住民帰還、カギは「医療」=進まぬ整備、人材確保に課題も―福島・東日本大震災15年

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2026年03月01日 16:31  時事通信社

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取材に応じる福島県立ふたば医療センターの谷川攻一センター長=17日、同県富岡町
 福島県沿岸部など8町村から成り、東日本大震災・東京電力福島第1原発事故で全域が避難対象となった双葉郡では、震災前の人口の半数以上が今も避難先の自治体で暮らす。地元に戻ることをためらう理由として「医療への不安」を挙げる人は多い。

 復興庁などは毎年、一部の自治体の避難者らを対象に調査を実施している。帰還を判断するために必要なこととして、最も多い回答は「医療機関の拡充」「病院などインフラの復旧」だ。

 県内の医療機関は震災後、大幅に減少した。132あった医療機関の多くが休止などに追い込まれ、現在は47にとどまる。原発立地自治体もある双葉郡の場合、救急患者に対応できるのは2018年に開院した県ふたば医療センター付属病院(30床)のみ。郡内に約1万8000人が居住するのに対し、谷川攻一センター長は「明らかに病院が足りていない」と話す。

 医師不足も深刻だ。関係者によると、同病院に医師を派遣し支援する県立医科大は近年、研修医が集まらず人材確保に苦心する。少ない商業施設や公立学校の仮校舎での授業といった生活・教育環境を懸念し、沿岸部の病院への派遣に難色を示す医師も少なくない。

 ただ、県は今後、双葉郡の人口が倍以上増加することも予想する。国が23年、浪江町に設立した大型研究機関の研究者や職員らが周辺に移り住むとみているほか、多数の作業員を必要とする福島第1原発の廃炉作業の長期化も見込むためだ。

 これを踏まえ、県は25年、双葉郡の中核的病院(約250床)を大熊町に整備する計画を発表。完成すれば、幅広い分野の診療や救急対応を郡内でほぼまかなえるとみられる。

 沿岸部の70代の医師は数年前、医師不足に関する議会の討論を聞き、地域に戻り病院を再開した。以前は、病院を求めて車で1時間の遠方まで治療に通う患者もいたという。「ここには医療を必要としている人がいる。それだけで(病院を再開した)意味はある」と力を込めた。 

中核的病院整備に向け、解体作業中の敷地=14日、福島県大熊町
中核的病院整備に向け、解体作業中の敷地=14日、福島県大熊町

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  • この「住民帰還」というのは、廃炉作業要員だと思います。まともな思考力と現状把握力があれば、だれも寄り付きたくないのは明白。
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