「小銭なくしたいんやが、どうすればええやろか」
昨年、ある男性がXに投稿した写真に注目が集まりました。写っているのは部屋に広げられた小銭の山。さながらお正月のさい銭を数える神社のようです。投稿したのはXのアカウント名「さっきぃ」さん(@sakky_hs)。システム開発会社に勤務する40代の男性です。ご本人に話を聞きました。
ネットのアイデアで一気に減った金種が
部屋に小銭がたまり始めたのは約20年ほど前から。金種ごとの枚数ははっきりしませんが、総額25000円以上はありました。
「社会人になってからたまり始めたので、20年近く前からだと思います。現在、40代の昭和の残滓(ざんし)、平成手前世代なこともあり、現金の方がなじんでいる感じです。小銭が残っても全然違和感ないですね」
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普段は現金派?
「クレジットカード中心の生活ですが、現金もそれなりに使ってます。半々でしょうか。QR決済はあまり使ってないですね。職業的にはもっと全面的にキャッシュレス推進すべき側なのでしょうね」
家族の影響もあったのではないかと振り返ります。
「父親が同じように大きなお菓子の空き缶などで小銭を貯めまくってたのを見ていたので、その影響もあると思ってます」
Xに投稿後、ユーザーから10円玉の使い道のアイデアが寄せられ、「さすが集合知」と感心しきり。
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「10円玉はPASMO(パスモ)にチャージして全量交換にしました。Xでご意見をいただいて『これだ!』と思い、駅でがんばって交換しました。硬貨でのチャージをさせていただいた東京メトロさんありがとうございました。お詫びと言っては何ですが、コンビニで買い物させてもらってます」
PASMOは首都圏を中心とした交通系ICカード。東京メトロや東急、小田急などにあるICカードチャージ機や券売機などで10円単位でのチャージが可能です。
その他の金種の減り具合は。
「100円玉以上の硬貨は使いやすいこともあり、ちょくちょく使ってます。会社の自販機が100円で日に3、4本買うこともあるので減りは早かったです。それでもまだ残ってる感じですが(笑)」
一方で、全く減らずに困っている金種も。「1円玉、5円玉は支払いに使ってますが全然減ってません」。金融機関で両替するにも最近は枚数によっては手数料がかかります。さっきぃさんは現在も、1円と5円の使い道を探っています。
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店で使用できる硬貨の上限枚数は?
小売店などで硬貨を使用する場合、一度に使用できる枚数が決まっているのはご存じでしょうか。
日本銀行公式サイトのQ&Aコーナーには、「個人の買い物や企業間の売買などの支払いにおいて、お札や硬貨は何枚でも使うことができますか?」という質問が掲載されています。答えは。
「日本銀行法第46条第2項では、『日本銀行が発行する銀行券は、法貨として無制限に通用する』として、銀行券(お札)に無制限の強制通用力があることが定められています。このため、円の支払いが必要となる様々な取引において、銀行券は一度に何枚でも使うことができます。一方、貨幣(硬貨)については、『通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律』において、『貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する』(第7条)とされており、銀行券と異なり、一種類の貨幣につき、一度に20枚までに限り、強制通用力を持つことになっています」(日本銀行公式サイトから)
財務省の公式サイトでは、一つの金種につき一度に20枚まで、という枚数制限がある理由について、「貨幣は、小額の取引に適しているものの、あまりに多くの数が使用された場合、保管や計算などに手間を要し、社会通念上、不便となることから、上限を設けています」と説明。その上で、「ただし、取引の相手方の了解が得られるならば、それを妨げるものではありません」としています。
スーパーやコンビニなどでは近年、次々とセルフレジやセミセルフ式の精算機が導入されています。硬貨の投入口をよく見ると、「1種類につき20枚以上のご利用はお控えください」といった注意書きのシールが貼ってあります。また、機械が詰まることを避けるため、金種を問わず「小銭は20枚まで」としている店も。大量投入以外にも、小銭と一緒にポイントシールなどの異物を入れないでと警告を出す店もあり、店側の苦労がしのばれます。
(まいどなニュース・金井 かおる)