鳥インフルエンザの影響で卵が品切れとなったスーパーの棚=2月27日、ニューヨーク 【ニューヨーク時事】米国で高病原性鳥インフルエンザの感染爆発が発生し、卵価格が供給不足から高騰している。消費者が根強い物価高にあえぐ中、手頃な価格でたんぱく質を摂取できた卵も高根の花となり、食卓に影を落とす。農務省は鳥インフルの拡大防止や価格低下に向け最大10億ドル(約1500億円)を拠出する方針を打ち出すなど、対策に躍起だ。
米労働省によると、卵(大型12個入り)の都市部平均価格は1月に約5ドル(750円)と、前年同月から96%跳ね上がった。スーパーでは品切れが慢性化し、ニューヨーク市内には1パック12ドルで販売する店舗もある。市民からは「高過ぎて買えない」(同市在住の20代男性)と悲鳴が上がる。
米国では国際指針に基づき、鳥インフルが発生した養鶏場の鶏は殺処分される。今年1〜2月に処分された採卵鶏は前年同期比20倍の3000万羽超。飛来する野鳥がウイルスを持ち込み、ネズミなど野生動物が運び役となって拡散。変異株の出現なども相まって収束の兆しは見えない。日本でも鳥インフルがまん延している。
ロリンズ農務長官は2月末、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、鳥インフルが発生した養鶏場の再開支援に加え、衛生対策も強化すると表明。供給増へ海外からの一時的な輸入を検討する考えも示した。
被害を受けた養鶏場の再稼働には最低でも数カ月必要だ。このため、卵の供給不足解消は短期的には難しく、価格の高止まりは当面続きそうだ。