限定公開( 3 )

外食企業が朝食メニューの強化を進めている。調査会社のサカーナ・ジャパン(東京都港区)によると、2024年10月〜2025年9月の外食業態における朝食市場規模は5347億円となった。現在、「第4次モーニングブーム」ともいわれる盛り上がりを見せている。
こうした中、サンマルクカフェは4月、創業以来初めてとなるモーニングメニューとランチメニューのリニューアルを実施した。同店は看板商品の「チョコクロ」をはじめ、店内で焼き上げるパンやコーヒーを提供するベーカリーカフェとして支持を集めてきた。
新モーニングセット「あさマルクカフェ」では、Sサイズのコーヒーまたは紅茶をセットにした「THE クロワッサンセット」(390円)やデニッシュが付いた「焼きたてパンセット」(490円〜)、「THE ホットドッグセット」(570円)、「サンドイッチセット」(670円〜)、「ホットサンドセット」(770円〜)などを展開している。5月中旬には「チョコクロセット」(500円〜)を新たに追加した。
新ランチセット「ひるマルクカフェ」でも、あさマルクカフェ同様にSサイズのコーヒーまたは紅茶をセットにした「バジル香るベーコンピザトーストセット」(550円)、「THE ホットドッグセット」(620円〜)、「サンドイッチセット」(720円〜)などを用意した。プラス200円で「チョコクロ」を追加できる。
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サンマルクカフェはコロナ前には約400店舗を展開していたが、駅前の路面店を中心に採算が悪化し、約100店舗を閉店した。現在は店舗網の立て直しを進めており、中期経営計画では2029年度に370店舗体制を目指している。
なぜこのタイミングで、メニューを刷新したのか。サンマルクカフェの小山典孝社長に話を聞いた。
●モーニングメニューを刷新したワケ
――今回、モーニングメニューを刷新した狙いを教えてください。
サンマルクカフェは現在、路面店を再出店していくフェーズにあります。路面店は人流が多いところに出店していくので、通勤時間帯は押さえないといけない時間帯の1つです。午後はもともと強みを持っているので、次に強化すべきなのは「朝」でした。
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サンマルクカフェの店舗の半分程度が首都圏にあります。首都圏は共働きの方が多いので、お子さんがいるかいないかにかかわらず、朝はバタバタと忙しいんですよね。その中で、朝食を1つのキーにしてチャレンジしていこうと考えました。
――メニュー刷新前も、チョコクロなどのパンとドリンクのセットをモーニングメニューとして提供していました。今回の刷新では、チョコクロではなくクロワッサンなどを主力として提供しています。実際、4月に始めた「あさマルクカフェ」のセットメニューに当初チョコクロはありませんでした。
刷新前のモーニングの購入比率を見ると、ドリンクだけの注文が約8割以上でした。スタッフは朝早くからお店を開けて準備しているものの、売り上げにはあまり寄与していなかったんです。私自身も「チョコクロで有名なチェーンなのに、朝の時間帯はこんなに売れないのか」と驚きました。
チョコクロのイメージがやっぱり強いので「朝からチョコレートは少し重いな……」と敬遠される部分はあったようです。コアなファンの中には「朝一番に行けば、確実に焼き立てのチョコクロが食べられる」と知って来店してくださる方もいます。一方で、ライト層にとっては、朝のチョコクロが来店動機になっていませんでした。
オープンに合わせて、スタッフの皆さんが毎朝早くに起きてチョコクロを焼いて準備してくれているのに、それが朝の時間帯に売れていないというのは残念ですし、なんとかしなければならないと思いました。そこで、朝に手軽に食べられるシンプルな商品を開発・投入しました。
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リニューアル後はセットで購入していただく方が想定以上に増えたので、客単価も上がっています。
――朝でも気軽に食べられるように「THE クロワッサンセット」を主力に展開したというわけですね。一方、5月中旬には「チョコクロセット」を新たに投入しています。
あさマルクカフェを導入した当初は、セットにチョコクロを入れていませんでした。ところが、お客さまから「モーニングのセットメニューにチョコクロはないのか」という声が寄せられました。「朝にサンマルクカフェに行くなら、やっぱりチョコクロを食べたい」と感じてくださる方がいる。いい意味でのギャップでした。
「朝にチョコクロを食べに来てください」と言うと多分来店につながらないのですが、「あさマルク」をきっかけに来店した結果、「やっぱりチョコクロも食べたい」となるようです。
●モーニングはどのような客層が多いのか
――あさマルクカフェは、どのような利用客が多いですか。
