
自分のルールにだけ従って生きている人が増えているのかもしれない。典型的な例を見てみたい。
とにかく動かない人
「混んだ車内では、臨機応変な対応が必要だと思うけど、乗ったらここが自分の位置とばかりにまったく動こうとしない人がいますよね。揺れても身動き1つせず、肘を張って場所をキープ、その肘にぶつかって痛い思いをしたことがあります。駅に着いても、ドアの真ん前で動かない人もいます。降りまーすと声をかけても動かない。イヤホンを耳に入れたまま知らん顔。それで私も動けず、後ろからどんどん押されることに」
ミカさん(38歳)は、日々の出勤時の様子をそう話す。確かに「動かない人」は多い。途中で席があいたときは目の前の人が座ってくれた方が結果的に立っている側もスペースができて楽になるのだが、立ち位置を決めて動かない人は座ろうとしない。
「仕方がないから横から滑り込むようにして座ったことがありますが、それでも体の位置をずらしてくれない。頑なに動かない人って、何かよほどの思想信条があるんでしょうかね」
苦笑するミカさんだが、男性女性問わず、足を肩幅に広げて立ち、ときには肘を張ってまったく動こうとしない人には何を守りたがっているのだろうと思わせられる。
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独り言の多い人
混んだ車内で、独り言を言っている人もいる。小声でぶつぶつ言っているくらいなら気にも留まらないが、「呪いの言葉を吐いている人がいて怖かった」と言うのはマキエさん(35歳)だ。「会社で嫌なことがあったんでしょうか。『あの野郎、いつか痛い目にあわせてやる』とか『覚えてろよ』とか呪いの言葉をつぶやいている。30歳前後の男性でしたが、チラッと見たらすごく怖い顔をしていて。
次の駅で思わずいったん降りて、別のドアから乗りました。電車内っていろいろな人のストレスがたまっている。ふっと魔に取り憑かれたような人がいても不思議ではない怖さを感じました」
そうしたストレスが何かのきっかけで爆発し、怒号が飛び交ったり暴力事件に発展する恐れもあるのではないかとマキエさんは危惧する。
「みんながストレスを覚えていることを共有しあって、摩擦を起こさないようにする暗黙の了解ができあがればいいなと思います」
つい独り言を発してしまう癖を自覚している人は、電車内ではなるべく心の中で言うように気をつけた方がいいかもしれない。
難癖をつける高齢男性
さまざまな場所で問題になりがちな高齢男性だが、電車の中でもやはり問題の起点となることが多いようだ。チアキさん(43歳)は、先日見かけた光景を話してくれた。|
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周りも思わず『はあ?』という感じでした。電車内で立つ位置なんて、その日によって変わるのが当然なのに、なんでそんなことに固執しているのか。
会社員はあきれたように知らん顔していましたが、そこに入ってきたのが別の高齢男性B。『あんた、ここは公共の場だよ』と先の高齢男性に穏やかに注意したんです。するとAは『なんだよ、おまえは』と荒々しく詰め寄った」
なんとも殺伐とした雰囲気になりかけたところ、次の駅に到着してドア付近の人たちはいたん全員降りた。そしてドア付近にまた高齢男性AとBが乗り込んできて、AがBの胸ぐらをつかみそうになる。
ドアが閉まりかけたそのとき、件の会社員がAを静かに押し出した。Aをホーム上に残してドアは閉まり、電車は発車した。
社会人としての自覚を
車内にはホッとした空気が漂い、Bは会社員に「明日から、この時間にこの場所に乗らない方がいいよ」と言い、会社員は「お互いにね。そうしましょう」と声をかけあっていた。|
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「高齢者を大事にしようという気持ちはみんな持っていると思うけど、高齢者側が強要するのは違いますよね。この人、一人暮らしで寂しいのかなとか家族に疎まれているのかなとか、いろいろ考えさせられます」
今後、高齢者は増える一方である。社会の一員としての自覚が求められていることを、高齢者自身も忘れない方がいい。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

