【花粉症】今年「気をつけるべき人」は? 発症の原因と4大花粉の基礎知識もおさらい【専門医解説】

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2025年03月03日 07:30  ORICON NEWS

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今年の花粉症、「要注意」すべきはどんな人…?
 過去10年で最も多いか、それに匹敵すると言われている今年の花粉飛散量。現在、2人に1人と言われている花粉症患者だが、今後さらに急増する恐れも…。そんな時期だからこそ改めて知りたい花粉症の基礎知識と今年「気をつけるべき人」について、アレルギー専門医のわしお耳鼻咽喉科・鷲尾有司院長に話を聞いた。

【一覧】え?こんな食べ物もダメなの!? 花粉症がひどい人は要注意の食べ物

Q. 「花粉症」を発症する原因について教えてください。

【鷲尾院長】 「花粉症」は花粉によってアレルギー反応が起こっている状態のことです。通常は細菌やウイルスに対して起こる免疫反応が、反応する必要のない抗原(花粉)に対して過剰に反応し、鼻炎や結膜炎、皮膚炎といった様々な症状を引き起こします。原因になる花粉は地域によって様々です。日本においてはスギ・ヒノキ・ハンノキ・シラカンバ・イネ科・キク科などに気を付ける必要があります。最近は食物アレルギーと関連が強い花粉も存在しており、花粉症患者が特定の果物や野菜を食べた時に起こす「花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)」も問題になっています。

Q. 日本人の花粉症の約8割を占めると言われている「4大花粉」とはどのようなものですか?

【鷲尾院長】 スギ・ヒノキ・シラカンバ・ハンノキの樹木花粉です。木の高さが数十mにも及ぶために花粉の飛散距離が数十kmから長いと数百kmにもなります。中でも、日本で最も多いのがヒノキ科のスギとヒノキ。「花粉症」というと、スギ花粉症を暗に意味しているイメージです。

スギの飛散時期は2〜4月、ヒノキは3〜5月でどちらもこの時期にはごくわずかな飛散量の北海道・沖縄を除き、全国で発症します。

カバノキ科のシラカンバとハンノキは、花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)の原因として有名な花粉です。北海道で花粉症といえばシラカンバ。日本以外でも多く生息しているために海外でも注意が必要です。シラカンバの飛散時期は4〜6月。北海道を中心に東北の一部に飛散します。カバノキの飛散時期は1〜6月。全国に分布します。

Q. 4大花粉以外に気を付けるべき植物について教えてください。

【鷲尾院長】 雑草による花粉のイネ科花粉(カモガヤ、オオアワガエリなど)とキク科花粉(ブタクサ、ヨモギ)です。樹木による花粉と違って背丈が1m前後の雑草です。そのために飛散距離が数十mから数百mと短いのですが、集中して飛散する地域密集型の花粉といえます。どちらも野原や空き地、公園・河川敷など、どこにでも生息しています。

イネ科花粉は初夏を中心に種類・場所によって秋まで飛散しますし、キク科花粉は夏の終わりから秋に飛散することが多いです。どちらも鼻症状、眼症状にのど症状、さらに咳などの呼吸器症状、皮膚症状などと他の花粉症と同じですが、カバノキ科花粉と同様に花粉・食物アレルギー症候群の原因となります。

また、秋はダニが最も多くなる時期になりますので、秋にアレルギー症状があれば花粉以外にも注意が必要です。

Q.まだ花粉症を発症していない人で、今年「要注意」なのはどのようなタイプの人ですか?

【鷲尾院長】 今年はスギ花粉の大量飛散が予想されています。大量飛散の年は花粉症が発症しやすいといわれています。スギ花粉症以外の花粉症がある人やダニアレルギーなどがある人は注意が必要です。特に血液検査でまだ発症していないスギ・ヒノキの抗体を持っている人は発症の可能性があるので要注意です。

また、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー性鼻炎以外のアレルギー性疾患を持っている人も注意が必要になります。

現在、花粉症を発症していない人は予防する必要はありませんが、自分は軽い花粉症だからと言って油断している人は大量飛散すると症状はひどくなることを忘れないようにしましょう。

Q. 花粉症対策で大事なことはどのようなことでしょうか?

【鷲尾院長】 花粉症は環境アレルギーの一種になります。環境に左右されるので、その人にとって良い環境にいれば、良い状態でいれますし、悪い環境であれば、状態は悪くなります。どんなアレルギー疾患でも抗原(アレルギー物質)の除去が基本になります。抗原を除去するために、いつからいつまで、どこの場所で、どんな対策・予防を行うかを決めることが大切です。

その花粉症対策をしっかりするために必要なのは、ちゃんと診断をつけることです。耳鼻咽喉科では問診・視診・検査の3つを組み合わせて総合的に診断を行います。どれか一つでも欠けていれば診断の精度が低くなってしまいます。

花粉症のことを知って、自分のことを知ることは非常に大切です。病院に行って薬をもらうだけではなく、「その薬をどのように使えば一番効果的なのか、また薬以外の治療にどんなものがあるのか」をできるだけ前もって知っている人、行っている人が花粉症の勝ち組になるのです。

PROFILE/鷲尾有司(わしお・ゆうし)院長
わしお耳鼻咽喉科 院長。大学病院勤務後、市立貝塚病院(医長)を経て2011年に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医。

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  • 雨の日だと飛散量が少ないから、外の用事は敢えてその日にするとか。私はそうしてます。
    • イイネ!6
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