写真 新卒から18年半、テレビ朝日のアナウンサーとして、報道、スポーツ、バラエティなど多岐にわたる番組を担当してきた大木優紀さん(45歳)。
40歳を超えてから、スタートアップ企業「令和トラベル」に転職。現在は旅行アプリ「NEWT(ニュート)」の広報を担当。さらに2025年10月には、ハワイ子会社「ALOHA7, Inc.」のCEOに就任し、家族とともにハワイへ移住。新たなステージで活躍の場を広げています。
第52回は、旅行会社勤務の大木さんが、旅行アプリ「NEWT」の予約データをもとに、夏休みの海外旅行動向を読み解きます。(以下大木さん寄稿)
◆2026年夏休み旅行動向と二極化
気がつけば2026年も折り返し地点。いよいよ夏休みシーズンがやってきました。みなさんは、この夏の旅行先、もう決まっていますか?
旅行アプリ「NEWT」でも、7月から9月上旬にかけての予約が本格的に動き始めており、今年の夏休み旅行の傾向が見えてきました。
その特徴をひと言で表すなら、「二極化」です。
今年は海外旅行の選択肢が、驚くほどはっきりと二つの方向に分かれています。限られた休暇を使って遠くまで足を延ばす人がいる一方で、近場で気軽に海外気分を楽しもうとする人も増えています。
なぜ今、そのような現象が起きているのでしょうか。
今回は、旅行アプリ「NEWT」の予約動向をもとに、2026年夏休みの海外旅行トレンドを読み解いていきます。
◆今年の平均予算と、旅行者の選択
まず注目したいのが、旅行予算の変化です。
2026年夏休みの海外旅行における平均旅行代金は、1人あたり12万3013円。前年の約9万4000円と比べると、約30%の上昇となっています。
旅行業界に身を置く立場から見ると、「ここまで上がってきたか」と思うのですが、その背景にあるのが、世界的なインフレや円安。さらに、中東情勢の不安定化による燃油サーチャージの上昇も重なり、特に長距離路線の旅行代金を大きく押し上げています。
こうしたコスト高を受けて、旅行者の選択は大きく二つの方向に分かれているといえます。
一つは、韓国や台湾、などの近距離エリアを選び、旅費を抑えながら海外旅行を楽しむスタイル。もう一つは、「どうせ行くなら特別な体験をしたい」と、多少費用がかかっても欧米やリゾートなど遠方への旅行を選ぶスタイルです。
つまり、二極化が進んでいるのです。この傾向は、実際の渡航先ランキングにもはっきりと表れています。
それでは、旅行アプリ「NEWT」の予約データから、2026年夏休みの人気渡航先トップ5を見てみましょう。
◆気になる渡航先ランキング、不動の一位と二極化
まず第1位(36.2%)は、不動の人気を誇る韓国です。
旅行アプリ「NEWT」は比較的若い世代の利用者が多いこともあり、韓国人気の高さが際立っています。東大門や明洞エリアのホテルが定番で、平均旅行日数は3.3日。2泊3日の短期旅行が主流となっています。
また、おトクなセール商品が定期的に登場することも人気の理由の一つ。フライト時間が短く、週末や連休でも気軽に楽しめることから、「安・近・短」を重視する旅行者に支持されています。
美容やグルメ、ショッピング、カフェ巡りなど、限られた日程でも満足度の高い体験ができる点を考えると、やはり、韓国は強い。納得の1位です。
ただし、韓国の人気は依然として高いものの、全体に占める割合はやや下降傾向。 他エリアにも需要が分散しはじめている様子がうかがえます。
第2位(20.2%)は台湾です。
台湾も韓国と同様に、比較的短期間かつ手頃な予算で楽しめる渡航先として人気を集めています。占いやお茶体験、台湾式シャンプーといった現地ならではの体験が豊富で、「モノ消費」よりも「コト消費」を重視する旅行者のニーズとも相性が良いようです。
さらにランキングを見ると、第4位(5.7%)にはフィリピン、第5位(5.1%)にはタイがランクインしています。フィリピンはセブ島への直行便の利便性が高く、タイはバンコクとプーケットという二大人気エリアが安定した需要を支えています。
このように上位には、東アジア・東南アジアの近距離エリアが並びました。旅行代金の高騰が続くなかでも、移動時間や費用を抑えながら海外旅行を楽しみたいというニーズの強さが見て取れます。
その一方で、「ごほうび旅行」需要の存在も見逃せません。
第7位(4.3%)にはハワイがランクインしています。ハワイの平均旅行代金は1人あたり27万738円。2026年夏休み全体の平均旅行代金である12万3013円と比べると、2倍以上の費用をかけていることになります。
平均旅行日数は6.0日間。4泊6日以上の日程で滞在する人が多く、夏休みならではの家族旅行や特別な記念旅行として選ばれているようです。
旅行代金が上昇しているからといって、すべての人が節約志向になっているわけではありません。「日常の延長として気軽に海外を楽しむ近距離旅行」と、「一生の思い出になる特別な体験にお金をかける遠距離旅行」。2026年の夏休みは、その二つの価値観が共存するシーズンになっていると言えそうです。
