セブン&アイ・ホールディングス本社に掲げられたロゴマーク=東京都千代田区(AFP時事) セブン&アイ・ホールディングスは27日、買収・非上場化の提案を受けていた創業家側から資金調達のめどが立たなくなったと連絡があったことを明らかにした。出資を要請していた伊藤忠商事から協力を得られず、買収の断念を余儀なくされた形。セブン&アイは今後、自力での成長を目指すか、創業家より先に買収提案を受けたカナダ企業の傘下に入るか、難しい選択を迫られそうだ。
セブン&アイを巡っては、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが昨年、約7兆円で買収を提案した。創業家はこれに対抗し、8兆〜9兆円規模での買収を打ち出したが、資金調達が難航。伊藤忠のほか、国内外の投資ファンド、タイの財閥、メガバンク3行などに投融資を呼び掛けたものの、「買収後の成長戦略が見えない」などの声が出ていた。
伊藤忠は27日、創業家から要請を受けた出資参画についての検討を終了したと発表した。1兆円規模の拠出を模索していた伊藤忠は、創業家にとって買収案の「支柱」だった。しかし、伊藤忠側では巨額投資に見合う成果が得られないとの見方が強まり、今月中旬以降、協力できない旨を創業家に伝達していた。タイの財閥も26日に参画の意向はないと表明した。
セブン&アイに残る選択肢は今のところ、自力成長路線かカナダ社傘下となる。アリマンタシォンに対しては、両社が店舗を展開する米国で独占禁止法違反を避ける対策について説明が不十分だと指摘し、買収案受け入れに難色を示してきた。とはいえ、2024年3〜11月期の連結決算は、主力の米国市場の消費低迷などが響き、前年同期比65%の減益。自力成長の道も険しい。
セブン&アイの株価は27日、創業家の買収断念を受けて10%を超す急落となった。近く企業価値の向上策を公表する予定だが、株価を上向かせて時価総額を高める業績改善の道筋を示せなければ、買収の標的にされる状況は変わらない。