外食産業が停滞する中で、なぜ「サイゼ」と「日高屋」が勝ち続けられるのか? 背景に「1円値上げ」「脱・390円の壁」

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2026年02月17日 06:00  ITmedia ビジネスオンライン

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サイゼリヤと日高屋が好調だ

 大手外食チェーン「サイゼリヤ」と「日高屋」が好調だ。


【画像】サイゼリヤの国内業績推移


 日本経済新聞によると、外食主要21社が発表した2025年9〜11月の純利益が前年比で3年ぶりに減益となった。売上高も伸び悩み、値上げによる増収効果が落ち着きつつある。


 そんな中、日高屋を展開するハイデイ日高は同期間で24%の増益を記録。サイゼリヤも2026年8月期第1四半期(9〜11月)で前年同期比14.7%の増収となり、最終益は同16.4%も増えた。両社とも値上げを抑制し、消費者から支持を集めている。


●値上げ→増収増益の循環が崩れつつある


 コロナ禍、ウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇で近年はインフレが進んだ。特に日本は円安が相まって、影響が増幅している。


 原材料費や人件費の上昇が続くなか、外食各社はこれまで値上げを継続してきた。外食市場の客単価は2019年を100とすると、2025年は129に増加している(日本フードサービス協会の調査結果を基に計算)。


 各社が進めた値上げは、一部チェーンで客離れをもたらしたが、客数減以上に客単価増の影響が大きく、大手外食全体では増収増益が続いてきた。デフレ時代の安売り競争から脱却し、値上げが質の向上をもたらす好循環が続いてきた。だが、冒頭の通り好循環が収まりつつある。


●「1円値上げ」が奏功したサイゼリヤ


 サイゼリヤの2026年8月期第1四半期の売上高は703億円で前年同期比14.7%の増収となった。国内事業単独の売上高は470億円で同18.9%増、営業利益は14.6億円で同184.7%増となった。同社の好調は客数増による影響が大きく、2023年1月以降、既存店客数が前年同月比110%を下回った月はない。


 サイゼリヤに客が集まるのは、同社が値上げをせず、低価格を維持しているためだ。会計のオペレーションを効率化する目的で2020年7月に「99円表記」を廃止し、多くの商品を1円だけ値上げしたが、定番メニューの価格はほぼ変化していない。「ミラノ風ドリア」は299円から300円になり、「イタリアンハンバーグ」は499円から500円になった。低価格を売りにしているため、過度な値上げはしない方針を貫いている。


●メニュー数を削減、DXにも注力


 近年のインフレで価格を維持するのは無理があり、サイゼリヤは代替策としてメニュー数の削減を進めてきた。2023年8月期には約140品→約100品に削減している。


 新規メニューの登場や旧商品の復刻などで気が付きにくいが、例えばパスタの大盛りを廃止したほか「焼き肉とハンバーグの盛合せ」や「プロシュート(生ハム)」などを終売とした。その代わりに、メニューブックに「よく一緒に注文されているメニュー」の欄を設け、同じ商品を複数ページに掲載することで、品数減少が目立たないよう工夫している。


 店舗のDXでは、2020年に「手書きオーダー」制を導入。接客時間を短縮し、効率化を進めた。2023年からはQRコードを用いたスマホ注文方式を導入している。客のスマホを用いるため、他社のようにタブレットを設置する必要がなく、コストをかけずにDXを実現した。


 価格を据え置きしたため、国内事業は2023年8月期まで赤字であり、好調な中国事業で補う状況が続いた。だが、低価格路線を貫いたことで客数が増え、以降は黒字を維持している。客単価も上昇している。メニュー刷新による「ついで買い」の増加が、その背景にあるとみられる。


●「390円の壁」を破っても好調の日高屋


 1都6県に出店している日高屋は、ラーメン・定食・サイドメニューでメニューを構成し「町の中華店」のような料理を提供するのが特徴だ。


 家系やとんこつなど特定のジャンルに特化せず、中華そばやとんこつラーメンなど定番系を一通りそろえている。ビール、レモンサワー、ホッピーセットなどを提供し、酒類が充実しているのも特徴で、おつまみ類も他社より多い。深夜まで営業して「ちょい飲み」需要に対応し、男性1人の飲酒客も取り込んでいる。


 安いファミレスの代表格がサイゼリヤならば、安いラーメン店の代表格が日高屋といえる。単品ラーメンの多くが800円以下であり、定食もおおむね800円台だ。サイゼリヤほどではないが、値上げを抑制してきた。


 コロナ禍前を基準とすると、とんこつラーメンは450円から510円に変わり、野菜炒め定食も600円から700円に値上げした。390円を維持してきた看板メニューの中華そばも、今では420円となっている。とはいえラーメン・定食類の値上げ幅は10%強にとどまり、外食全体と比較して小さい。


 店舗の効率化ではタッチパネル方式を導入した。大声で店員を呼ぶ必要がなくなり、追加注文が入りやすくなったという。


●2社とも今後も安泰か


 麺類は「餃子の王将」が800円前後で提供し、家系や豚骨などの専門店では「1000円の壁」を超えることが当たり前となった。日高屋は値上げをしたものの業界内では最安値クラスであり、サイゼリヤと同様、安値をキープすることが集客につながっている。


 2021年2月期、2022年2月期は外出自粛や飲酒需要の低迷に見舞われたが、それ以降は客数が増え続け、業績はコロナ禍以前の水準を上回った。冒頭の通り今期も好調で、売上高600億円・営業利益60億円を見込んでいる。


 2025年2月期の既存店客数は前年比で8.7%増え、2020年2月期の水準を上回った。2026年2月期は1月までで前年比4.1%増を記録し、さらに客が増えている。


 サイゼリヤと日高屋に同業態で価格競争をしかけられる競合は現れそうにない。サイゼリヤはオーストラリアの自社工場でハンバーグとソース類を生産しており、独自の供給網を築き上げた。日高屋も埼玉県の自社工場から材料を配送し、ドミナント出店で効率化を実現している。極端な円高にならない限り、両社の業績は今後も堅調に推移しそうだ。


●著者プロフィール:山口伸


経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。



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  • 一時期、サイゼリヤは配膳ロボットが入れられないから人手削減が進まず人件費負担が厳しいと言われていたが費用バランスが変わったのかな。決して盤石とは思えないが。
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