《中年期に増加》物忘れや集中力低下は「認知機能の不調」脳の霧(ブレインフォグ)かも?医師が教える“脳の健康”を守る令和の生活習慣

20

2026年08月30日 07:50  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

物忘れ、集中力低下、言葉がスムーズに出てこない…中年期に増える「脳の霧(ブレインフォグ)」の防ぎ方(※写真はイメージです)

「最近、人の名前や言葉がパッと出てこない」「家事の段取りが驚くほど悪くなった」

 そんな変化を感じたことはないだろうか?

 単なる年齢による物忘れや疲れだと思っているその症状、もしかすると近年、医療の世界で注目されている「ブレインフォグ」かも?

頭のモヤモヤ&無気力は加齢のせいじゃない!?

「ブレインフォグは病名ではなく、頭に霧がかかったように感じる、考えがまとまらない、記憶力や集中力が落ちる、といった認知機能の不調を表す状態です。今、20〜60代の幅広い世代に広がっているほか、特に日常の疲れを感じやすいミドル世代で悩む人が増えています」

 そう話すのは、群馬医療福祉大学の川上智史先生。若い世代でも症状に悩む人がいる一方で、不思議なことに70代になるとこの症状は減少するという。

「70代になると、仕事の責任や家庭環境などの慢性的なストレスから解放される方が多いためと考えられます。ブレインフォグは、働き盛りの現代人がいかに脳を酷使しているかを示すサインといえるのです」

 私たちの脳の中には、膨大な数の脳細胞が集まっている。脳細胞同士は、アセチルコリンという神経伝達物質が飛び回ることで、スムーズに情報を伝達している。しかし、睡眠不足や慢性的なストレス、更年期に伴う体調変化などが重なると、この脳内の情報伝達がうまく働かなくなるのだ。 

「脳は心臓から送り出される全血液の約20%を必要とする繊細な臓器です。そのため、ストレスや疲労などで処理能力の限界を迎えそうになると、いわば『自衛』としてスイッチをオフにしてしまいます。

 すると脳内の通信速度が落ちて必要な情報にアクセスしにくくなり、脳に霧がかかった状態になります。これが、さまざまな要因で引き起こされるブレインフォグの正体だと考えられています」

 実は、このブレインフォグはスマホやPCがなかった昭和の時代にはほとんど見られなかった。それほど、現代の情報過多とデジタルデバイスへの依存が深刻な引き金になっている。

「昔は、情報を得るには本を1冊ずつ調べるなど時間がかかりましたが、現代はスマホで検索した瞬間に大量の情報が一気に脳へ流れ込みます。脳がそれを咀嚼しきれず、疲弊してしまうのです」

情報過多に仕事に育児…脳は処理能力の限界!

 ブレインフォグの具体的な症状は、私たちが想像する以上に日常の細かな部分に現れる。

「例えば、普通に会話をしていても、言葉の意味が脳で処理しきれず、何度も聞き返してしまう。文字は追えていても中身が頭に入ってこないというのも一例です。何品も同時に調理するような料理のマルチタスクができなくなったり、お風呂でシャンプーの順番など身体が覚えているはずの習慣でミスをすることなども挙げられます」

 スマホで、50〜60秒の短さにまとめられた動画コンテンツ「ショート動画」や短いニュースばかりを好んで、本や書類が読めなくなったり、メールやLINEの返信が面倒で、未読や既読スルーがたまることも。また、「あれ、それ」などの指示語が増え、人や物の名前が出てこなくなることも該当する。

 さらに、午前中は調子が良いが、疲れがたまる夕方以降に急激に悪化する、寝不足の翌日は特にひどい、というように症状に波があるのも大きな特徴だ。

 特に50代、60代の世代にとって気になるのが、認知症の始まりではないかという不安。川上先生は、その見分け方を次のように解説する。

「違いは、記憶の回復の仕方と生活への支障の出方です。ブレインフォグは『思い出したくても思い出せない』と本人が自覚できるので、非常にもどかしい思いをします。

 また、物忘れだけでなく、集中力や段取り能力も一時的に低下しますが、睡眠や生活習慣を整えると回復するなど波があります。一方、認知症の場合は、そもそも思い出そうとすらしないケースが多く、思い出すのは昔のことばかりなのです」

