「こんな仕事だとは思わなかった」 早期離職者の44%が「悪い情報も聞きたかった」 “良く見せる採用”の落とし穴

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2026年09月17日 07:20  ITmedia ビジネスオンライン

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1人の早期離職で企業が負担するコスト

 「入社してみたら、面接で聞いていた仕事内容と違った」「教育制度があると聞いていたのに、実際にはほとんど教えてもらえなかった」――。こうした入社前後のギャップが、早期離職につながっている。


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 エンが2025年7〜8月、「エン転職」のユーザー2502人を対象に実施した調査では、入社から半年以内に「早期離職」を経験した人は31%に上った。2025年3〜4月に同社運営の人事・採用担当者向け情報サイト「人事のミカタ」で、291社を対象に聞いた別の調査でも、直近3年間で「入社から半年以内の早期離職があった」と回答した企業は57%。従業員規模別では、大企業で7割以上に達している。


 早期離職は「若手社員の問題」と捉えられがちだが、今回の調査では年代による大きな差は見られなかった。一方、企業にとっては採用や教育にかけたコストが失われるだけでなく、例えば、年収約600万円の人が入社から半年で辞めた場合、損失は約640万円に上るとの試算もある。


 なぜ、入社から半年以内に会社を辞める人が一定数いるのか。早期離職を防ぐために、企業は採用時に何を変えるべきなのか。エン転職の事業責任者で、中途採用 求人広告・DR事業部 事業部長を務める小用秀明さんに聞いた。


●1人辞めると約640万円の損失


 早期離職は、企業にとっても大きなコストになる。エンの試算によると、年収600万円程度の人材を採用したものの、入社から6カ月で退職した場合、企業が負担する損失は約640万円になるという。


 内訳は、採用費用が180万円、採用関連の人件費が20万円、在籍中の人件費が360万円、教育研修費が18万円、業務引き継ぎ費用が20万円、引きとどめ面談費用が6万円、退職に伴うマネジメント費用が36万円だ。


 もちろん、これは一定の条件に基づいたモデルケースで、全ての企業に当てはまるわけではない。ただ、採用競争が激しくなり、人件費や育成コストも上昇している現在、早期離職による損失は無視できない。


 さらに、この640万円には、欠員による機会損失や、残された社員の生産性低下、再採用にかかる費用などは含まれていない。「見えにくいコスト」もあるという。


 例えば、採用担当者や上司が書類選考、面接、教育、フォローに費やした時間だ。早期離職が起きれば、これまで費やしてきた時間が無駄になるだけでなく、本来なら事業や顧客対応に使えた時間まで失われる。


 小用さんは「採用担当者や上司が採用・教育・フォローに費やした時間は、会計上は見えづらいものの、本来は事業成長や顧客対応に使えた時間でもある」と指摘する。


●なぜ辞める? 最多は「聞いていた話と違った」


 早期離職の直接的な理由は何なのか。エンの調査で最も多かったのは「入社前に聞いていた情報と違ったから」で38%。次いで「ハラスメントに遭ったから」が30%だった。


 企業側の調査でも、早期離職の要因として最も多かったのは「仕事内容のミスマッチ」で57%だった。つまり、企業が「この仕事なら活躍してもらえる」と考えて採用した人材と、求職者が「こういう仕事だ」と理解して入社した状態との間に、ズレが生じている。


 小用さんによると、エンの分析でも早期離職が起きやすい職場には「ギャップ」「人間関係」「業務キャパシティー」と主に3つの要因があるという。特にギャップが生じやすいのは「仕事内容」「求められる役割・責任」「給与・待遇」だ。


 例えば、営業職なら「コンサルティング営業」と聞いて入社したものの、実際にはテレアポや新規開拓が業務の大部分を占めていた。バックオフィス・事務職なら、定型業務を想定していたところ、複数の業務を兼任し、突発対応も多かった――といったケースが考えられる。


 企業側に悪意があるとは限らない。「採用担当者と現場で認識が違っていた」「企業にとって当たり前だと思っていた業務を説明していなかった」「同じ言葉でも企業と求職者で解釈が異なっていた」など、認識のズレから生じるケースが多いという。


 一方、採用競争が激しくなる中で、企業が自社の魅力を伝えることを優先し、仕事の難しさや厳しさの説明が後回しになることもある。


●44%が「悪い情報も聞いていれば辞めなかった」


 興味深いのが、早期離職を経験した人の44%が「事前にネガティブな情報も聞いていれば、早期離職しなかった」と回答していることだ。求職者は、必ずしも「悪いところのない会社」を求めているわけではない。むしろ問題なのは、入社して初めて厳しい現実を知ることだという。


 「残業が多い」「教育体制が十分ではない」「繁忙期は非常に忙しい」といった情報も、その程度や背景、現在の課題、企業としての改善方針まで含めて伝えれば、求職者は自分に合う仕事なのかを判断できる。


 小用さんは「ネガティブな情報そのものよりも、情報が不足したまま入社し、後から実態を知ることが不満や不信感につながる」と説明する。


●「良く見せる採用」から「リアルを伝える採用」へ


 では、企業はどうすればいいのか。重要なのは、「辞めない人を採用する」ことではなく、入社前の段階で、企業と求職者が互いを正しく理解することだという。


 企業側は、給与や休日、福利厚生といった条件だけでなく、実際の仕事内容、求められる役割、一緒に働く人、仕事の難しさや向き・不向きまで具体的に伝える必要がある。そして、入社後も「採用したから終わり」ではない。


 企業側の調査では、定着率向上のために実施している施策と、「最も効果があった」と感じる施策のどちらでも、「直属の上司との定期面談」が最多だった。


 「採用時の情報開示と、入社後のコミュニケーション。この2つがそろって初めて、早期離職を減らせる」(小用さん)


 「早期離職をゼロにする」ことだけを目標にすると、企業側は「どうすれば辞められないか」という発想になりがちだ。しかし本来重要なのは、入社前に「この会社で働きたい」「この人と働きたい」と双方が納得できる状態をつくることだという。


 採用市場が売り手優位となり、人材獲得競争が激しくなるほど、企業は自社を「良く見せる」必要に迫られる。だが、入社後の現実とのギャップが大きければ、採用時に伝えた魅力が、かえって早期離職の引き金になる。


 「良いことを伝える採用」から、「良いことも悪いことも含めてリアルを伝える採用」へ。早期離職による約640万円の損失を考えれば、採用時の情報開示を見直すことは、単なる人事施策ではなく、企業の生産性や経営そのものにかかわる問題になっているといえそうだ。


(熊谷ショウコ)



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  • 「うちの仕事はシフト制だから休み多いよ〜、趣味とかないと暇になっちゃうんじゃないかな〜」 ・・・大嘘でした。残業ばっかり、少数精鋭?それも大嘘!
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