
世界で主流となりつつある、自律型のAI兵器。国連では国際条約づくりも進められていますが、日本政府はどのように取り組んでいくのでしょうか。
【写真を見る】戦場が“実験の場”に 投入続く新たな「AI兵器」
急速に進むAIの軍事利用 北朝鮮「AIを導入している」と主張出水麻衣キャスター:
政府が掲げる成長戦略の17分野には様々な分野がありますが、その中には、▼半導体、▼データインフラ(クラウドなど)、▼防衛産業などが含まれています。
この「防衛産業」においても、AIが切り離せない時代になってきています。
10月3日に北朝鮮が発射したミサイルについて、北朝鮮は「AIを導入している」と主張。
また、金与正氏は「敵の探知能力には限界がある。(AIを導入しているため)攻撃回避は困難」だと強調しています。
出水キャスター:
世界ではほかにもAIが活用されている事例が多くあるということですね。
|
|
|
|
TBS報道局 政治部 渡部将伍 記者:
海外のシンクタンクの調査によると、戦闘が行われているアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃は、AIが初めて主導した戦闘といわれています。
理論上、人間が328人で100日以上かけて行う情報分析を、AIはわずか90分で行うことができるといいます。
そして集約したデータをもとに15種類の戦略プランを立て人間に提案して、最終的には人間が承認した攻撃を実行するというように、人間では不可能なスピードでの作戦が、すでに世の中では動いています。
【AIが初めて主導した戦闘とされる“イラン攻撃”】
▼情報解析のスピード
人なら328人×100日→AIなら90分
・15の戦術プラン作成と最適案
・警護の隙の特定
・人間が承認した攻撃を実行
※UAEシンクタンクより
出水キャスター:
世界ではAIと軍事を掛け合わせることで、「道徳的な一線を越えてしまうのではないか」という懸念の声も聞こえています。こうした中、日本の防衛省や自衛隊はAIをどのように活用し、技術力をどう活かしていこうとしているのでしょうか。
TBS報道局 政治部 渡部 記者:
海外の大学の調査結果をもとにまとめられた「主要国のAI技術力」によると、アメリカや中国といった大国がずば抜けていて、日本は圧倒的な差をつけられています。
こうした状況は仕方ない部分もありますが、日本のAI技術力は世界から遅れをとっていると言わざるを得ない状況です。
また、防衛省が発表している令和9年度の概算要求では、約9兆円という過去最大の金額が計上されています。
この大きな柱となっているのは「AIと無人機を活用した新しい戦い方」で、日本にとって安全保障分野でのAIの活用は“待ったなし”の状況だと言えると思います。
|
|
|
|
出水キャスター:
AIと軍事力についてどう思いますか。
スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェ京さん:
軍事力とAIという大きな括りで言うと、日本も紛争の当事者になってしまうのではないかと思ってしまうかもしれません。
攻撃に使うAI、防御に使うAI、そして、AIを人間の意思決定にどう組み込んでいくかという国際ルール作りという3点があると思いますが、この「ルール作り」こそ日本が最も積極的に関わらなければならない部分だと思います。
日本政府も国際的なルール作りに参加する方針を示していますが、直接的な紛争の当事者でないからこそ、日本はもっとこのルール作りに関わっていくべきだと思います。
井上貴博キャスター:
AIは(善悪の)白黒がつけられないという点で難しいと思います。
生活を効率化してくれる“なくてはならない存在”でもあり、防衛に欠かせなくなってきている一方、戦争で使われるリスクもあります。
例えば、核兵器は「黒」と世界の共通認識ができるにもかかわらず、国際的なルール作りが難しい状況です。
白か黒かの判断がつかないAIの国際的なルール作りは、無理なのではないかと思ってしまいます。
出水キャスター:
現状、どのような使い方を想定されているのでしょうか。
TBS報道局 政治部 渡部 記者:
日本が目指すAIの活用は、ドローン、衛星、レーダーで集めた情報を集約して分析するというものです。攻撃などに使うことは想定されておらず、あくまで指揮統制の支援としての使用が考えられています。
ただ、自衛隊は人手不足という問題が非常に深刻化しています。
AIによる支援を受けていても、AIが出した情報が正しいもので最適解なのかという、人間が下す判断が正しいのかという点には、課題があるのではないかと思います。
AIのスピード感と情報量に、人間が同じように判断を下せるのか。
また、最終的に人間が判断するとしても、AIの答えを「良し」としているだけで、人間が出した答えなのかという点は、今後問われていくことになるでしょう。
|
|
|
|
出水キャスター:
AIに振り回されたり、言いなりになったりしないようにしなければいけませんね。
今後どのような議論が必要になってくると思いますか。
スポーツ心理学者(博士)田中さん:
アメリカでも「安全保障面では危機感を持って取り組まなければいけない」という状況のようですが、こういう時こそスピードではなく、立ち止まることが必要だと思います。
==========
<プロフィール>
渡部将伍
TBS報道局政治部 外務・防衛省キャップ
『劇場版 ブルーインパルスの空へ』監督
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 心理コンサルティング
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰
