58年前、世界初の自動改札機が設置されたのは阪急北千里駅だった 共に開発に関わった近鉄よりも阪急が先だった事情とは

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2025年03月07日 11:50  まいどなニュース

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阪急文化財団【公 式】(@Hankyu_Culture_)の投稿より

1967年3月1日、世界で初めてとなる自動改札機の実用化が、阪急北千里駅で実現しました。今から2年後の2027年には、自動改札機の設置から60周年を迎えます。実はこの自動改札機の開発に関しては、阪急以外に近鉄も絡んでいました。なぜ、先に阪急に設置されたのでしょうか。

【写真】北千里駅にある「IEEEマイルストーン」の銘板

「IEEEマイルストーン」に認定された北千里駅の自動改札機

阪急北千里駅は大阪府吹田市にあり、千里線(北千里〜天神橋筋六丁目)の始発駅です。北千里駅が開業したのは1967年3月1日のこと。開業日と同時に設置されたのが自動改札機です。今でこそ駅の自動改札駅は珍しくありませんが、日本初、どころか、なんと世界で初めて自動改札機の実用機が設置されたのが北千里駅なのです。

それを証明するのが、自動改札機近くにある「IEEEマイルストーン」の銘板です。「IEEEマイルストーン」はアメリカに本拠地を置く電気・電子技術者による学会「IEEE」が認定したものです。対象は25年以上前に誕生し、社会や産業の発展に貢献した技術です。北千里駅における世界最初の自動改札機実用化は、2007年に「IEEEマイルストーン」に認定されました。

自動改札機の開発に関わった阪急と近鉄

自動改札機の開発に関わったのは、立石電機(現オムロン)、大阪大学、阪急と近鉄でした。そもそものきっかけは、激増する利用客に対応するために、近鉄と大阪大学による改札業務の自動化の研究でした。これに立石電機が加わり、日本独自の自動改札機のシステム「ノーマルオープンゲート方式」を開発。このシステムは改札機の扉を開けた状態で、乗客の定期券を高速判定するものでした。

1966年には定期券を対象に、近鉄の大阪阿部野橋駅にて、自動改札機の実証実験を行うことに。実験で使われた定期券はパンチカード式でした。

その後、阪急とオムロンが開発を引き継ぎ、1967年3月、北千里駅に自動改札機の実用機を設置することになりました。実用機は定期券用のパンチカード式に加え、普通乗車券の磁気バーコード式も用意。その後、自動改札機の普及・改良が進み、阪急では1983年までに、全駅に自動改札機が設置されました。

なぜ近鉄よりも阪急が先だったのか

一連の流れを見ると、自動改札機の実用化は近鉄が先でもよかったはずです。近鉄は阪急から遅れること2年の1969年に、普通乗車券専用の自動改札機を学園前駅に試験導入しました。近鉄の自動改札機導入が遅れた背景には、近鉄と国鉄(現JR)との連絡改札口が挙げられます。国鉄は連絡改札口でのパンチ式定期券の使用を認めなかったため、近鉄は早期導入を断念しました。

1971年に国鉄と共用可能な磁気式の定期券が誕生し、19駅に自動改札機を本格導入しました。この近鉄による導入は、鉄道事業者の自動改札機導入への機運を高めたと言われ、1970年代半ばまでに関西大手私鉄と大阪市営地下鉄に自動改札機が導入されました。

北千里駅は1970年開催の大阪万博の会場にも近く、国内外の万博来訪客も北千里駅の自動改札機に驚かれたのではないでしょうか。今年4月からはじまる大阪・関西万博の最寄駅、Osaka Metro夢洲駅には、顔認証の自動改札機があります。万博を契機に顔認証の自動改札機も普及することでしょう。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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このニュースに関するつぶやき

  • プロジェクトXでやってたから知ってるわよ。川に流れる葉っぱにヒントを受けたんだったわね。まあ私は駅員さんにハサミでチョッキンしてもらうのが好きだったわね。
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