【阪神】「ボールがよく飛ぶ気が」複数の選手から感想も球の製造に変化なし 打者心理には好影響

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2026年04月14日 05:00  日刊スポーツ

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3月27日 巨人対阪神 1回裏巨人無死、キャベッジに先制ソロ本塁打を浴びる村上頌樹

<猛虎リポート>


対戦がほぼ1巡したプロ野球で、開幕直後からある議論が続いている。「今年はボールがよく飛ぶのでは?」。鉄壁投手陣を誇るセ・リーグ王者・阪神は、開幕戦で巨人に手痛い2本塁打を浴びて黒星スタート。ただ、その後は安定した戦いを続け、全5カードを勝ち越した。阪神を含め、プロ野球全体の得点、本塁打は昨年より激増している。現場はどう感じているのか。【柏原誠】


   ◇   ◇   ◇


3月27日、東京ドームで巨人−阪神の開幕戦を見た杵渕和秀セ・リーグ統括は数日後、感想を口にした。


「2本、本塁打が出ましたね。フェンスぎりぎりくらいかと思ったけど、思ったより飛びましたね」


試合を見た純粋な感想であり、深い意図は込めていない。もちろん昨年との変化を認めた言葉でもない。ただ、東京ドームにいた多くの人が同じような印象を抱いたのではないか。


阪神はエース村上が巨人の両外国人に2本塁打されて1−3で開幕戦を落とした。巨人に初めて本塁打を許した右腕は、ボールや球場サイズではなく「失投」と原因を自らに求めた。


この試合後から、阪神の複数の選手、球団関係者から「ボールがよく飛ぶ気がする」という感想がたびたび聞かれるようになった。チーム内でもボールの話題がよく出ているという。


開幕の巨人3連戦を終えた阪神藤川監督は会見で、今年の巨人打線の感想を聞かれた流れで、ボールについても触れた。


「どの球場も打球が少し遠くに飛んでいるような雰囲気もあります。野球の景色というのが、今シーズン、また少し違うかもしれないですね」


発言の念頭には近年の「投高打低」がある。プロ野球の攻撃指標は下落トレンド。昨年は打率3割以上がわずか3人だった。昨年の阪神は圧倒的な投手力を利して2年ぶりにリーグ制覇。7月の1カ月間、チーム防御率が1点台だったことも話題になった。


球界には定説がある。投手が元気で、打者の目がまだ慣れていない開幕当初は「投高」、夏場に向かって「打高」になる…というもの。その観点で言うと、開幕直後の本塁打ラッシュに“意味”を見いだしたくなる気持ちも分かる。ひょっとして「投高」のトレンドを変えようという動きがあるのでは…と。


ボールは変わったのだろうか。結論を言えば、NPB、製造元のミズノ社とも何も変えていない。今年も、NPBの基準を満たしたボールだけが出荷されている。判定基準は厳しい。当初は基準値に幅をもたせていたが、15年からは0・4134をピンポイントで「目標値」に設定。限りなく近づくように測定器を設定し、はね過ぎ、はね不足のボールを選別する。


計測に立ち会ったことのある球界関係者は「かなり厳格です。少しでも基準から外れたボールは、その場で取り除かれます。そのボールがNPBの公式戦で使われることは絶対にないでしょう」と証言する。


手縫いの工程も入るだけに、検品後にわずかに変容する可能性は否めない。保存の環境もそれぞれ違う。杵渕統括は「確かに許容範囲内の一番上と下で(飛距離が)何メートルか変わるということはあるのかもしれない。ミズノさんのあれだけ高い技術力があっても、材料などによって多少の違いは出る」とも話した。NPBによると、開幕当初に使用されたボールは昨秋に出荷されたものだ。


一方、投手の頑張りも目立つ。同統括は東京ドームのあと28日に横浜スタジアム、29日にマツダスタジアムを視察した。その2試合はノーアーチ。マツダスタジアムでは広島栗林が「準完全試合」で完封勝ち。対する中日高橋宏も1失点で完投した。阪神高橋は巨人と中日を敵地で完封したし、日本ハム細野はノーヒットノーランを達成した。


それでも数字上は、昨年よりかなり「打高」の傾向が出ている。12日に1巡目の対戦が終了。セ・パ全84試合の平均得点は7・2、本塁打は平均1・54本だった。昨年の同時点では6・76得点、1・06本塁打。25年の全858試合トータルは6・59点、1・28本塁打。今年の本塁打は過去3年を上回るペースだ。


今季の本塁打増は球場の要因が含まれる。「ホームランウイング」「ホームランテラス」が新設されたバンテリンドーム、楽天モバイル最強パークで本塁打が多発している。11日の阪神−中日戦では6本塁打のうち実に5本が「ウイング席」に飛び込んだ。この部分もボール問題を不透明にする一因となっている。


今年、大きな飛球を打たれた阪神のある投手は「詰まったと思ったけど」と率直な感想を吐露した。一方で、ここまで5試合無失点のクローザー岩崎は「始まったばかりでまだ分からないけど」と前置きした上で「個人的には全然、違いは感じていません」と話した。普段は、打球音や当たった瞬間の雰囲気、これまでの経験に照らして、どれくらい飛ぶか予測しているというが、今のところ大きなズレは感じていない。


チームとしてリアクションはあるのか。安藤投手チーフコーチは冷静に様子を見ている。


「実際、分かりませんからね。飛んでいるか飛んでないかは。現段階ではうわさレベルと思っています。本当に飛んでいるというデータが出れば別ですが」


和田ヘッドコーチは打者の心理に与える好影響に言及した。


「打つ方で言えば飛んだ方が気持ちは楽ですよ。本当に飛んでいる、飛んでいないは別として、『飛んでるんじゃないか』と思えるだけでも、ちょっと違う。度合いは人それぞれだろうけど、飛ばないと思うとやっぱり力が入る。『ちゃんと打たないといけないな』と。力むとバットも出てこなくなるから」


現役時代は長距離打者ではなかったが、技巧タイプの打者でも心理的にはプラスとした。


記者が阪神のここまでを見た印象は「どちらとも言えない」。打者の技術向上や、阪神も今季から取り入れているバーチャルマシン「トラジェクトアーク」など攻撃側の進歩も要因かもしれない。まだまだシーズンは始まったばかり。じっくり見守りたい。

このニュースに関するつぶやき

  • 絶対ボール変わってるよ。15試合で13本はホームラン打たれすぎ。それでも失点はリーグ最少の38って・・・
    • イイネ!7
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