※画像はイメージです。生成AIを使用しています 公共交通機関を利用したときの嫌な思い出、多少なりとも経験した人は少なくないのではないでしょうか。
それらの多くは、“故意”な言動ではないという部分、つまり加害者意識がないことが被害者の“不快感”を増大させる引き金になっているようです。
今回取材した新幹線で男性が遭遇したケースも、相手にしてみれば「?」的な一件でした。一体何があったのでしょうか。
◆心地よい“うとうと”を邪魔された新幹線出張
今回取材したのは、首都圏に住む会社員の細川さん(仮名・37歳)。細川さんの会社は滋賀県に工場があり、月に2回ほど出張があるといいます。
「いつもは350mlのビールを1本飲んだら、しばらくしてうとうとし出して目が覚めたら米原に到着するので、私にとってはベストなパターンなんです」
ところが、その日はまったく勝手が違ったと言います。列車が走り始め、うとうとしかけた矢先、太ももに何かが当たる感触があったそうです。
「目を開けると、隣の真ん中席に座ったスーツ姿の男性が足を組んでいて、靴のかかと部分が細川さんの太ももにコツコツと当たっているんです。『非常識なやつだ』と内心思いながらも、大人の対応として太ももを左にずらしました」
細川さんは、当たらなくなったことを確認してから、再びうとうとし始めたといいます。
◆とにかく当たってくる隣の男性の足
ところが、ほどなくしてまた目が覚めた細川さん。位置をずらしているにもかかわらず、何かが当たってくる。どうやら男性は眠りながら足を組み替えたらしく、今度はひざが細川さんの太ももに直撃する形になっていたというのです。
細川さんは右手で払うように男性の足をどけました。それでしばらくは収まったそうですが、またしばらくすると同じことが繰り返される──そんな状況がずっと続き、仮眠どころかまともに座っていることさえままならない状態になっていたといいます。
「正直、最初のうちは『寝てるんだから仕方ないか』と思っていたんです。でも何度払ってもまた接触してくるんです。私はどちらかというと気が長い方なんですが、さすがの私もだんだん腹が立ってきて、堪忍袋の尾が切れ始めました」
◆「うっせぇな、ちっ」──注意したら返された信じがたい言葉
ついに限界を迎えた細川さんは、少し大きめの声で男性に向かってはっきりと告げたそうです。
「スミマセン! 足が当たってるんですけど。足組まないでもらえます?」
隣の男性は寝ぼけたような様子で「うっせぇな、ちっ」という、あまりにも乱暴な言葉を返してきました。細川さんはその反応に一瞬思考が止まったといいます。
「え、この人何者?って思いました。呆気に取られてしまって、一旦どうしようかと考えたんですよ」
もしかしたらヤバイ輩なのかもしれないと思った細川さんは、それ以上の口論は避けたのですが、男性のいやがらせのような行為はそれでも止まりません。再び我慢の限界に達した細川さんは、先ほどよりきつい口調で強気に出ることにしました。
「ズボン汚れてるんですけど。車掌呼びますか?」
◆「す、すみません。気をつけます」──豹変した男の末路
車掌という言葉が効いたようです。さきほどまでは寝ぼけた様子だった男性は、目を見開き完全に覚醒し態度が急変したそうです。
「す、すみません。ごめんなさい。気をつけます」と細川さんの方を向いて真顔で謝罪したその男性。今までの態度が嘘のように、足を揃えて手を膝の前に重ねておとなしく座り直したとのことです。
それ以降は何も起きず、細川さんは目的地の米原まで、ようやく仮眠を取ることができたそうです。
「正直、最初から車掌のカードを切れば早かったんでしょうけどね(笑)。でも穏便に済ませたくて引っ張ってしまいました。次からはもう少し早めに動こうと思いました」
公共交通機関でのマナー違反は、注意した側がリスクを負わされるケースも少なくありません。それでも毅然とした対応が、相手の態度を変えることもあることも事実。細川さんのエピソードは、そんな現実を示してくれました。やっぱり正義は勝つのかもしれませんね。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営