すかいらーくグループ3000店舗で進む生成AI活用 店舗オペレーションとデータ活用を効率化

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2026年01月13日 15:40  ITmediaエンタープライズ

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 グーグル・クラウド・ジャパン(以下、Google Cloud)は、外食大手すかいらーくグループにおける生成AI活用事例を公表した。同グループにおける店舗オペレーションの改善と全社でのデータ活用と、その開発過程、現時点での成果が説明されている。


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●生成AIで変わる、すかいらーく3000店舗の現場


 すかいらーくグループは、「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」など20を超えるブランドを展開し、全国で約3000店舗を運営している外食チェーンだ。年間の来店客数は約3.5億人に上る。同社ではデジタル技術を活用した業務改善や、データに基づく経営判断の推進を進めてきた。


 同グループは取り組みの一つとして、生成AIを使った「いらあり(挨拶あり)」プロジェクトを推進している。このプロジェクトは、店舗で交わされる「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」といった基本的なあいさつの回数を計測し、サービス品質の把握につなげる試みだ。配膳ロボットやセルフレジの導入が進む中で、来店客と従業員の接点が減少している状況を背景に、接客の状況を客観的に捉える狙いがある。


 店舗に既設のデバイスを使って従業員の発話内容を「Gemini」などのAIで分析する仕組みを構築。全時間帯の音声を網羅的に処理する方式ではなく、AIカメラとの連携によって必要な箇所のみを抽出する設計が採用されている。計測した評価指標は営業部門と共有され、施策の検証に活用されている。


 開発には「Google Cloud」の「Technical Acceleration Program」(TAP)が採用され、Google Cloudの担当者がアーキテクチャの検討からプロトタイプ作成までを短期間で実施。想定では2〜3カ月を要すると見込まれていた工程が、2日で完了した。「Cloud Storage」に格納した音声データを「BigQuery」で書き起こし、処理する構成を採用したという。


 現時点では検証段階にあり、発話検出の漏れやスコア算出精度に課題が残ると説明されている。今後は蓄積データを基にプロンプト調整を重ね、低コストで運用可能な分析基盤を整備する方針だ。


 「Gemini in BigQuery」を活用した全社的なデータ活用の取り組みも紹介されている。従来は限られた部門のみが扱っていたデータを、社内で広く利用可能とすることを目的とした施策だ。2025年8〜11月にかけて実施されたPoCにおいて、生成AIとデータ分析基盤を組み合わせた業務フローが検証された。


 BigQueryのAI機能を使うことで、自社データに加え、公開情報や気象データなどを組み合わせた分析が可能になったとされる。マーケティング部門では売り上げ変動の要因分析に活用され、営業部門では約3000店舗分の損益データ分析に使われている。表計算ソフトで管理されていた店舗別データをBigQueryに集約したことで、複数部門が収益構造を直接分析できる環境が整備された。


 店舗開発分野において、Gemini in BigQueryの「Data Science Agent」を導入し、専門職以外の担当者による売り上げ予測の有効性が検証されている。経験に基づく判断を数値化し、分析モデルに反映する試みも進んでいる。こうした取り組みによって従業員が主体的にデータを扱う文化が形成されつつあるという。



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