「口座開設などで1万8000円相当をプレゼント」「預金革命、金利2%」今、銀行は預金獲得競争に力をいれています。ナゼかというと…日本が「金利のある世界」になったからです。シリーズでお伝えしている日本経済の今。金利があると私たちの生活はどう変わるのでしょうか。
預金で2%!? 17年ぶりの世界クリスマスまで、あと1週間。家電量販店には、プレゼントを買う人の姿が。
20代女性
「3万3000円のシェーバーを買いました」
ーー3000ポイント付与されたが?
「浮いた分でクリスマスディナーを豪華にしようと思います」
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いま、「ポイント経済圏」は花盛り!PayPay銀行では12月、「預金革命」なるものが登場。条件付きで、預金金利はなんと2%になり、メガバンクの実に20倍です。
17年ぶりに戻ってきた「金利のある世界」。転換点を迎えた現場を取材しました。
「金利のある世界」“お荷物”が“お宝”に11月、1つの区切りを迎えた三井住友銀行の支店がありました。
駅前の路面に構えて44年。その歴史に幕を下ろし、移転した先は、ショッピングモール内。「入りづらい」「堅苦しい」というイメージから脱却するためです。
三井住友銀行 リコパ東大和店 谷池祐亮ストア長
「問い合わせで、『いま預金の金利っていくらになったの?』というのは本当に多くなっています」
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銀行にとって“お荷物”だった預金が、いまや“お宝”に。大事な収入源を逃すまいと、客との接点を増やします。
融資の現場でも変化があります。
千葉県の銀行で働く、赤窄芳久さん。注文住宅を手がける会社を訪れていました。
スタジオ・チッタ 工藤武士代表取締役
「金利の方は徐々に、京葉さんのみではなく他行さんに関しても…」
低金利が当たり前だった企業側は、金利交渉にはなかなか慣れません。一方、お金を貸す側は慣れっこかと思いきや実は…
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京葉銀行 法人営業部 赤窄芳久さん
「(金利が)17年間ずっと横ばいだったので営業の現場(に入ってから)でいうと初めて。昔の銀行のビジネスモデルにまた一部戻る」
「昔の銀行」といえば、高金利だった時代。客がもってくる預金も高額です。
とある主婦が、巾着袋からおもむろに取り出したのは、なんと帯付きの現金300万円!
街のいたるところで、金利を求めて大行列が。
キャラクターグッズに、旅行券、さらにカボチャまで…あの手この手で、プレゼント合戦が繰り広げられていました。
金利は「経済の体温計」。日本全体が活気にあふれていたのです。
ところがその後、日本は30年もの間、“低体温症”に。マイナスだった時代を乗り越えて、ようやく「金利のある世界」に戻ろうとしています。
「5億買う」金利で儲けるには?都内の証券会社で国債を扱うトレーディング部門は、久しぶりに活気を取り戻していました。
「国債」は、国が発行する借金の証明書。自由に売買することもできて、価格や利回りは市場の需要と供給で決まります。
トレーダーは、日々変動する市場の動向を見極めながら、売り買いで生じる「価格差」で儲けを出しています。
マイナス金利で、“心停止”状態だった市場が再び動き出したことで、収益チャンスが舞い戻ってきました。
ただ、額が大きいだけに、一歩間違えると大やけど。経験と、咄嗟の判断力がものをいう世界です。
こうした中、存在感を強めているのはベテラン勢です。1997年から債券ひとすじの加藤晋一郎さん。今もなお、最前線で戦っています。
“億が飛び交う”謎の部屋営業
「『1.5(bps)だったら買いたいんだけど』って言ってます」
岡三証券 国債トレーダー 加藤晋一郎さん
「1.5(bps)はビッド(買い値)ですね」
営業
「ビッド(買い値)なんですね」
加藤さん
「1.25(bps)まではいいんですけど」
営業
「加藤さん、1.25(bps)出るなら3つとも買いたい?」
加藤さん
「9回、10回、11回」
営業
「9回、10回、11回。5億ずつ買います」
まるで暗号のようなやり取り。一体何が行われているかというと…
岡三証券 国債トレーダー 加藤晉一郎さん
「お客さんが買いたい値段と、僕の値段があって。お互い歩み寄れないかという交渉です。(金利が)動くのが前提で交渉しないと、なかなか対応するのは難しいと思いますね」
この日も、市場は右往左往。これまで気にも留めていなかった日銀審議委員の会見には、いまや釘付けです。
金利が動かない時代に入社した、若手トレーダーは…
ーー今みたいに金利がつくようになると想像してた?
岡三証券 国債トレーダー 絹谷将大さん
「いや全く(想像)していなかったです。私が来た当初は、先物の値幅も1日5銭10銭しか動かない硬直したマーケットが続いていたので」
“死んだ”市場に新しい風が吹き込み、日本が活気を取り戻す挑戦は始まったばかりです。