◆2026年、ベトナムが選ばれるワケ
ランキングの中で、もっともシェアを拡大した目的地は3位(7.6%)の「ベトナム」です。
ベトナムは前年からシェアを3.6ポイント伸ばし、韓国、台湾に次ぐ第3位にランクインしました。2026年夏休みの海外旅行トレンドを語るうえで、外せない存在と言えるでしょう。
その人気をけん引しているのが、中部リゾート都市のダナンです。
旅行アプリ「NEWT」の予約データを見ると、ベトナム旅行者のうち実に57%がダナンを選択。前年と比べて16.1ポイント増加しており、まさに「ダナンブーム」と呼べる状況になっています。
ダナン人気の理由は、リゾートとしての満足度と利便性の高さを両立していることにあります。
ベトナム航空の直行便を利用すれば、成田や関西国際空港から乗り換えなし。さらにダナン国際空港からホテルが集まるエリアまでは車で10〜15分ほど。到着後すぐにリゾート気分を味わえる手軽さがあります。
現地での移動のしやすさも魅力です。ベトナムでは配車アプリが広く普及しており、事前にアプリへクレジットカードを登録しておけば、言葉が通じなくてもスムーズに移動できます。料金が事前に表示されるため、海外旅行に慣れていない人でも安心です。
さらに、ダナンから世界遺産の街ホイアンまでは車で1時間ほど。Grabを利用しても片道約2500円程度でアクセスでき、ビーチリゾートと歴史ある街並みの両方を楽しめます。
実際に私もダナンを訪れたことがありますが、その利便性とミーケビーチの開放感。ハワイのようなリゾート感と、利便性、そしてコスパの良さ。そのバランスが絶妙で、本当に満足感の高い旅ができました。
「リゾートでゆっくりしたい」「でも予算はできるだけ抑えたい」。そんな今の旅行者のニーズに、ダナンは見事に応えているのかもしれません。
◆人気の「ダナン」気になる予算は!?
気になるダナンの平均旅行代金は1人あたり15万3162円。夏休み全体の平均である12万3013円と比べるとやや高めですが、その価格以上の満足感が支持を集めている理由と言えそうです。
高級リゾートホテル、美しいビーチ、世界遺産の街ホイアン、そして近年話題の「天空のリゾート」バーナーヒルズ。滞在中に楽しめる体験の幅広さを考えると、むしろ割安に感じられます。
実際、最近は「脱ハワイ」の行き先としてダナンが取り上げられる機会が増えています。円安や燃油サーチャージの高騰によってハワイ旅行のハードルが上がるなか、その受け皿としてダナンへの注目が高まっているのです。
もちろん、現在ハワイに在住している私としては、ハワイにはハワイにしかない魅力があるから「ぜひきてほしい」と思います。しかし、旅行者の視点に立つと、「リゾートでゆっくりしたい。でも予算は抑えたい」というニーズに対して、ダナンは非常に魅力的な選択肢になっています。
さらに、ベトナム人気を支えているのはダナンだけではありません。
ホーチミンも安定した人気を集めており、平均旅行代金はダナンより4〜5万円ほど安い10万円台前半。ローカルグルメや街歩きを楽しみたい人から支持を集めています。
活気あふれる街並みやローカルグルメ、歴史的なスポット巡りなど、エネルギッシュなアジアの都市を楽しみたい人にとっては魅力的な目的地です。
このように、現在のベトナムは、リゾートのダナン、シティのホーチミン。この二つの異なる魅力が、今のベトナム人気を支える大きな原動力となっているのです。
◆2026年夏休み旅行から見えたもの
2026年に入り、物価高や円安、さらには燃油サーチャージの上昇など、旅行者にとっては厳しいニュースが続いています。
それでも、旅行そのものを諦める人ばかりではありませんでした。
韓国や台湾などの近距離エリアで予算を抑えながら満足度の高い体験を求める人。ハワイやオーストラリア、ヨーロッパなど、費用がかかっても特別な「ごほうび旅行」として思い切ってお金を使う人。そして、ダナンのようにリゾート感とコストパフォーマンスを両立した新しい選択肢を選ぶ人。
旅行者たちは、それぞれの価値観に合わせて旅先を選んでいることが見えてきました。
限られた予算や時間のなかで、自分にとって本当に価値のある体験にお金を使う。そんなメリハリのある消費行動が、今年の旅行市場を象徴しているように感じます。
今年の夏の予定がまだ決まっていないという方も、まだ間に合います。みなさんは、この夏どんな旅を選びますか?
【調査概要】
集計データ:『NEWT』予約データ
集計対象 :帰国日が2025年7月1日〜9月30日、2026年7月1日〜9月30日までの海外ツアー
<文/大木優紀>
【大木優紀】
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母