限定公開( 5 )

食われるのは「資産」か、それとも「命」か。かつてこれほどまでに「出口戦略」が絶望的な空き家があったでしょうか。
国内最大級の不動産投資サイト「楽待」が、AIで生成した最凶のB級映画「空き家シャーク」を公開しました。「なぜ不動産サイトがサメを?」というネット民のツッコミをよそに、畳の下からサメが飛び出し、カンフーが炸裂するカオスすぎる20分間。その制作に込められた、意外にも真面目な(?)狙いを担当者に聞きました。
日本全国におよそ900万戸存在するとされる空き家。
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倒壊や破損、犯罪や放火による治安の悪化などの恐れがあり、深刻な問題となっています。しかし複雑な権利関係や経済的負担、心理的要因などにより、対策は進んでいません。
そんな状況を少しでも前に進めるべく、「楽待」は一石⋯⋯いえ、“一サメ”を投じる決意を固めました。
同社が公式YouTubeチャンネルに公開した「空き家シャーク」は、空き家を占拠する最凶のサメと、伝説のカンフーマスターとの戦いを通して“空き家”についての問題を描く約20分の映画です。⋯⋯何を言っているんだ?
映画は開始22秒で畳の下から巨大なサメが出現。荘厳な音楽にあわせてタイトルインし、場面転換。空き家の所有者である大山家の家族会議が始まる、という非常にワクワクする導入です。
舞台は日本ののどかな田舎。登場キャラクターは全員(おそらく)日本人。にもかかわらず言語は英語。主人公は筋骨隆々の覆面レスラー。中国の山奥に隠居するカンフーマスターの祖父。竜巻の中を飛翔する着物姿の祖母。戦う女子高生コンビ⋯⋯といい意味でのツッコミどころが満載です。
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制作の担当者によればインスピレーションを受けた作品は様々。
「少林虎鶴拳」「片腕カンフー対空とぶギロチン」といった古い作品から、「チ。-地球の運動について-」「ベイビーわるきゅーれ」「けいおん!」といった最近かつサメ映画とは無縁そうな作品まで、ジャンルのごった煮具合はまさにB級映画の趣。
かつて「片腕カンフー対空とぶギロチン」と「けいおん!」の両方から同時にインスピレーションを受けた作品が存在したでしょうか。
生成AIによる荒唐無稽かつハルシネーションを起こしまくった映像表現は、しかしB級映画の代名詞であるサメ映画と組み合わさると、そこまで違和感なく鑑賞できてしまいます。
一見バカげた映像の連続である「空き家シャーク」。
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ですが楽待の公式Xが「制度的な問題も絡み、空き家は増加の一途を辿っています。本作はそんな空き家に関してサメを通じて問題提起できないかと考え制作しました」と述べている通り、シナリオには日本の空き家についての問題が自然に盛り込まれています。
人口減少や制度上の問題で空き家が約900万戸も残ってしまっていること。空き家の扱いを巡って家族会議を開くも、固定資産税や管理費、解体費用など金銭面を巡って紛糾してしまうこと。
そうした諸問題のメタファーとしてサメを置くことで、空き家問題が空き家そのものではなく、別のところにあるのだということを端的に知ることができるのです。
映画はXを中心に大きな話題を呼び「意味分かんないけど面白いから良い」「社会派サメ映画だ…」「意識高い系の狂気」といった声が相次いでいます。
しかも恐ろしいのはこの「空き家シャーク」が同社の2作目、ということ。YouTube上には同じく不動産×サメをテーマにした「タワマンシャーク」が公開されています。こちらは高騰しすぎたタワマンをサメが襲うという内容です。
なぜ不動産×サメでコンテンツを発信するのか。楽待の担当者に詳しくお話をうかがってみました。
−−空き家問題を提起するために今回の生成AI映画を作ったとのことですが、企画のきっかけをお聞かせください。
当社は不動産投資の情報発信を行っており、空き家問題に関する啓発活動も行っています。現に日本全国には900万戸の空き家が存在し、問題化しているため、この現実をサメを通じて伝えられないかと考え企画しました。
−−なぜサメに⋯⋯?
