「食べムラ」と思い見逃していた愛猫の病 無症状でも進行…17年ともに過ごした命を奪った「消化管好酸球性硬化性線維増殖症」

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2025年01月23日 15:40  まいどなニュース

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一緒に過ごせた日々は宝物

愛猫の健康を守るには、猫が患う病気の情報を頭に入れておくことが大切だ。中でも知っておきたいのが、認知度が低い「消化管好酸球性硬化性線維増殖症(GESF)」という病だ。アオチャンさん(@aoiaiue_)は長年、絆を育んできた実家猫の黄子(きこ)ちゃんをこの病気で亡くした。

【写真】亡くなる1週間前の姿 治療を開始して3日後に息を引き取りました

実家猫と笑った愛しい12年間

2010年6月、アオチャンさん家族は動物保護活動をしている人から1匹の猫を引き取った。そして同年8月、遊び相手になってくれたら…と思い、同じ母猫から生まれた黄子ちゃんを同じ方から譲ってもらったという。

黄子ちゃんは話しかけると「ウンッ」とお返事をしてくれる心優しい子。

「最初は偶然かと思いましたが、会話してくれてるんだと感じられて嬉しかったです」

一方で、気に入らないことがあるとトイレ外の床にうんちをして抗議するなど、ユニークな自己主張を見せることも。

「全部がかわいかった。たまにされる猫パンチは、ソフトタッチ。パフッという優しい音が聴こえました」

結婚を機にアオチャンさんは実家を出たが、黄子ちゃんに会うため月に1〜2回ほど帰省。毎回3〜4時間ほど一緒に笑い合った。

「毎回、嬉しそうに出迎えてくれ、足にスリスリ。多彩な寝姿もかわいかったです」

激しい嘔吐の原因は「消化管好酸球性硬化性繊維増殖症」

黄子ちゃんは引き取った当初から度々、肉球がひび割れることがあった。医師からは真菌が原因だと告げられ、1歳頃に治療を受けたそう。幸い、その後は元気いっぱいの日々を送った。

「ただ、子猫の頃から時々、咳き込むことがありました。動物病院では特に問題ないと言われたので検査などはしていません」

急変したのは、2024年8月12日の夜。当時、黄子ちゃんは17歳だった。その日、アオチャンさんは母親から黄子ちゃんが朝晩、嘔吐したことを聞いたそう。嘔吐物の量が多く、様子もおかしかったため、黄子ちゃんは夜間病院へ。

超音波検査をしたところ、胃と腸の境目に腫瘍のようなものがあると判明。設備の整った病院で1週間後に精密検査を受けることとなる。

検査までの1週間、黄子ちゃんはご飯を食べたそうにするも固形物は口にできない様子だったそう。家族は猫用おやつ「ちゅ〜る」やペースト状にしたウェットフードをシリンジであげ、命を繋いだ。

専門的な病院で黄子ちゃんは血液検査やX線、針穿刺吸引、病理検査、内視鏡検査、CT検査などあらゆる検査を受けた。その結果、「消化管好酸球性硬化性繊維増殖症(GESF)」と診断されたのだ。

この病気は、消化管に腫瘤ができる炎症性の消化器疾患である。消化管に腫瘍のような塊ができるため、消化管型リンパ腫などとの見分けが重要だが、近年提唱され始めた疾患であることから、この病名を知らない獣医師もいるという。

消化管好酸球性硬化性繊維増殖症(GESF)は現代の医学では予防法がなく、詳しい原因も明らかになっていない。黄子ちゃんの場合は真菌で肉球がひび割れたことがあったため、医師からは「もとから菌に弱い体質であった可能性も否定できない」と言われたそうだ。

今の医学でできる治療は、ステロイド剤と抗生剤の投与や腫瘤の切除。黄子ちゃんの場合はシニアであることから、身体への負担を考慮して投薬治療をすることになった。

治療開始から3日後にニャン生を全うして天国へ…

消化管好酸球性硬化性繊維増殖症(GESF)は無症状のまま病気が進行することもあり、早期発見が難しい。食欲不振が病気の発見に繋がるケースもあるが、黄子ちゃんの場合はもとから猫特有の食べムラがあり、食べないタイミングが同居猫と同時であることも多かったため、早期発見が難しかった。

また、年1回の健康診断で血液検査をした時、炎症反応が出たため、詳細な検査を頼んでいたものの、忙しさを理由に病院側から何度も後回しにされてしまったことも早期発見に繋がらなかった理由のひとつだと家族は考えている。

「病院側から謝罪を受けましたが、もう少し早く発見できれば他の治療も検討できたかもしれません」

黄子ちゃんは、治療を開始して3日後の8月22日に息を引き取った。その日、アオチャンさんは出社後に母親から黄子ちゃんが危篤になったとの知らせを受けたそう。そこで会社に事情を説明し、急いで実家へ向かったが看取ることはできなかった。

「とても後悔しています。看取ったのは、妹と母。黄子はお気に入りの場所から動けなくなっていたのに妹が来たら2〜3歩、妹のほうへ歩き、そこで大きく吐いて倒れ込み、亡くなったそうです」

帰省するたび、どこで寝ていても起きて出迎えてくれたから最期もそうしてくれたんだ…。そう感じ、アオチャンさんは胸がいっぱいになった。

消化管好酸球性硬化性繊維増殖症(GESF)はまだ解明されていないことが多く、病名の認知度も低いため、早期発見・早期治療が難しい。だからこそ、アオチャンさんは定期健診の大切さを訴える。

「年に一度でいいので、健康診断を受けさせてほしい。食べる量が減って体重が落ちるようなら、エコー検査も視野に入れてほしいです」

過保護と笑われてもいいから、気になったことがあれば動物病院へ相談に行く。愛猫の命を守るには、そんな姿勢と覚悟が必要なのかもしれない。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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このニュースに関するつぶやき

  • うちゃんも夏、年末と🤮祭りだった。 食べて吐く、食べなくても水吐く。時々する“シャコシャコシャコ…”は咳なのか。ネコは吐くのが仕事だからね。
    • イイネ!3
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