中山奏琉さんのX(旧ツイッター)に現れた「グエー死んだンゴ」。予約投稿したとみられている 希少がんを患った男性が昨年10月、自分の死後、SNSに「グエー死んだンゴ」と投稿される設定をして22歳で亡くなった。死の間際に残されたユーモア交じりの投稿はSNSで反響を呼び、がん研究を支援する動きが拡大。国立がん研究センター(東京)への寄付は2025年度、金額、件数ともに過去最多になった。
男性は北海道津別町出身の中山奏琉さん。北海道大に進学後の23年に「類上皮肉腫」という希少がんが判明。手術を受けたものの24年に再発と転移が分かり、抗がん剤治療を続けたが25年10月12日夜、帰らぬ人となった。
中山さんのX(旧ツイッター)のアカウントには同13日、友人が「静かに息を引き取りました」と報告。ところが翌14日に現れたのが「グエー死んだンゴ」の文字だった。
この表現はショックを受ける状況を笑いに変えるインターネットのスラング(俗語)で、中山さんが死の直前に投稿を予約したとみられる。「多分仲間内での最後の冗談だったのでは」。父和彦さん(49)は推し量った。
中山さんの行動に多くのネットユーザーが心を動かされた。「香典を包んだ」といった投稿とともに、がんの研究機関などへの寄付が相次いだ。
国立がん研究センターには25年度、2万7940件、計約11億7600万円の寄付があった。件数は24年度の約16倍で、金額・件数ともに過去最多に。センターは「特定の要因のみでの説明は難しいが、SNSで活動を知ってもらう機会が増えたのも一因」と回答した。
また、公益財団法人がん研究会(東京)に届いた25年度の寄付は計約7億1200万円。過去10年間で6番目だが、個人からの寄付5807件は、最多だった20年度の1.7倍に上った。両団体は寄付に謝意を示し、研究や患者の療養環境向上などに使うとした。
和彦さんは今月、取材に対しメールで「金額を聞いて妻と大変驚いている。奏琉は短い人生だったが、ギュッと詰まった意味のあるものだった」とコメント。がんの研究が進めば苦しむ患者もいなくなるとして、「奏琉も喜ぶのでは。本当にありがとうございました」とつづった。
奏琉さんが亡くなってからの約1年は「あっという間だった」という和彦さん。「たまにで良いので、北海道の田舎で生まれ育った、短い人生だが最後までしっかり生き抜いた若者がいたと思い出してほしい」と記した。

闘病中の中山奏琉さん(手前)と父の和彦さん(和彦さん提供)=2025年9月3日

料理を手にほほ笑む中山奏琉さん(父の和彦さん提供)