サメにした理由は、サメと不動産は相性がいいと考えたからです。
英語には「ランド・シャーク」という慣用句があります。これは「地上げ屋」や「強欲な不動産業者」を意味しますが、実際に日本の不動産業界にも「闇」の部分や、一歩間違えると自己破産に追い込まれるような危険が潜んでいます。
−−そんな慣用句があるんですね。
また、「サメ映画」は映画の一ジャンルとして確立されておりファンも多いです。
そこで、サメを「不動産業界に存在する脅威」のメタファーとして表現できれば、不動産業界の課題を伝えつつ、多くの方に見てもらえる作品ができるのではないかと考えました。
−−確かに「B級映画=サメ」のようなイメージがあります。
さらに、生成AI映像におけるハルシネーションは、「サメ映画」というフィルターを通せば自然と許容されてしまうという特性も発見しました。(多少映像が雑でも「サメ映画だからいいか」という受け止めになる)
以上のことから「不動産×サメ×AIは非常に相性が良いのではないか」というのが企画の出発点でした。
−−かなり本格的なB級映画に仕上がっていましたが、制作はどのような形で進んでいったのでしょうか。
制作期間は1本あたり1か月ほど。普段からB級映画をよく見ている企画担当者が、過去に見てきた作品の記憶を引っ張ってきています。『ジョーズ』や『シャークネード』などの名作を参考に、他ジャンルのB級映画の要素をスパイスとして加えることで、より濃厚な映画的世界観を目指しました。
−−特にインスピレーションを受けた作品などはあるのでしょうか?
「空き家シャーク」はサメ×B級カンフーをやりたいという着想があり、主に下記のような作品から影響を受けています。
・『少林虎鶴拳』→一族が世代を超えて強敵に復讐を遂げるストーリーのベースはこの作品から。
・『片腕カンフー対空とぶギロチン』『ドラゴンVS不死身の妖婆』などのジミー・ウォング監督作品→老人が飛んで屋根を突き破るなどの荒唐無稽なカンフーアクションはここから。
・『チ。-地球の運動について-』→主人公交代劇が20分の尺でできないかと試みた。
・『ベイビーわるきゅーれ』→後半の女性2人のバディーアクションはこの作品から。
・『けいおん!』→主人公の親友が軽音楽部でギターを武器に戦うのはこの作品から。
−−まさかの『けいおん!』
脚本は作らず、まずは大まかなあらすじとキャラクターを考えて、映像を作りながら細かいストーリーやセリフを同時進行で考えていきました。
やりたいことが制作者の頭の中で明確になっていれば、長編では難しいが20分の短編ならこの方法でも通用します。
−−映像は生成AIとのことですが、細かいストーリーやセリフ部分も生成AIでしょうか?
映像と一部の音声はAIで、その他は全て人力で作っています。ストーリーは企画担当者が考えており、その過程で補助的にAIを使用しています。
例えば、サメをナノ分解する化学式はAIに「極限までリアルにしてほしい」と指示して作ってもらったもの。
−−確かにそのあたりの考証もAIは上手にやってくれそうですね。
尊敬する監督である「ゴジラ」の本多猪四郎監督は、作品の科学考証にリアリティーを持たせるため、作品の制作時には東大の研究所に通っていたといいます。
これを参考に、東大の研究所には通えないので代わりにAIに質問をすることで考証にリアリティーを持たせようと努めました。
−−キャラクターのセリフは全編英語でしたが、これにはなにか理由があるのでしょうか?
現行の動画生成AIツールだとセリフ生成の精度が日本語より英語の方が高いという技術上の理由に加えて、洋画のB級映画のような雰囲気を出したかったからです。
−−日本の空き家問題について、映画で描かれていること以外で伝えたい事がありましたら、お聞かせください。
映画では描ききれませんでしたが、老朽化による倒壊や放火、治安悪化など、建物自体に起因する危険性は伝えていきたいと考えています。
当社は不動産投資プラットフォーム・メディア・動画発信力を使って、空き家や遊休不動産の流通・利活用を後押しする取り組みも行っています。
単に物件情報を載せるだけでなく、再生事例・管理ノウハウ・活用モデルを映像で伝え、中古不動産の流通を活発にする方向です。
また、空き家率が高い四国の4自治体に計1000万円の寄付を行うなど、行政に働きかける活動も行っています。
−−御社は1つ前に「タワマンシャーク」という作品も手掛けていますが、今後も不動産投資×AI映像の企画を続けていく予定でしょうか?
当社のビジョンである「公正な不動産投資市場を創造する」を実現するために、
楽待のウェブサイトやオウンドメディアの「楽待新聞」、そして「楽待チャンネル」などを通して、日々情報発信を行っています。
エンタメを通して不動産業界の課題や問題点を知ってもらうのは意義のある活動なのではないかと思っているため、今後も、不動産投資の正しい情報を発信できる良い作品を作っていきたいです。
<記事化協力>
不動産投資の楽待(@RakumachiNews)
YouTube「空き家シャーク」
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By ヨシクラ ミク | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026043006.html|
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