


ミソノには結婚当初から、あらかじめ地元に戻ることは伝えてあった。「一緒についていくよ」と言われていたから安心していた。そしてもうじき本社に戻るだろうというタイミングで、両親が実家の隣の土地を買っておいてくれた。

よく「家はご縁」という言葉も聞く。専業主婦のミソノにローンを組むことはできないから、俺が家を買うことを承諾しなければいい。家賃補助が切れるギリギリまで引っ張れば、最終的に理想のかたちに持ち込むことができるだろう。
いつかは必ず実家に戻ること、それは俺にとってはマストだった。だから生まれ育ったA県の地元企業に入った。ただミソノが同居を嫌がるとは想定外だった。俺の地元に戻る話を了承してくれていたから、てっきり同居もOKかと思っていたのに……。
ただミソノは自分たちの家を買いたがっている。俺でなければローンを組んで家を買えないのだから、最後は「実家しか残っていない状況」にすればいいだけだ。そこまで追い込まれればミソノだってきっと承諾してくれるだろう。我ながら完璧な計画だと思っていたのだった。
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