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銀行口座の開設を拒否されたとして、茨城県内に住む元暴力団組員の男性がみずほ銀行に20万円の損害賠償を求めた訴訟で、水戸地裁(佐々木健二裁判長)は20日、男性の請求を棄却する判断を示した。男性の弁護士は判決後「二度と社会復帰するなと言っているようなものだ」と批判した。
判決によると、男性は2017年6月に暴力団を離脱。23年に2度にわたって、みずほ銀行水戸支店に口座開設を拒否された。
2度目に申し込んだ際、銀行側は男性の就労状況の報告書などを要求。男性側は県警が離脱認定をしており、「銀行は過度な要求をしている」と主張していた。男性の代理人の篠崎和則弁護士は「離脱そのものをためらう要因になりかねない」として、控訴する方針を明らかにした。
暴力団を離脱した元組員の社会復帰を巡っては、警察庁が22年、口座開設の支援策を策定。警察などが認めた「協賛企業」に就労している場合は警察が離脱状況の照会に応じるとし、不当に口座開設を拒否しないよう金融業界に周知している。
実際に、この仕組みを通して口座開設に至ったケースもある。しかし、ある銀行関係者は「暴力団を離脱したと言われても、組織に属さない半グレなどとして身分を偽装している可能性もある」と抵抗感を示す。
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ある警察幹部は「契約自由の原則がある以上、金融機関がリスクがあると判断して口座開設を拒否するのはやむを得ない。警察としては真に離脱した人を支援してほしいと呼び掛けるしかない」と話す。
判決では、男性の就職先から銀行に対して、就労状況などが適切に情報提供されない危惧があることを、請求棄却の理由の一つとした。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会の山田康成副委員長は「就労先が協賛企業でなくても情報提供などの連携を確実にすれば、口座は開設できると含みを持たせている。その点は評価できる」と指摘した。【西夏生、斉藤瞳、長屋美乃里】
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