画像提供:マイナビニュース「今は症状がないから大丈夫」という油断が、将来の健康リスクにつながるかもしれない。『毎日の小さな習慣が病気をつくる ヤバイ健康負債』(Dr.パンダ/あさ出版)では、高血圧や糖尿病、認知症などの病気と生活習慣の関係を「健康負債」という新しい視点で解説。日々の小さな選択が将来にどう影響するのか、医学的な知見をもとに読み解いていく。
今回のテーマは「ビタミン不足が、体の“老化速度”を押し上げる」。
○ビタミンC・D・Eの不足によって起こる健康リスク
ビタミンは足りていて当たり前の存在なので、欠乏するまでなかなか意識されません。しかし、ビタミンC・D・Eは、それぞれ異なる形で体の基本機能を支えています。
ビタミンCは水溶性ビタミンで、強い抗酸化作用を持ち、コラーゲン合成(皮膚・血管・軟骨の材料)、免疫細胞の働きをサポート、鉄の吸収促進などに関わります。欠乏すると壊血病のような歯ぐきの出血・皮下出血・創傷治癒遅延が起きますが、そこまでいかなくとも疲れやすさ、あざ、歯ぐきからの出血などとしてあらわれることがありますし、免疫機能にも関わります。
ビタミンDは脂溶性ビタミンで、腸からのカルシウム吸収を高め、骨や歯の形成・維持を助けるほか、筋力維持や免疫調整にも関わることがわかってきました。血中濃度の低い人では、骨折・転倒のリスクが高いことが、多くの観察研究で示されています。
ビタミンEは脂溶性の抗酸化ビタミンで、細胞膜を“サビ”から守る役割があります。欠乏が重いと神経障害や網膜障害などにつながることが知られており、酸化ストレスの強い状態(喫煙・性炎症など)では需要が増えると考えられています。
したがってビタミンの欠乏を避け、食事から適量を摂ることが、健康維持のために大切なのです。
○ビタミンは1日にどのくらい必要か
【ビタミンC:少なくとも65〜90mg/日、上限は2,000mg】
日本人の食事摂取基準では、成人のビタミンC推奨量は男女とも100mg/日です。米国基準では成人男性90mg/日、成人女性75mg/日、喫煙者ではさらに35mg/日の上乗せが示されています。日本基準ではビタミンCの耐容上限量は設定されていませんが、米国では成人の上限量を2,000mg/日としています。高用量を長期にわたって摂り続けると、下痢・腹部不快感、腎結石リスクが問題になる可能性があるため、サプリで大量に摂り続ける必要はありません。
【ビタミンD:まずは9.0μg/日を不足しないように】
日本人の食事摂取基準では、成人のビタミンD目安量は9.0μg/日、すなわち約360IU/日です。ただし、ビタミンDは食事だけでなく日光曝露によって皮膚でもつくられるため、必要量は生活環境によって変わります。骨粗鬆症リスクが高い人、ビタミンD不足が疑われる人、日光を浴びる量が少ない人、施設入所中の高齢者、吸収不良がある人などでは、医師と相談して600〜800IU/日、あるいは800〜1,000IU/日前後の補充を検討することがあります。一方で、十分足りている健康な成人が一律に高用量サプリを飲んでも、骨折・転倒・生活習慣病予防の上乗せ効果は限定的です。
【ビタミンE:日本の目安量を満たすことをまず意識する】
日本人の食事摂取基準では、ビタミンEは推奨量ではなく目安量として設定されており、成人ではおおむね男性6.5〜7.5mg/日、女性5.0〜7.0mg/日程度です。米国基準では成人15mg/日とされており、国によって基準値が異なります。そのため本書では、日本人向けにはまず日本の目安量を満たすことを基本とし、ナッツ、種実類、植物油、緑黄色野菜を食事に取り入れて不足を避ける、という立場を取ります。
○ビタミンを含む食材の選び方
【ビタミンC:色鮮やかな野菜と果物を“毎食どこかで”】
ビタミンCは体内にためておけず、余った分は尿から出ていきます。そのため「毎日・少しずつ」が原則です。代表的な食品は、柑橘類(みかん、オレンジ、グレープフルーツ)、いちご、キウイ、アセロラ、パプリカ、ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、じゃがいも、さつまいもなど。1日2〜3回、手のひらサイズの果物や、両手一杯の野菜を意識すると、推奨量は十分クリアできます。
【ビタミンD:日光+「魚・きのこ・強化食品」】
ビタミンDは、魚の種類や量、日光曝露、強化食品の有無によって摂取量が大きく変わります。さけ、さば、いわし、さんまなどの魚は有用ですが、卵やきのこだけで十分量を安定して満たすのは難しいでしょう。屋内での活動が多い人や高齢者は、食事内容と日光曝露を合わせて確認しましょう。
【ビタミンE:ナッツ・種実・植物油で“まとめ取り”】
ビタミンEはアーモンド・ヘーゼルナッツ・ひまわりの種、小麦胚芽油・ひまわり油・サフラワー油、ほうれん草・ブロッコリーなどの緑葉野菜が主要な供給源です。「おやつにナッツを少量」「サラダや和え物に植物油を小さじ1〜2杯」「夕食に緑の野菜を1皿」という組み合わせで、目安量を満たしやすくなります。
○ビタミンの適切な摂り方
【ビタミンC:“生”と“加熱”を使い分ける】
