「角突きで地域を残す」=復興のシンボル、伝統引き継ぐ―中越地震20年、新潟・旧山古志村

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2024年10月23日 07:31  時事通信社

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時事通信社

牛と松井富栄さん=13日、新潟県長岡市
 68人が死亡、4805人が負傷した新潟県中越地震から23日で20年。震度6強の揺れを観測した旧山古志村(現長岡市)では、伝統行事「牛の角突き」が引き継がれている。「復興のシンボルに」。そう話す山古志闘牛会会長の松井富栄さん(42)は「角突きが残ることで、この地域が残っていければいい」と力を込める。

 約1000年の歴史があると伝えられる「牛の角突き」は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。2頭の雄牛が角をぶつけ合う勇壮な闘いは、勢子(せこ)と呼ばれる男たちが取組中の牛同士を引き離し、引き分けで終わる。牛が傷つかないようにするためだ。

 20年前、村では通信障害や大規模な土砂崩れが発生し、全村避難を余儀なくされた。牛舎も倒壊するなどし、村内で飼われていた牛約70頭のうち半数ほどが犠牲になった。

 当時、松井さんは青森県で働いていたが、2005年4月、合併した長岡市に戻った。未来につなげるため角突きを復活させようという地元の思いを聞き、「自分もやりたくなった」と話す。

 翌月、仮設の闘牛場で角突きが開催された。「震災後、住民同士が顔を合わせる場になったのはよかった」と振り返る松井さんは16年に闘牛会の会長に就任。18年には闘牛場内の「女人禁制」を撤廃し、取組後に牛を引き連れて場内を歩く「引き回し」に女性も参加できるようにした。

 寄せられていた希望に応えた形で、「支えてきてくれた人たちの思いを受け入れることも大事だ」と語る。

 旧山古志村の人口は震災当時の約2200人から約700人にまで減った。少子高齢化の影響もあるが、松井さんは「見に来ていただけることが山古志の大きな力になっている。これからも楽しんでもらえるような角突きをやっていきたい」と強調した。 

取組中の牛と見守る勢子(せこ)たち=13日、新潟県長岡市
取組中の牛と見守る勢子(せこ)たち=13日、新潟県長岡市

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