報酬50億円か　大規模スカウトグループ摘発　性風俗店あっせん疑い

　女性を性風俗店にあっせんしたとして、警視庁暴力団対策課は27日、国内最大規模のスカウトグループとされる「ナチュラル」の関係者の男性2人を職業安定法違反（有害業務の紹介）の疑いで逮捕した。あっせんを受けた性風俗店など関係先数十カ所も同法違反の疑いで一斉に家宅捜索した。

　捜査関係者によると、グループには約1500人のスカウトが所属。性風俗店から支払われる「スカウトバック」と呼ばれる報酬などで、年間約50億円の売り上げがあったとされる。警視庁は一部が暴力団などの反社会的勢力に流れていたとみている。

　逮捕されたのは、会社員の荻野優也（32）＝東京都北区＝と職業不詳の伊谷亮祐（27）＝千葉市＝の両容疑者。

　逮捕容疑は、グループのメンバーだった2023年7月〜24年3月にそれぞれ、東京都台東区のソープランドと富山市の無店舗型性風俗店にいずれも30代の女性を紹介したとしている。警視庁は認否を明らかにしていない。

　グループのあっせん先は全国各地の性風俗店だったという。女性の性風俗店での売り上げに応じて店舗から支払われるスカウトバックは、回収役が店舗から現金で受け取り、グループが一括管理。幹部から末端のスカウトに分配されていたとみられる。

　グループは、性風俗店との契約を担う「契約課」や、警察を「ウイルス」と呼んで警戒する「ウイルス対策課」などの部署に分かれて組織的に運営。スマートフォンのアプリを独自に開発し、捜査員の顔写真を共有するなど、摘発を逃れる対策を講じていたという。

　ナチュラルは20年6月、東京・歌舞伎町でのスカウト行為を巡り、指定暴力団住吉会系組員らと乱闘事件を起こし、双方から逮捕者が出た。その後は各地の暴力団と協力関係を築き、「みかじめ料（用心棒代）」を支払っていたとみられる。【遠藤龍、加藤昌平】