 ただし、「ただの疲れ」と放置して2〜3か月以上も症状が続く場合は注意が必要。背景にうつ病、自律神経失調症、適応障害などのメンタルの病気や、脳梗塞などの深刻な脳の疾患などが隠れているケースもあるからだ。

「『おかしいな』と感じたら、まずは総合内科を受診しましょう。そこで身体的な異常や隠れた病気がないかを検査し、必要に応じて専門外来を紹介してもらうのが正しいステップです」

脳の健康を守る令和の生活習慣

 脳の疲れを癒し、脳を元気にするために、私たちが日常生活でできる対策を、川上先生に教えてもらった。

睡眠は7時間。寝る前30分にスマホをオフ

睡眠時間は短すぎも長すぎもよくない。理想は7時間。忙しく時間が削られがちな現代人だからこそ、睡眠時間と質のどちらも確保することが重要だ。しかし、その邪魔をするのが寝る直前のスマホ。

「ブルーライトなどの刺激が、睡眠を促すホルモンの分泌を抑制し、体内時計を狂わせるおそれがあります。睡眠導入障害や中途覚醒の引き金になるので、就寝30分前にはオフにし、意識して脳を休ませましょう」(川上先生、以下同)

日中に10分間、日の光を浴びて歩く

 1日10分でも外に出て日光を浴びることで、体内時計が正常化し、夜の睡眠の質が劇的に改善する。同時に運動習慣も大切。

「バス停を1駅分歩くなど1日8000歩を目安に、無理のない範囲で歩く習慣を。ルートを変えたり、周りの景色やお店を意識して歩くと脳の活性化につながります」

塩分過剰は禁物、食事やサプリで栄養摂取

過剰な塩分摂取は脳の血流量を低下させる原因になる。また、脳機能改善として注目されている「イチョウ葉エキス」や「プラズマローゲン」のサプリメントを試すのも手。

「プラズマローゲンは細胞膜の主要成分の一つで、脳や心臓などたくさん酸素を消費する部位に多く存在します。加齢やストレスで減ってしまうので、この成分が豊富な鶏胸肉やホタテを日々の食事に取り入れるのもオススメですよ」

シングルタスクで脳の休憩時間をつくる

料理をしながらスマホを見るなど、複数の作業を同時進行したり、短時間で切り替えながらこなす「マルチタスク」は脳を急激に疲弊させる。大事な作業のときは1つに集中する「シングルタスク」を意識すると脳の疲労が削減。また、5分でも目を閉じたり、深呼吸をして脳を休ませることも大事。

いろいろな人と対話する

 最近はAIと対話する人が増えているが、他者とのリアルな会話こそ脳への刺激になる。頭がうまく働かないことを恥じて一人で抱え込み、心を閉ざしてしまうのがいちばん危険。孤独はうつ病を招き、将来的な認知症のリスクを高めてしまう。

「頭がモヤモヤするのは、怠けでも、恥ずべき衰えでもありません。脳が繊細だからこそ、現代の情報過多な社会の中で『少し疲れているよ』と悲鳴を上げているサインなのです」

教えてくれたのは川上智史先生

群馬医療福祉大学 准教授、愛知医科大学客員研究員。健康増進クリニック(市ヶ谷)院長補佐。医学博士。著書に『ブレインフォグを治す! もやもや頭がスッキリする!』(さくら舎)など。

<取材・文/荒木睦美>

週刊女性2026年9月1日号

このニュースに関するつぶやき

  • 糖質の過剰摂取と野菜不足が原因です ☆
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(12件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定