KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり

2

2026年10月03日 10:01  ITmedia Mobile

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia Mobile

他社も含め、9月30日にローミングが終了する旨を告知していた

 楽天モバイルとKDDIのローミング協定が、9月30日でその期限を迎えた。10月1日から、KDDIはローミングの提供を順次終了させており、更新されたエリアマップでは、その範囲が大きく狭まっていることが確認できる。とはいえ、ローミング自体が完全に終了したわけではないのも事実だ。


【その他の画像】


 かねて楽天モバイル側が強調していたように、一部エリアではローミングが継続している。実際、上記のエリアマップでも、縮小こそしているが、依然としてローミングの提供は続けられている。一方で、ローミングが終了すると楽天モバイルにとっては通信品質の低下につながる恐れもある。楽天モバイルには、早期の独り立ちが求められそうだ。


●9月30日で縮小したローミング、楽天圏外エリアは継続


 楽天モバイルとKDDIのローミング協定が、9月30日で終了期限を迎えた。10月1日から、新たな枠組みでサービスが提供されている。楽天モバイルのエリアは、参入当初から見れば大きく広がった一方、全国区で見ると依然としてローミング頼りになっている場所は多い。


 10月1日以降にこのエリアがどうなるのかはユーザーの関心事だったといえる。KDDIはもちろん、ソフトバンクなどの競合他社までもが店頭で大々的に「ローミング終了」をうたい、楽天モバイルユーザーの獲得を狙う動きもあり、ローミング協定終了がどう影響するかに注目集まっていた。


 ローミング終了という言葉が独り歩きしている節もあるが、実際には、9月30日でスパッと全てのエリアがなくなったわけではない。8月に開催されたKDDIの決算説明会では、代表取締役社長CEOの松田浩路氏が「現行の契約は9月をもって終了することで進めている」とした一方、「本当の一部ルーラルエリア(田舎、郊外など)については期間を限定した上でインフラ維持に協力しようと思っている」と語っていた。


 逆に、楽天モバイル側がこの“継続”という部分を強調。楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、決算説明会で「楽天モバイルがカバーを必要とするエリアは、10月以降も契約にのっとってローミングを継続している」と語っていた。9月30日までの契約は終了したが、楽天モバイルが自社で基地局を構築できていないエリアでは、期間限定でローミングの提供が続けられているというわけだ。


 実際、9月30日にKDDIが公開したローミングエリアのエリアマップを見ると、依然としてオレンジに塗られたエリアが全国レベルで残っていることが分かる。これらのエリアが松田氏の語っていた“本当の一部ルーラルエリア”と呼べるほどなのかは議論の余地がありそうだが、現状、楽天モバイルの自前の基地局を設置していない場所で使っているユーザーが、いきなり「圏外」になってしまう心配はなさそうだ。


●都市部では大幅縮小、背景にあるトラフィックの集中


 一方で、10月1日から大幅にローミングエリアを縮小していく地域があることもみてとれる。ここには、京都市、横浜市、神戸市といった、比較的規模の大きな都市も含まれている。KDDIのローミング提供エリアマップでは9月30日までとそれ以降で比較ができるようになっているが、オレンジに塗られた場所が一気に狭まっている様子が分かる。


 京都や横浜、神戸といった規模の大きな都市は、楽天モバイル側も比較的早い段階で、エリア化を進めている。だからこそ、これらのエリアでローミングが打ち切られた。その意味では、これらのエリアでもつながりやすさが9月30日までと大きく変わることはないだろう。


 ただし、エリアマップに指標として表れないビル内や地下街などでは、圏外が増える恐れはある。楽天モバイルが持つ1.7GHz帯と比べ、800MHz帯は建物内にも浸透しやすいからだ。これまではローミングでギリギリつながっていたというような場合、楽天モバイル側が何らかの対策を講じなければ圏外になってしまう。


 より大きな懸念は、楽天モバイルがトラフィックをきちんとさばけるかどうかだ。KDDIがローミングで楽天モバイルに貸し出しているのは、800MHz帯の15MHz幅(下りと上りで計30MHz幅)。プラチナバンドで電波が遠くまで飛ぶが、帯域幅自体は、楽天モバイルが主力にする1.7GHz帯の20MHz幅(上下で40MHz幅)より狭い。


 異なる周波数帯を束ねるキャリアアグリゲーションでは利用できないこともあり、重複するエリアで常にローミングの電波を併用しているわけではないが、エリアが広く取れるプラチナバンドを先につかんで、楽天モバイルのトラフィックがオフロードされていたことが推察される。松田氏が、「以前から想定以上のトラフィックがネットワークに来ていたが、それを解消できる」と語っていたのはそのためだ。


 特に楽天モバイルのユーザーは料金プランがデータ容量無制限ということもあり、通信量が多い。最新の決算資料では、2026年第2四半期(4月から6月)に、平均日次データ使用量は1.2GBに達しており、1カ月換算で30GBを超える。総務省の調査などでも、ユーザーあたりのトラフィックが多いことがみてとれる。1.7GHz帯が空いているにもかかわらず800MHz帯につながっていた場所ではローミング終了後に快適になる可能性もあるが、つながりにくくなるという逆の現象も、当然起こりうる。


●KDDIの混雑解消も実現か、プラチナバンド構築や5G基地局拡大が課題


 800MHz帯だけとはいえ、この周波数帯を単独で利用する楽天モバイルのユーザーが流れ込んでくることで、KDDIのネットワーク品質にも影響が出ていたようだ。ローミング終了後は、「auやUQ mobileのお客さまの品質向上のためにリソースを割り当てることにかじを切っていく」という。10月以降はこれまで通信が快適にできなかった場所での体感品質が、向上する可能性がある。


 エリアの補完では貸すが、容量対策には使われたくない。これが、KDDIのスタンスだ。松田氏が「市街地におけるインフラの品質で、フェアに競争するフェーズに入ってきた」と述べていたことも、これを裏づける。


 逆に、楽天モバイルはローミングで補っているエリアの自前化を早期に進めるだけでなく、都市部でのトラフィック対策にもこれまで以上に注力していく必要がある。9月30日に向けて徐々にローミングが縮小される過程で、一部のエリアでは以前よりつながりづらくなったとの声が増えてきた。9月30日のローミング終了はこれまで以上に範囲が広いため、トラフィックに応じたエリア設計の見直しが求められそうだ。


 とはいえ、楽天モバイルは4Gとして運用できる周波数帯が少なく、1.7GHz帯以外では、3MHz幅の狭帯域LTEとして使用する700MHzしか手札がない。エリアは拡大できたとしても、トラフィック対策には向かない周波数帯だ。また、1.7GHz帯とのキャリアアグリゲーションもできないため、単純に3MHz幅を合算することができず、運用のハードルは高まる。


 正攻法は、やはり5Gの基地局を増やしていくことだろう。総務省が1月公開した、2025年3月末時点での調査結果によると、楽天モバイルの5G基地局数は3.7GHz帯で1万9621局になる。この周波数帯だけを単独で見るとドコモやソフトバンクよりも数は多いが、5G全体では3倍に近い開きがある。5Gを単独で利用する5G SAも提供できていない。楽天モバイルは、2026年度に2000億円の設備投資を行い、品質改善を行う構えだが、基地局建設のペースをどこまで上げていけるかが鍵になりそうだ。



このニュースに関するつぶやき

  • 楽天って、荻窪駅前のブックオフでさえ繋がらないんだよねw これ数か月前からずっとだよ。auのローミング以前の問題として都心で繋がらないの(^^;
    • イイネ!0人
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定