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最近、SNS上で「スマホ業界の巨大な闇」という言葉が飛び交い、大きな騒動となった。事の発端は、登録者数37万人を超えるある動画クリエイターが投稿した、中国ZTE傘下のnubia Technology製ゲーミングスマートフォン「REDMAGIC 11 Pro」に関する検証動画だ。
●発端は動画による告発──「ベンチマーク」の時だけ発動する特殊な仕様
今回の問題の鍵となっているのは「ベンチマーク」という仕組みだ。これは、スマートフォンがどれだけ速く動くか、複雑な映像を滑らかに映せるかといった性能を、専用のアプリを使って数値化する「性能の視覚的チェック」のようなものだ。本来、この数値は私たちが実際にスマートフォンを使ってゲームをしたり動画を見たりする際の「快適さ」を客観的に判断する目安になるはずだ。
ところが、検証によって、REDMAGIC 11 Proがこのテストの時だけ、普段の利用では決して発揮できないような異常なパワーを出す「隠しモード(ディアブロモード)」を搭載していることが分かったそうだ。テストアプリを検知したときだけ、限界を超えてエンジンを回し続けるような状態になるため、通常の利用シーンとは懸け離れた高いスコアが記録されていたのだ。
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●性能を追い求めすぎた代償? 検証中に起きた異常事態
これがなぜ大きな問題として捉えられているのか。それは、この「隠しモード」がスマートフォン本体に過剰な負荷をかけていたからだ。ベンチマークアプリの提供元と協力して行われた解析では、テスト中に内部(CPUやSSDなど)の温度が異常に高い状態のまま下がらず(高止まりし)、最終的には強制的に電源が落ちてしまう(シャットダウンする)事態も確認されたという。
多くのユーザーは「テストの結果が良いからこのスマートフォンは高性能だ」と信頼して購入を検討する。しかし、もしその数値が故障のリスクを冒してテストの瞬間だけ無理やり出したものだとしたら、それは実用的な性能とはいえず、消費者を誤解させる行為になりかねない。
この報告を受けて、登録者数40万人を超える別の著名なガジェット系YouTuberも「今後は性能テストの数値を公開しない」と宣言するなど、その公平性に疑問を投げかける動きが広がっている。
●日本総代理店が示した見解──いわゆる「不正」ではないのか?
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この事態に対し、日本国内でREDMAGIC 11 Proの販売代理店を務める「Fastlane Japan」は見解を発表した。同社によれば、一連のパフォーマンス制御はゲームを快適に遊ぶための調整の一環であり、問題視された過剰な出力もあくまで安全な設計の範囲内で「120点の出力を体感してもらうためのもの」だと説明している。ただし、アプリの判別などで予期せぬ挙動が起きた可能性も認めており、意図的な不正ではなく、開発側の判断ミスや不具合の可能性を示している。見解全文は次の通りとなる。
以下の内容はREDMAGIC総代理店Fastlane Japanチームとしての見解であり、メーカー公式の立場を代表するものではありません。我々は、ガジェットを愛し、業界に対して強い情熱を持つチームです。それゆえ、製品選びには細心の注意を払い、心から優秀な製品と確信できるものだけを日本の皆様にお届けしてきました。
選んだ製品には対して強い自信を持っており、ユーザーの皆様の信頼を裏切るような不当な手法を用いる意向は一切ございません。製品そのものの実力については、市販製品を用いての多角的な検証や、他社製品との比較テストを心より歓迎しております。
スマホの体験を向上させるためには、アプリの特性に応じた最適なリソース制御が不可欠であると私たちは考えています。例えば、漫画アプリにおいてゲームアプリと同様の極端なパフォーマンス優先設定を行った場合、過敏なタッチレスポンスによる誤操作や、不要なCPU・GPUの稼働による発熱、バッテリー消耗を招く恐れがあります。また、同じゲームであってもFGOとシャニソンでは負荷が大いに異なるため、過度な発熱を抑えつつ快適なプレイを維持するための個別調整が必要となります。
使用シーンに応じて最適なバランスを追求することは、製品のユーザーエクスペリエンス改善における重要なプロセスだと思います。システムが極限のパフォーマンスを必要としないと判断した際、電力消費と発熱の抑制を優先し、結果として一部の最適化済みアプリと挙動が異なるケースがございます。
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一方で、限界に挑もうとするユーザーのために、REDMAGICはハードウェアの安全設計の範囲内バッテリー消費や発熱を厭わず性能を強制的に全開する「ディアブロモード」を用意しております。このモードでは、通常時の性能を100点とするならば、短時間ながら限界を超えた120点の出力を体感いただける設計となっております。
アプリへの最適化は最新の状況に基づき動的に行われるプロセスであり、その過程で挙動に変動が生じたり、判断に誤りが発生したりする可能性も否定できません。この点において、ユーザーの皆様にご不便やご懸念をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
今回の皆様からの貴重なご意見を真摯に受け止め、メーカー側およびベンチマークソフト提供側と連携し、本件における最善の解決策を模索してまいります。
今後とも、皆様に驚きと感動をお届けできる優れたガジェットを提供できるよう尽力してまいります。
スマートフォン業界では、過去にも一部のメーカーでテスト時だけ性能を引き上げる手法が発覚し、批判を浴びた経緯がある。今回の騒動は、カタログに載っている数字だけでは見えない「スマートフォン選びの難しさ」と、メーカーの誠実さを改めて世に問う形となった。
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