2017年5月に北九州市小倉北区のアパート「中村荘」が全焼し6人が焼死した火災で、出火前後に現場周辺の防犯カメラに映っていた不審な人物のものと特徴が似た衣類や原付きバイクが、元住人の無職、井上浩二容疑者(56)=現住建造物等放火容疑などで逮捕=の自宅などで見つかり、福岡県警が押収していたことが捜査関係者への取材で判明した。
井上容疑者は17年5月7日午後11時10分ごろ、小倉北区清水2の木造2階建てアパート「中村荘」に侵入し、何らかの方法で火を付けて全焼させたとして逮捕、送検された。
ただ、放火した様子が映った防犯カメラはなく、井上容疑者は容疑を全面的に否認している。
一方、県警は現場周辺から70台以上の防犯カメラ映像を押収し、解析してきた。映像には出火直前に原付きバイクに乗った人物が現場近くに現れ、中村荘の正面玄関の方へ向かう様子が映っており、戻ってきて立ち去った直後、出火が確認されていた。複数の映像をつなげる「リレー捜査」により、この人物の足取りを追ったところ、井上容疑者が当時住んでいた北九州市八幡東区のマンションにたどり着いたという。
井上容疑者は火災後、警視庁に脅迫電話をかけたり、県警八幡東署の交番のバイクを焼損させたりしたとして、17年7月以降に繰り返し逮捕されていた。
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捜査関係者によると、こうした別の事件の捜査の過程で、県警は井上容疑者の当時の自宅などから衣服や原付きバイクを押収。中村荘火災の捜査で集めた防犯カメラ映像と照合したところ、色や形状といった複数の特徴が押収物と一致したという。【河慧琳、井土映美】
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