
光通信は9月14日、投資ファンド2社と共同でアパート賃貸などを手掛けるレオパレス21にTOB(株式公開買い付け)を開始すると発表した。買い付け価格は普通株式1株につき1000円で、前営業日である9月11日の終値657円に約52%のプレミアムを乗せた水準だ。
買い手の光通信は、傘下ファンドを通じてもともとレオパレスの筆頭株主となっていた。同社は連結子会社が運用する投資ファンドなどを通じてレオパレス株の18.11%を保有しており、2018年の施工不備問題で業績が悪化した同社を「今後より一層の企業価値向上が期待できる」と判断し、2022年に純投資目的で買い集めていたという経緯がある。
だが、なぜTOBに打って出たのか。開示資料を読むと、光通信の「投資会社」としての強みが見えてくる。
●「日本版バークシャー・ハサウェイ」? 投資会社としての顔
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光通信は「日本版バークシャー・ハサウェイ」と呼ばれることもあるように、投資会社としての一面も持つ。国内外の企業に積極的に投資し、電気・ガス、通信、飲料、保険、金融といった事業をストック型で積み上げている。これらはレオパレス21のような不動産賃貸ビジネスと相性が良いといえそうだ。
レオパレス21の管理戸数は約54万戸である(2026年3月期時点)。また、物件の約3分の2が法人の社宅利用で、光通信グループの法人顧客にレオパレスとの法人契約を案内すれば、新規入居者の獲得にもつながる。外国人労働者向けサービスとの連携で、受入機関を通じた入居者獲得も想定している。
光通信の第1四半期決算短信には「ストック利益」という言葉が繰り返し登場する。レオパレス21買収の狙いは、まさにこのストック利益の厚みを一気に増やし、グループ全体の市場シェアを拡大させることにありそうだ。
●狙いは54万の「玄関」
光通信といえば、高い営業力がある企業としても有名だ。こうしたカルチャーはグループ企業にも受け継がれていると見られる。
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引越しは、複数のサービスの切り替え・乗り替えが起きるタイミングだ。電気もガスもネットも、物件入居時に一度に決まるチャンスがある。また、光通信のグループ会社には引越し時のライフライン一括取次を手がけるラストワンマイルもある。部品は既にそろっているというわけだ。
仮に、管理物件54万戸のうち毎年3割の入居者が入れ替わり、そこに光通信の商材が1つ導入されて年1万円の利益を生むとする。これだけで年間約16億円の利益となる。2商材なら約32億円の利益だ。
こうしたシナジーから見えてくるのは、事業と投資を一つの設計図で動かす会社の姿である。
投資先が持つ顧客基盤に自社商材をクロスセルし、そこで得たキャッシュを次の投資へと回す。その循環を加速させるための手段こそが、同社のM&Aだ。自社の強みと経済圏を最大限に生かし、グループ全体を増殖・強化していく戦略に、この会社の真の凄みがある。
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