできるので、30分程度で入店できた。限られた観光の時間を節約できてうれしい。
名物の小籠包から炒め物、チャーハン、酸辣湯、デザートの餡入り小籠包まで、次から次へと出てくるフルコースを堪能し、お腹いっぱい大満足。コースだったこともあり、周囲のテーブルよりも早いペースで何でも運ばれてくるので、内容の割に時間はかからなかった。
お腹を満たしたところで、同行者の大きな希望で最後の観光地となる、行天宮と占い横丁へ地下鉄で向かう。
占い横丁は曜日や時間のせいもあってか、閑古鳥が鳴いている。占い師が「高田純次も来た、おすすめ」と呼び込んでいる。最も信じていけない人の筆頭格ではないだろうか。
狭い横丁で2周目の吟味を始めた同行者に、「これもまた勘」と言って適当な占い師のもとへ誘導。生年月日と生まれた時間などを紙に夏期、年季の入った占い本と米粒で占われている。結局、「婚活は短期決戦、離婚したら二度目はない」「家は2軒、借金して買え」「痩せなさい」と日本語で言われていて、隣で大笑い。
当たってるのか当たってないのかはさておき、価格は1,200台湾ドル。1台湾ドル=5円を超えた台湾、もはや安く楽しめる目的地ではない。
全く時間通りに来なかったバスに乗り、基隆へ。最終乗船時間に遅れたらまずいので、1時間以上を残して船に戻った。結果的には食事も観光も盛り沢山の大満足コース。様々な要素がうまく成り立たないと、スムーズに進まないはず。昼食を予想より早く済ませられたのが勝因か。いや、占い2軒目とか言われなかったことが奏功したのかも。
早朝から歩き疲れたので客室に戻って昼寝をしていると、けたたましい音とともに暗闇の基隆を出港。ほぼ丸一日をかけて、那覇港へ戻る。
豊富な食事、ビュッフェメニューもクオリティ高めところで、乗船中は毎日、ディナーのみレストランに通った。ディナーのみレストランの場所、時間、テーブル番号が指定されている。最も遅い午後9時半は、夜型人間としては悪くない時間。ディナーを終えると午後11時台で、スキップしている人も多そう。かなりの座席があいていたが、特別メニューが提供されたクリスマスイブのみ、賑わっていた。
午後5時台という人は「早すぎる」と文句を言っていたし、全員が希望通りにいかないのも仕方ないところ。あいていれば希望によって変えてもらえるらしいが、大半の人が午後7時台みたいなゴールデンタイムを希望するだろうし、混み合う時間帯では料理の提供スピードも遅いらしいから、甲乙つけ難い。
昼食は指定されている時間内にレストランに行くと、それぞれテーブルに案内される。大テーブルから少人数向けのテーブルまであり、周りの人との交流も楽しめる。一期一会の旅の出逢いも楽しい。
ディナーは前菜、メイン、デザートともに種類豊富で自身で好きな数を選べる。ゆっくり楽しむにはレストランのほうがおすすめだが、選ぶものによってはビュッフェのほうがクオリティが高いように感じた。
ほぼ終日何かしらを提供しているビュッフェのメニュー数は大変豊富で、日本料理と台湾料理も複数の選択肢がある。ご飯と味噌汁もあるので、和食派の人にも安心。最も美味しいのは、ここでもイタリアンのピザ。職人がひたすら焼いているが、焼き上がるそばから飛ぶようになくなっていく。夜食として毎日通った。
関係者いわく、このクルーズの食品の積み込みは基隆で、日本で積み込む物よりもクオリティが少し劣るという。食べ残しが多い乗客が多いと、その分食品ロスや予算を考慮した仕入れをしなければいけないらしい。確かに、クリスマスイブの夜11時半から提供されたクリスマスビュッフェでは、どう考えても食べられない量をテーブルに並べて写真を撮っている外国人を複数見かけた。映えを意識しながら生きるご時世を考えると、仕方ないのかもしれない。
基隆出港後の3日目夜、レストランのメニューにはサーロインステーキが登場していて、同行者は楽しみにしていたが、結果、私には固い脂身が多くて可食部が少ない、同行者には体型に合わせて私の2倍くらいのサイズが出てきた。焼き加減は選べずウェルダン。老人が食べたら噛み切れないどころか、差し歯が取れそう。うーん、0点満点。
