※この画像は生成AIによるイメージです 帰省や旅行などで、多くの人が新幹線を利用する大型連休。混雑する時期だからこそ、指定された座席を利用したり、順番を守って並んだり、一人ひとりがルールやマナーを意識することが大切だ。しかし、なかには自分勝手な行動によって周囲を困らせる乗客もいる。
今回は、新幹線で思わぬトラブルに巻き込まれながらも、最終的に無事に解決したという2人のエピソードを紹介する。
◆自由席を待つ長い列に割り込んできた男性グループ
今から20年ほど前の夏休み。山田浩二さん(仮名・60代)は、小学生だった娘を連れて、神奈川から大阪へ向かう新幹線を利用した。
夏休み期間ということもあり、車内は家族連れや旅行客で混雑していた。山田さんが乗車したときには、すでに自由席が埋まっていたため、空席が出るのを待つことにしたという。
「自由席車両付近のデッキには、同じように席が空くのを待っている人がたくさんいました。みんな疲れている様子でしたね」
乗客たちは順番を守り、静かに待っていた。娘も「早く座れるといいね」と言いながら、おとなしくしていたそうだ。しばらくすると、20代くらいの若い男性グループがやってきた。ところが、男性たちは列の最後尾へ向かわなかったのだ。
「反対側から入ってきて、そのまま先頭近くへ割り込もうとしたんです。周りにいた人たちも『えっ?』という顔をしていました」
◆「みんな並んでいるんだから!」のひと言をきっかけに…
最初は、誰も男性グループに声をかけなかった。しかし、そのまま割り込みを許す雰囲気ではなかったという。やがて、ひとりの男性が「ちゃんと後ろに並んでください!」と声を上げた。
そのひと言をきっかけに、周囲の乗客からも「みんな並んでいるんだから、後ろへ行って!」「割り込みはダメでしょう!」といった声が次々と上がったという。
「ひとりの発言をきっかけに、周りの人たちも続いたんです。私も、これだけ多くの人が順番を守って待っているんだから当然だと思いました」
男性グループは当初、不満そうな表情を浮かべていた。しかし、多くの乗客から一斉に指摘されると、何も言い返せなくなったようで、気まずそうにその場を離れると、列の後方へ並び直すこともなく別の車両へ歩いていった。
「娘も一緒だったので、トラブルにならなくて安心しました。多くの人が割り込みを止めたのを見たときは、スカッとしましたね」
◆指定席に見知らぬ男性が…声をかけても「知らねえよ」
佐々木未来さん(仮名・30代)は連休中、東京から福島へ向かう新幹線を利用した。混雑する時期だったこともあり、事前に指定席を予約。自分の座席へ向かったところ、そこにはすでに、スーツ姿の男性が座っていたという。
「かなり酔っている様子でした。飲み会の後なのかなと思うくらい、ベロベロの状態だったんです」
見知らぬ男性が自分の席に座っているため、佐々木さんは一瞬、「自分が席を間違えたのではないか」と思ったそうだ。そこで、指定席の番号をもう一度確認。しかし、座席番号に間違いはなかった。
「私の席だと伝えれば、すぐに移動してくれると思っていました」
ところが、男性に声をかけても反応がなかった。聞こえなかったのかと思い、もう一度指定席であることを伝えると、返ってきたのは予想外の態度だった。
なんと男性は「知らねえよ」と吐き捨てるように言い放ち、席を立とうとする様子もない。佐々木さんだけでは解決できそうになかったため、乗務員に対応をお願いすることになった。
◆「金を払ってるんだから」と抵抗するも…
「乗務員が来れば、さすがに男性も席を移るだろう」と、佐々木さんは考えていた。しかし、男性は乗務員に対しても素直に応じなかったという。
しかも「いいだろ、金を払ってるんだから」とごね始めたそうだ。乗務員が説明しても男性はなかなか納得せず、周囲の乗客も、騒ぎが長引くにつれて視線を向けるようになっていた。
「私はずっと立ったままで、『私は連休中に何をしているんだろう』と思っていました」
そんな佐々木さんをよそに抵抗を続けていた男性だったが、やり取りは次第にヒートアップ。最終的には新幹線を降りることになったそうだ。
「近くにいた乗客が、『座れてよかったですね』と言ってくれました。いろいろありましたけど、予約した席に座れたのでよかったです」
新幹線では、一人の身勝手な振る舞いが多くの乗客に迷惑をかけ、思わぬトラブルを招くこともある。特に混雑する時期だからこそ、周囲への配慮とルールを守る意識を忘れず、誰もが気持ちよく利用できるよう心がけたい。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。