
「ぼっち生活」が確定している独身者は、「寝て過ごすしかない」と苦笑している。
正月も休まずに働くことに
シフト制の仕事をしているリョウタさん(38歳)は、周りに頼まれて年末年始、代わりに仕事に入ることにした。「年末年始は少し給料が加算されるし、どうせ一人だから……。それなら働いた方がマシかなと思って。狭いアパートにいてもどうせやることもないし」
実家の母親からは「たまには顔を見せて」と電話で言われたが、「仕事が忙しいんだよ」と見栄を張った。彼は契約社員だが、母は正規雇用だと思っている。母に本当のことは言えない。
「帰省費用が出せないなんてね。いい年して一人でいるだけでも心配かけているのに、それ以上、不安にさせたくはない。先日、洗濯機や冷蔵庫がなぜか一気に壊れて買い換えたんです。以前、中古のを買ったらすぐ壊れてひどい目にあったので、家電はやはり新品を買おうと思って。かなりの出費でしたから、帰省をあきらめるしかなかった」
半年後には、実家住まいの妹の結婚式もある。こればかりは帰らないわけにはいかないし、ある程度のご祝儀も出さなければならない。お金のかかることばかりだが、頑張るしかないとリョウタさんは歯をくいしばる。
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頑張っても這い上がれない
社員登用の道にチャレンジしているが、雇用先はさまざまな理由をつけてその道を閉ざしてしまう。ボーナスもろくに出ない。もちろん転職を考えて何度もチャレンジしたが、うまくはいかなかった。だから今の会社を辞めるわけにはいかないのだ。リョウタさんは新卒で有名企業に就職したが、上司からのパワハラに耐えかねて5年で心身の調子を崩して退職。そこからは「どう頑張っても這い上がれなかった」という。
人が怖くなり、コミュニケーションがうまくとれない時期もあった。それでも必死にバイトをして食いつなぎ、今の会社と契約できた。ここを逃したら、もう働く場所が見つからないかもしれないという危機感ももっている。
「一人ぼっちの年末年始ももう何度目か……。慣れたようで、実はそんなに慣れていません。ぼっちでいいと思いながら、いつか誰かと一緒に年越しをしたい。できれば愛する人と一緒に。なんていう夢は見ています」
希望をなくしたら人は生きていけない。そしてその希望を自ら作り出すことが大事なのかもしれない。
休みが長くて困惑
「うちの会社、27日から休みに入っているんですよ。今年は長い休みだと知ったときは、行くところもやることもなくて、どうしようかなと思っていました」マリカさん(40歳)は苦笑する。一人暮らしも20年を過ぎた。5年前、終の棲家となることを見越して中古マンションを購入した。ローンはまだまだ続く。正規雇用とはいえ収入は40代女性の平均そこそこ。生活は決して楽ではない。それでも、定年後に住む場所があるという安心感は大きい。
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1日1日を大事に
長い休みを迎えるにあたり、彼女は目標をたてた。好きな映画を1日1本観ること、毎日、ジョギングをすること、自炊をすること、そして将来に向けて資格取得の勉強を始めること。「2026年、そしてそれ以降に向けてきちんと態勢を整えようと思って。そう考えると、9日間の休みなんてあっという間。休みだからこそ、1日1日を大事に過ごしてみようと決めました」
一人は寂しい。誰かと話したいと思うこともあるが、年末年始はなかなか他人と連絡もとりづらい。
「あえて誰とも連絡をとらないと決めました。たまにはじっくり自分と向き合うのもいいかもしれない。今年はそんな気がしています」
確かにそんな時期も必要だろう。今後の人生設計を考えてみてもいいですしねとマリカさんは明るい笑顔を見せた。
<参考>
・「年末年始、9連休も「予定なし」6割。帰省も減少傾向」(株式会社インテージ)
(文:亀山 早苗(フリーライター))
