「指示はなかった」のになぜ不正は起きるのか ニデック報告書から考える「組織の空気」問題の根深さ

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2026年09月14日 08:21  ITmedia ビジネスオンライン

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組織に流れる「空気」とは

 「社内論理よりも顧客を第一に考え、品質を最優先にして、運営する体制へと抜本的な意識改革に動いている」


【画像】不健全な状態が形成・定着した理由(ニデック調査報告書)


 9月4日、ニデックの岸田光哉社長がそう語った。品質に関する不適切行為が850件にのぼるという、衝撃的な調査結果を受けての発言である。それにしても、なぜこのような不正行為が横行してしまったのか。


 今回は、ニデックの事例を出発点に、組織の「空気」や「文化」を変えることの難しさについて考えてみたい。


 ニデックにおける問題は、海外グループ会社での不適切な会計処理の疑義をきっかけに、内部管理体制の見直しを進める中で発覚した。そして新たに浮き彫りになったのが、850件にも及ぶ「品質不正(品質不適切行為)」である。


 これは多くの組織改革の現場で見られるパターンでもある。一つの不正にメスを入れると、その奥から別の不正が顔を出す。膿を出し切ったつもりが、実はまだ奥に膿があったということだ。


 だからこそ、一つの不正を正しても、組織全体の体質が変わらなければ、次の膿が出てくる。ニデックのケースは、組織における根深い問題をわれわれに投げかけているともいえる。


●「指示はなかった」のになぜ不正は起きたのか?


 今回の調査委員会による報告書で私が注目したのは、経営層による直接の指示や関与は確認されなかった、という点だ。その一方で、不健全な状態が形成・定着した理由として、


 「業績目標の達成、コスト低減、納期順守、供給継続等のプレッシャーの下、顧客要求等の順守や品質保証プロセスの一部が事業上の要請に劣後する状態」


 と分析している。


 つまり、役員などが具体的に「不正をやれ」と指示したわけではない。しかし、業績目標の達成を強く求める企業風土のもと、現場は「何が何でも達成しなければならない」という強いプレッシャー(空気)を感じ取り、判断を歪ませていったということだ。


 ここで誤解してほしくないのは、目標が高いこと自体は決して悪ではない点だ。


 実際にニデックは、精密小型モーターで世界トップ級のシェアを誇るだけでなく、EVやAIデータセンター向けの水冷技術など、新たな成長分野を自ら切り拓いてきた。それだけの技術力と将来性を持った企業であり、厳しい目標に挑み続けてきたからこそ、数々のイノベーションが生まれてきたのも事実だ。それだけに今回の問題は実に惜しまれる。


 問題は、目標の高さではない。その目標が本当に達成可能かどうかを、きちんと検証するプロセスが機能していたかどうかである。健全な検証があれば、たとえ難しい目標でも、全く別の視点から解決策を探ろうとする力が働く。


 しかし、検証を怠ったまま「なんとかしろ」という圧力だけが現場に降りてくると、話は変わってくる。新しい発想で乗り越える前に、「不健全な抜け道」で目標を達成できることを、現場が知ってしまうのだ。


●「風通しの良い職場へ」という掛け声は意味がない


 厄介なのは、一度不健全な抜け道を知ると、次からも同じ選択肢が頭によぎるようになる。健全な発想で困難にチャレンジする文化と、抜け道で帳尻を合わせる文化は、相容れない。じわじわと入れ替わっていく。そしてある時点から、抜け道に頼ることが「当たり前」になり、誰も疑問を持たなくなるのだ。


 健全な組織文化があるところにこそ、健全なイノベーションは宿る。不健全な文化が根付いた組織では、いくら困難な目標を掲げても、行き着く先は抜け道でしかない。


 不正が発覚するたびに、多くの企業は「意識改革」や「風通しの良い職場づくり」を掲げる。しかし、そうした掛け声だけで、根付いた空気はそう簡単に変わることはない。


 組織の空気とは、日々の目標設定や評価基準、経営陣の一挙手一投足から、社員が無意識に読み取っていくものだ。したがって変えるべきは、掛け声ではなく、目標をどう検証し、どう評価するかという仕組みなのだ。


 かなり地道な作業になるが、次の3点が欠かせないと私は考える。


1. 目標の達成可能性を、設定段階できちんと検証する仕組みをつくる


2. 現場が「言いにくいこと」を上げられる仕組みを、形だけでなく実質的に機能させる


3. 経営層自身が、率先して基準や判断を見える化する


 一つ一つは地味な取り組みだ。だが、このような積み重ねなくして「空気」は変わらない。制度をどれだけ整えても、長年にわたって培われてきた価値観が変わらなければ、同じことが繰り返されてしまう。


著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)


企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。



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  • 本能的に違うならその対象は会社に合わせた修正でなく認めさせる意地になる。二つの種の本能は共通するものもあるが意地もありこれが激化すれば会社は傾く場合も沢山見てきたよ(・・)
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