患者に添い寝をする国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)のファシリティドッグ「マサ」(シャイン・オン・キッズ提供) 入院する子どもの治療やリハビリに付き添う「ファシリティドッグ」。家族と離れることの不安を和らげる効果もあり、日本でも徐々に広がる。課題は高額な維持費だが、クラウドファンディング(CF)で導入を目指す動きも出ている。
ファシリティドッグは米国などで盛んで、穏やかな性格のレトリバー種などが採用される。病院などを訪れて患者と触れ合うセラピードッグと違い、専門的な研修を終えたハンドラー(訓練士)と一緒に病院に所属して働く。手術に臨む子に付き添い、リハビリのために遊び相手にもなる。
認定NPO法人シャイン・オン・キッズ(東京都中央区)によると、国内では2010年に静岡県立こども病院(静岡市)が初めて導入。昨年12月時点で同病院を含む4病院で4頭が活躍する。関心は高まっており、派遣元の同法人に昨年寄せられた問い合わせ数は約10年前の8倍だった。
一方で、導入は伸び悩む。障壁の一つが高額な費用だ。一般的な初期費用はハンドラーの研修費や人件費、犬の育成費などで1頭当たり約1600万円かかり、その後も年約1000万円必要という。4病院の初期費用は同法人が負担したが、病院側は他にも施設改修費が必要となる。
そのため、多くの病院ではCFの活用を通じ、導入を目指している。大阪市立総合医療センター(大阪市)では昨年9月、27年4月の導入に向けて5年分の運用費6200万円を目標に寄付の呼び掛けを始めた。仙入寛之総務課長(51)は「患者に前向きに治療に取り組んでもらう助けになれば」と期待を寄せる。
兵庫県立こども病院(神戸市)では27年度にも1頭を導入する計画を進める。小児がんの子らを励ますためで、昨年5〜7月にCFを実施。2年分の事業費に相当する4500万円余りが集まった。
同病院の関口典子医師(57)は「犬が感染症を媒介しないようにする対策が必要なため、院内で研修会を開いている。そばに犬がいて、子どもたちがゆっくり穏やかに過ごせるようになってほしい」と期待している。
関心の高まりを受け、同法人は育成体制強化に向けた準備を進めている。広報担当の金容子さんは「小児医療施設にファシリティドッグがいることが当たり前となることへの希望が見えてきた」と話している。