シェフが切り分けてくれる、ビュッフェのローストビーフのほうがはるかに柔らかく美味。個人的には選択肢の中ではイタリアンのメニューに”当たり”が多いように感じた。
落ち着いた終日クルーズ、クリスマスイブは特別企画も那覇港への航海は順調に進み、時々晴れ間も覗く、揺れも落ち着いた優雅なクルーズ。右手に那覇空港がみえると、近づいてきた船から水先案内人が乗船。那覇港には定刻に到着した。
同日の朝には部屋まで、基隆のスタンプが押されたパスポートと入国審査の案内、税関申告書が配布される。このクルーズは5日間のクルーズだが、到着日の指定された時間に下船して、入国審査を受ける必要がある。パスポートと久々に書いた税関申告書、クルーズカードを持って下船。入国審査と検疫を手ぶらで通って、船に戻る。
もう航海は終わって停船しているが、一応旅程は5日間。きょうはクリスマスイブ。食べ物に多大な興味関心を有する同行者は、レストランのメニューを調べていたらしいが、ロブスターなどの特別メニューが用意されていると妙に張り切っている。買い物や観光のために下船した人も多かったようだが、最終日とあってレストランはとても賑わっていた。
前菜とスープ、パスタ&リゾットを経て、メインの「ロックロブスターのオーブン焼き レモンタラゴンバターソース」。もちろんメインは一つと決められていないので、同行者は「柔らかく煮込んだ牛ほほ肉」もチョイスしていた。自制できる人にはいいが、自制できない人にはそこはフードパラダイス。デブ街道を一直線に爆走している。
ちなみにこの日、スパークリングワインも無料提供の大盤振る舞い。すごい。
さらにこの日は、プールサイドでクリスマスイベントが開催されていて賑わっていた。暗闇の那覇港に停泊するクルーズ船で、大音量の「江南スタイル」を踊る、どこから来たかわからない老若男女、多国籍な人々。後ろのほうにいた我々には、ピンクストラップのおばさま方は見受けられなかったが、きっと最前列のほうで熱狂していたに違いない。ディナーを食べすぎた人には良い運動。
これだけで終わらず、午後11時半から「クリスマスビュッフェ」が開催されるという。大事なことなのでもう一度繰り返すが、午後11時半からビュッフェである。ドーミーインなら夜鳴きそばの提供すら終えた時間に一体何が出てくるのか、興味津々。オープン前に行ってみると、待機している人もいて大混雑の会場、クリスマスイベントから流れ込んだ腹ペコな人々も湧いてきている。
予想を超えるディスプレイの数々。深夜とは思えない和洋折衷、多くのフード類に乗客はここぞとばかりに写真や動画を撮りまくっている。まだ胃袋にロブスターの余韻が残っていて吟味しながら少量を盛り付ける筆者を横目に、誰もが大きなお皿に満載状態。こうしてクリスマスイブの夜が更けていく。
翌朝、名残惜しく下船翌朝、8時までに客室をあけるよう求められる。次の出港は同日午後7時半、次の客の乗船までの短い時間で清掃を済ませなければいけない。荷物は午前2時までに客室のドアの外にタグをつけて置いておけば、船の外まで運んでもらえる。翌日の着替えだけ残して、深夜にパッキングを済ませた。
下船は10以上のグループにわけられており、上級会員やランクの高い客室クラスの利用者は早く下りることができる。下船まではビュッフェで食事をとることもでき、我々はプールサイドにビュッフェの食事を軽く持ってきて、仕事をしながら過ごした。10時過ぎには下船順となり、あっけなく下船。
こうして5日間のクルーズが終わった。東京の寒空の下から逃れて、暖かさが残る沖縄と南シナ海で過ごせたのでとても良い気分転換になった。この日程は初心者向けクルーズとしては最適で、日本一周や世界一周、と考えている人にはまずは短期間のクルーズを体験してみるといいだろう。
MSCクルーズに限らず、今年も多くのクルーズが催行される予定で、旅行会社の年末年始のセール商品としても販売されている。ぜひ今年は、クルーズ旅行にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