圧倒的に多いのはオフィスワーカーです。ただ、地方の店舗では、年配の方が朝から来店されます。食べ物はあまり一緒に購入されないのですが、毎朝、コーヒーを飲みに来てくださる方がいらっしゃいます。
首都圏のオフィス街では、出勤前に店内でPCを開いて、メールチェックなどの仕事をされている姿をよく見かけます。普段は40〜50代の女性客が多いのですが、朝は男性が約半分を占めます。現在はイートインが中心ですが、いずれはテークアウトしてオフィスで食べていただくような需要も開拓していきたいと考えています。
土日になると、住宅街や駅前の店舗では、平日にはあまり見かけない家族連れがいらっしゃいます。お出かけの前に「バタバタするから朝食はサンマルクで食べていこう」という様子で来店する姿も見かけます。
――あさマルクカフェの価格は390円からと、比較的利用しやすい設定です。
朝の時間帯に関しては、コンビニが競合だと考えています。店舗数では太刀打ちできませんが、お客さまの朝の行動を見ると、コンビニが強いです。
毎日サンマルクカフェに来てほしいという思いもありますが「普段はコンビニだけれど、週に1回はサンマルクカフェで焼き立てのパンを食べる」といった、ご褒美的なポジションもあります。コンビニはベンチマークとして意識しています。
朝をきっかけに、またチョコクロを買いに来ていただければ、年間のLTV(顧客生涯価値)向上にもつながる可能性があると考え、「投資」という意味合いも含めて、390円という低価格メニューも加えました。
朝にクロワッサンを食べたら、昼はホットサンドにしようとか、想起を高めていくのが大事だと思っています。入り口が朝の人もいれば、昼の人もいるので、間口を広げていくのが狙いです。
現在は、外食、中食(総菜や弁当などを買って帰り家で食べること)、内食(家で素材から調理したものを食べること)の境界がなくなってきています。コンビニにもイートインスペースがありますし、スーパーにも買った商品をその場で食べられるエリアがあったり、デリバリーに対応していたりする店舗があります。われわれも店舗利用だけでなく、デリバリーや通販など、さまざまなチャネルを押さえることが重要だと考えています。
●新ブランド「サンマルクカフェ&茶」の狙い
――2025年7月から、新ブランド「サンマルクカフェ&茶」も立ち上げました。「黒糖タピオカジャスミンミルクティー」(690円)などのタピオカドリンクや「凍頂烏龍フルーツティー ピンクグレープフルーツ&ゆず」(720円)といったフルーツティーなどの限定メニューを、「サンマルクカフェ」で通常提供するメニューに加えて展開しています。
駅前の新規出店は、基本的に「サンマルクカフェ&茶」タイプで展開していきます。既存の駅前店舗も、改装のタイミングで順次切り替える予定です。2029年頃までに、全店舗の約4割を「サンマルクカフェ&茶」タイプにすることを目指しています。お茶の専門店を新しく作ってもしょうがないと私は思っていて、「サンマルクカフェ&茶」という名前にしました。
コーヒーを飲まない方が増えている市場に対して、「朝からアジアのお茶」という新しい選択肢を、朝食セットと掛け合わせて提案できる可能性もあると思っています。例えば「和紅茶とクロワッサン」を朝から店内で楽しんでいただいたり、持ち帰っていただいたりできる環境を整えていきたいです。
――もともと、ランチ時間帯や夕方などに強みのあるサンマルクカフェですが、夜メニューの展開も今後考えているのでしょうか。
今はやっていませんが、構想はあります。「なんとかマルクカフェ」という形で、いろいろな展開ができると思っています。ベーカリーカフェという枠組みの中で「夜の時間帯をどう構築するか」は、大きなチャレンジになると思います。
駅前の店であれば、いわゆる「0次会」や「1.5次会」に対応するよう、ライトなビールを提供したり、チョコクロに合うハイボールを開発したりすることも考えられます。チョコレートとお酒は、結構相性がいいですからね。
――今後、改革を進める上で大切にしていることは何でしょうか。
サンマルクカフェは、チョコクロから始まったと言っても過言ではないので、ある意味、チョコクロ頼みになっていたところもあります。ただ、定番商品がいつまでも売れ続けるとは限りません。
仮に「チョコクロが明日から売れなくなったらどうするか」「チョコレートの価格が高騰して高級品になったとき、どう戦うか」。そうしたニーズや環境の変化に、どれだけ対応できるかが大切だと思います。
大事にしているのは、「変えないこと」と「変えなければいけないこと」を区別して対応することです。例えば、朝から店舗でパンを焼くというコアな価値は、絶対に変えてはいけないと思っています。
一方で、これまでのメニューをそのまま続ければいいということではありません。コーヒー離れが起きているのであれば、お茶のメニューも入れていく。そして、それをお客さまに分かりやすい言葉で伝えていくことも大切です。
コアとなる価値は変えずに、環境の変化に合わせてどれだけ柔軟に対応していけるか。そこを何よりも大事にしています。
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