「プレゼントもケーキも用意できない」ひとり親家庭の嘆き 物価高の中…さらに苦しくなった年末年始の生活

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2024年12月31日 07:01  TBS NEWS DIG

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夏からの値上げが真綿で首を締めるようにきいてきて、年末年始はより厳しさを増す──。クリスマスと正月に特別なイベントができない家庭の人々は多く、支援する団体が開いたクリスマス会は盛況となった。参加した人々から話を聞き、課題を探った。

【写真で見る】クリスマスらしい“体験”を…子どもたちのケーキ作りの様子とキッズドアに届いた「お礼」の手紙

無料の学習会を開催 “体験”のためのクリスマス会

12月に東京都内で行われた、NPO法人が運営する学習会の「クリスマス会」。

オーケストラの演奏に加え、参加者全員でホールケーキをデコレーションして食べるなどといったイベントがあり、参加した小中学生の子どもたちは無邪気な笑顔をみせた。

中には初めてケーキをデコレーションしたという子どももいて、「ケーキを作るのが楽しかった。最高!」「いちごまみれにできておいしかった」といった声があがった。

「本を読む体験を大切にしてほしい」というボランティアからの寄付により、1人2冊の本のプレゼントも。

都内に住む小5の女の子
「本が大好きなので、めっちゃうれしいです!」

千葉県に住む中1の男の子
「ゲームとかおもちゃが欲しいと思うこともあるけど、この時期になるとなんかぼんやりしちゃうというか…。今は欲しいもの全部手元にあるから、欲しいものはないですね。親にクリスマスプレゼントはリクエストしてないです」

欲しいものはない、でもその一方で“なんかぼんやりする”と少し小さな声で、そう話してくれた。

参加した小学生の50代の母親Aは「実際に楽器を間近で見たり、ケーキを作る体験はあまりできないので本当にありがたい」と話す。

学習会の担当者 四本知子さん
「物価高で、プレゼントやクリスマスケーキを用意することがかなり難しく、(参加しているのは)クリスマスの経験が少ないお子さんたちなのかなと…」

子育て家庭の支援などを行う認定NPO法人「キッズドア」が運営する無料の学習会には、小4〜中3までの26人が在籍する。主にひとり親家庭や、両親がいる多子家庭の子どもが通っているという。

クリスマス会では、一般の家庭であれば、当たり前のように経験する「ホールケーキを切り分けて食べる」ということにこだわっているという。

参加した子どもたちは、冬休みをどのように過ごすのだろうか。

参加した小学生の母親B(50代)
「クリスマスは、中学生のお姉ちゃんがケーキを買ってきて食べるかもしれないですが、それ以外に冬休みの予定はないですね。

他県にある実家に帰省したい気持ちはありますが、交通費もかかりますし、実家で甘えてしまうと、子どもも私もこっち(東京)に帰ってくるのがつらくなっちゃうので…」

冬休みや年末年始 ひとり親家庭の約9割が心配や困りごと

「冬休みにどこにも連れて行ってあげることができません。冬休み明けに、みんなの楽しそうな旅行のお話しを、どんな気持ちで聞くのだろうと胸が締め付けられます」(2023年の下記調査から抜粋)

認定NPO法人「グッドネーバーズ・ジャパン」が2023年に、フードバンクを利用するひとり親家庭を対象に行った調査(※1)によると、回答者の約9割が冬休みや年末年始においての心配や困りごとを抱えているという。

▼家にいる時間が長くなるため、水道光熱費や食費の支出が増えること、▼お正月・クリスマスなどの季節のイベントに際して、特別な食事や品物を用意したくでもできないことなどが、困りごととしてあげられた。

グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンクの情報を、支援家庭に提供するなどといった連携をしているキッズドアの渥美未零さんは「ひとり親家庭の中には、クリスマスやお正月といったキラキラした年末年始を楽しめない家庭も多い」と指摘する。

キッズドア 渥美未零さん
「今年の夏からジワジワと続いている値上げの打撃がとても大きいです。電気代やガソリン代も高騰していますし、おコメの価格も高いままなので、親は1日1食にせざるを得なかったり、子どもは朝と昼を兼用にしたりしている家庭もあります。食事をとらない親を見て、子どもが『お腹いっぱい』と言うようになってしまったという話も聞きました。

その影響なのか、子どもの体重がなかなか増えなかったり、肌荒れがひどくなってしまったりということに悩む親もいて、『食べさせてあげられないことが情けない』と悲痛な声も。

ひとり親家庭にとって、クリスマスやお正月は、あってないようなものではないでしょうか」

キッズドアでは、そうした家庭を対象に食糧支援も行っている。「一緒に料理をするなど親子で時間を過ごし、少しでもクリスマスやお正月の気分を味わってほしい」と、この冬は“ちょっとした工夫”を提案する食品を送るという。

キッズドア 渥美さん
「プレゼントをもらったり、あげたりすることで心が温まるという経験も大事だと思いますし、クリスマスやお正月の思い出があるということは、子どもが親になったときにも影響するはずです。

お正月といえばの餅やそば、それに具材を少しプラスすることでもっと楽しめるパスタソースやグラタンを用意したので、親子で何を入れるか話したり、一緒に料理したりすることで経験の一つになればと思っています」

(※1)認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが、2023年12月1日〜12月10日にフードバンクを利用するひとり親家庭を対象に行った調査(回答者数:3550人)

受験に合格…なのに「大打撃」 冬をしのいでも…春の“壁”

また、卒業や入学などを控える春を前に、さらなる支援の必要性も訴える。

渥美さんがひとり親家庭とやりとりをする中では、“すべり止め”の学校を受ける経済的な余裕がないことから、受験する学校を、▼学力レベルを下げた1校に絞る、▼受験を諦めるといったケースもあったという。

子どもが無事に合格しても、入学にあたって買い揃えなければならない物が多く、「喜ばしいことなのに、大打撃。もうどうしたらいいの」と嘆く親もみてきた。

キッズドア 渥美さん
「新入学を控えている場合、大きなお金が動く春を前に不安を抱えてしまう家庭が多いです。収入が少し増えてしまうと受けられる奨学金が返済不要な『給付』から『貸与』になってしまうことも。

奨学金を受け取る前に入学金を支払う必要があり、多くの家庭では、何かしら(奨学金以外)の借入でまかなうなど負担も大きいです。ひとりで踏ん張る親たちが安心して子育てできるような支援が必要です」

このニュースに関するつぶやき

  • 子供の頃両親が働いてて帰りが遅かったからクリスマスや正月には興味無かった 毎日のように近所の年寄の作業見たり手伝ってたら小遣いくれた 遊びに夢中で御飯食べない日もあった
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