ビタミンCは熱や水に弱いので、サラダや果物など“火を通さない形”を1日1〜2回入れておくと安心です。一方、じゃがいも・さつまいもなどは加熱しても比較的ビタミンCが残りやすく、日常食として優秀です。
【ビタミンD、E:“脂と一緒に”】
ビタミンDとEは脂溶性なので、油を少量使った料理や、脂ののった魚と一緒に摂ることで吸収がよくなります。さけのムニエル、さばの味噌煮、オリーブオイルを使ったきのこソテーなどは、理にかなった組み合わせです。
【ビタミンC+E:“コンビ”で抗酸化力アップ】
ビタミンEは酸化の連鎖反応を止めると、自分自身が酸化された状態になりますが、ビタミンCはその酸化されたEを再び働きやすい形に戻す役割も担っています。つまり、ビタミンCとEは別々に働くだけでなく、互いに助け合いながら体のサビつきを抑える“抗酸化ネットワーク”をつくっているのです。野菜・果物でビタミンCを、ナッツ・植物油・緑黄色野菜でビタミンEをとる組み合わせがおすすめです。
【アルコール・喫煙・偏ったダイエットで“ビタミン浪費”に注意】
アルコールや喫煙は、体内の酸化ストレスを高め、ビタミンCやEの消費を増やします。極端な糖質制限や脂質制限も、ビタミンの吸収やバランスを崩すことがあります。サプリに頼る前に、「生活習慣でビタミンを減らしていないか」をチェックすることも大切です。
【前提】●サプリとの付き合い方と注意点
・まずは食事で“ベース”をつくる
ビタミンCやEは、野菜・果物・ナッツなどから摂ると、他の抗酸化物質や食物繊維も一緒に摂れるのが利点です。サプリメントは「不足を補う道具」であって、「健康な人が病気予防のために多く摂る道具」ではありません。
・ビタミンCは上限2,000mg/日まで。風邪予防の“大量投与”は慎重に
2,000mgを超える大量摂取のメリットは乏しいとされています。一方で、下痢や腎結石リスクは増えるため、“高用量の常用”はおすすめしません。
・ビタミンDは血液検査を踏まえて量を決めるのが理想
800〜1,000IU/日は多くの成人で安全な範囲とされますが、すべての人がこの量を補充すべきという意味ではありません。もともとの血中ビタミンD濃度、食事内容、日光曝露、年齢、骨粗鬆症リスク、持病によって必要量は変わります。補充量は、できれば血液検査や医師の判断を踏まえて決めるのが理想です。
・ビタミンEは“多ければ多いほどよい”わけではない
ビタミンEは、日本の目安量を食事から満たすことが基本です。食品から摂る分には通常問題になりにくい一方、サプリで高用量を長期に摂ると、出血しやすくなる、抗凝固薬との相互作用が問題になる、出血性脳卒中リスクが上がる可能性があります。心血管疾患やがんを予防する目的で、健康な成人がビタミンEサプリを常用することはすすめられません。
【パンダ式健康習慣】
・毎日の摂取を「続く習慣」に変えるコツ
1. “朝ビタミンC・昼ビタミンD・間食ビタミンE”と覚える
朝:柑橘類+キウイ+サラダ(ビタミンC)
昼:魚定食・きのこ入りパスタ(ビタミンD)
間食:ナッツ一握り(ビタミンE)
2.買い物の“固定メンバー”を決める
果物コーナーでは、柑橘系orベリー系のどちらか一つ。魚売り場では、さけ・さば・いわしのどれかを“冷凍ストック”用に、など、買い物の定番商品を決めておくとよいでしょう。ミックスナッツとオリーブオイルも常備しておきましょう。
3.1日の“目安メニュー”を持っておく
朝:オートミール+ヨーグルト+キウイ1個(ビタミンC)
昼:さけのグリル+きのこソテー+サラダ(ビタミンD+C)
間食:素焼きアーモンド一握り(ビタミンE)
夜:卵入りスープ+ほうれん草のソテー(ビタミンD+E)
ビタミンC・D・Eは、体の基本機能を支える重要な栄養素です。ただし、「多く摂れば摂るほど病気を防げる」というものではありません。
ビタミンCは野菜・果物から、ビタミンDは魚・卵・きのこ・日光曝露から、ビタミンEはナッツ・種実類・植物油・緑黄色野菜から、不足しないように摂ることが基本です。
サプリメントは、食事や日光曝露だけでは不足しやすい人、骨粗鬆症リスクが高い人、吸収不良がある人などが、不足分を補うために使います。健康な人が、病気予防を期待して高用量のビタミンC・D・Eを長く飲み続ける必要はありません。
まずは、毎日の食卓に「野菜・果物」「魚・卵・きのこ」「ナッツ・植物油」を少しずつ組み込むこと。これが、ビタミンとの最も安全で現実的な付き合い方です。今日の買い物リストに、これらの“ビタミントリオ”を一つずつ足すところから始めてみてください。
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登録者数約40万人を誇る人気YouTuber・Dr.パンダが、予防医学の観点から“本当に正しい健康習慣”をやさしく丁寧に解説!私たちは、何気ない日々の生活の中で、悪いと気づかないまま身体に負担をかけ、「健康負債」を積み重ねています。本書では、健康負債につながる間違った健康法や生活習慣を明らかにし、その背景にある医学的根拠=エビデンスとともに、改善策をわかりやすく紹介します。がんの予防と早期発見の方法や気をつけたい大病の予防、さらには健康寿命を延ばす食事術や生活習慣まで網羅。「正しい知識」と「続けられる実践法」を一冊に凝縮した“健康書の決定版”です。