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2021年度から運用がスタートした「GIGAスクール構想」は、25年度で5年目が終了したところである。昨年度は初期に配布された端末も5年目を過ぎることから、各自治体では新機種への更新が相次いだ。リース契約の場合はだいたい期限が5年に設定されているわけだし、そうでなくてもバッテリーの劣化や故障、動作速度の低下などが顕著になってくる。5年というのが1つのサイクルと考えていいだろう。
GIGAスクールで採用されている端末は、Google Chromebook、Windows PC、Apple iPadの3種だ。端末の更新に際しては、同じ端末を再発注したところが大半だが、機種を変更する自治体も出てきた。
25年夏頃のMM総研の調査によれば、GIGAスクール第1期では若干Chromebookが多いものの、3種が均衡状態にあった。だが第2期の調達状況を見ると、Windowsが大幅にシェアを下げ、その分がほぼChromebookに流れる結果となった。
iPadはほぼ現状維持である。なぜWindowsだけが1人負けし、Chromebookが1人勝ちしたのか。第2次GIGAスクール、いわゆる「NEXTGIGA」では、何が起こっているのだろうか。
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●Windows離れの背景その1
社会人が使うコンピューターとしては、Windows PCが最多である。ビジネスシーンにおいては、「SaaSの死」と言われつつもMicrosoft Officeが今なお標準的に使われており、多くのアプリケーションはまずWindows版から提供される例が多い。
しかしGIGAスクールが対象としているのは小中学生であり、社会に出るまでにはまだだいぶ間がある。コンピューターそのものを学ぶのではなく、教育としての利用というフェーズでは、社会のシェアとは関係ない選択が行われるのは当然であろう。
Windows PCからChromebookへの移行には、いくつかの理由が考えられる。1つは、コストに対する性能の問題である。
MM総研の調査では、ChromeOSは平均5.4万円、Windowsが5.5万円、iPadOSが5.7万円となった。調達費用は基本的には自治体負担だが、政府補助が5.5万円出る。ただし公立・私立学校、日本人学校などに対しては、補助率は3分の2に留まる。
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ChromeOSの平均5.4万円は、妥当な金額である。学校納品モデルは市販品と若干仕様が違って多少割高になる傾向はあるものの、概ね市場の平均価格範囲内であり、製品としてもこなれている。
一方でWindows PCで5.5万円となると、新品の市販品ではまず見たことがない値段だ。この価格で調達すると、かなり厳しい仕様を我慢することになる。
以前にも言及したことがあるが、23年には徳島県教育委員会が手配した約1万5000台のWindowsタブレットのうち、3500台以上が故障で使えなくなり、授業に支障が出るという事態となった。
調達されたのは中国メーカー「CHUWI」のマシンである。CHUWIは今年に入ってCPUの偽装が発覚し、大問題となったことは記憶に新しい。
教育現場では、Windowsは起動速度の遅さが不満という声が大きい。ほとんどはスリープからの復帰で運用していると思われるが、Windowsはアプリやドライバのインストール後に再起動が求められることが多い。5.5万円で調達したWindows PCの復帰や起動が遅いだろうことは、想像できる。
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また昨年秋頃から始まったメモリー価格高騰により、より多くのメモリーが必要なWindows PCは価格的にかなり不利に働く。端末の調達は今年度まで続くが、この傾向が続けば、Windows離れはより加速するものと思われる。
●Windows離れの背景その2
2つ目は、調達方法の変化である。第1次GIGAスクールでは、費用を負担する市町村単位で発注するケースが多かった。
だが第2次では、第1次を経過して利用方法のノウハウが共有されたことから、もっと広範囲、市町村連合を形成したり、県単位での共同調達が行われるようになった。
例えば神奈川県では、ChromebookとiPadに対して県単位での共同調達の公募が行われた。共同調達により機器導入コストが下げられれば、その分保険などを厚くできる。
また群馬県では、群馬県教育委員会および県内35市町村教育委員会の共同で、Chromebookの共同調達が実施された。
ポイントは、調達対象がLTEモデルということである。校内にもWi-Fi環境は整備されているだろうが、そこに負荷をかけるのではなく、各個人端末に負荷分散させるという方向のようだ。
この背景には、ネットワークの使用目的が、教室内のデータシェアや校内サーバではなく、クラウドへの接続へと変化したことがある。第1次では、まずその目的が端末配布であり、運用に関してはある意味、学校単位や現場任せの部分があった。
そこから5年が経過し、近隣市町村との情報共有が進んだ結果、同じ端末を使うことを選択した自治体や学校、教育委員会が増えたということだろう。
MM総研の調査でも、第2期のOSを変更した理由として突出しているのが、「周辺自治体が多く利用している」であり、利用が多いものに相乗りするほうがメリットがあると考えていることがわかる。つまり現時点ではChromebookへの傾斜が起こったことで、一気にそちらへ傾き始めていると考えられる。
●Windows離れの背景その3
上記にも関連するが、NEXTGIGAにおける端末の使い方は、クラウドベースへ移行している。
例えば宮崎県のChromebook更新事業における仕様書には、端末管理機能(MDM)は必須項目となっている。一方ソフトウェアの導入は、市町村判断となっている。
MDMの目的は、端末設定の遠隔管理、アプリ管理、キュリティ制御などがある。3種類の端末のうち、ChromebookはOSレベルでMDMで運用することが前提となっている。
GoogleではNEXTGIGAに向けて、「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を提供している。これにはMDMライセンス「Google GIGA License」と、サポートパックが含まれる。端末設定管理においては、ローカル管理は行わないという前提が見て取れる。
加えてアプリケーションは、ほとんどがWebアプリとして提供される。つまりローカルにアプリをインストールしないので、ライセンス管理も一元的に行える。
つまりローカルや学校側には、ソフトウェアもライセンス情報も置かないという運用が主流になったということだ。その点でもWindowsの一般的な運用である、管理やアプリのライセンス情報をローカルで全部持つという方向にはない。
●NEXTGIGAの位置づけ
第1次GIGAスクールの目的は、学校へのICT環境導入がメインであった。1人に1台ずつ端末を持たせ、学校にネットワークを配備するという、インフラ整備が主体である。
一方で課題としては、端末はあるが十分に活用されていない、教員のスキルが追いつかない、ネットワークが詰まる、運用の負荷が高いといった指摘があるところだ。
そこから5年が経過した第2次GIGAスクール「NEXTGIGA」では、インフラ整備の次のフェーズへ進む。つまりここからがようやく、教育DXのスタートである。
これまでは学校単位での分散運用・管理だったものが、共同調達による端末の統一化をベースに、都道府県や自治体共同による共同運用・管理へと変化し、学校側の負担を下げている。
また端末が統一されることで、先生の転勤によって慣れない別の端末での運用を迫られるといった負担も減り、すぐに授業が可能になる。教員研修にしても、3端末に全対応するふんわりした話ではなく、1端末を中心により具体的な実施が可能になる。
特徴的なのは、群馬県のようにLTE前提に舵をきるところも出てきたところだ。これは端末の活用が学校の中の限られたエリアにとどまらず、校外学習や家庭内でも十分に活用できることを意味する。
「配る」から「使う」へ、今年度からようやくシフトが始まったということだ。ITの世界観からすれば5年はかなり長い。だが日本全国の教育というレベルで考えると、5年でここまで漕ぎ着けたのは結構速いと評価できるのではないだろうか。
今年度から始まる教育DXを土台に、上の高校・大学の教育もまた変わっていくことを期待したい。
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