
夫も出ていったままだし、あの役立たずのケンイチさえもうここにはいないのです。
静まりかえった古い一軒家。夫は田畑を売り、村から少し離れた安いアパートで暮らし始めたらしいです。ケンイチは……わかりません。私は1人、暗い居間の真ん中に座り込んでいます。



窓の外では、ただただ無機質な風が吹いていました。車を運転できる人間も、食事を運んでくれる人間も、話し相手になってくれる人間も、もうこの家には誰もいません。
自分を縛りつけてきた村のルールと自ら作り上げた孤独の檻の中で、私は今日も「親孝行な息子」の足音を待ち続けています。
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あれから数年。静まりかえった家で、私は鳴ることのないスマホを握りしめています。
シンジはあの女に毒され、私を見捨てました。
40年ものあいだ、地獄のような介護と理不尽に耐え抜き、嫁の務めを果たした私には、報酬を受け取る権利があるはずなのに。
村からも孤立し、車も食事もままならない孤独の檻で、私は今も「母さんが正しかった」と誰かが帰る日を待ち続けています。
しかし報われるはずの順番が来ないまま、私はこの家で朽ち果てていくのかもしれません……。
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