今まで培った価値観がガラッと変わるほどの貴重な経験をすることもある「海外旅行」。「はるか180cm」という名でSNSの活動をしている里中はるかさんは、夢だった“ライダーの聖地”であるインドのラダックへ1人旅する様子を描いたコミックエッセイ『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。』（KADOKAWA）の作者です。
【漫画】「インドで『きれいな水道水』を飲んだら、大変なことになった」全編を読む
以前自身のX（旧Twitter）に、旅の途中でお腹を壊したエピソード『インドで「きれいな水道水」を飲んだら、大変なことになった』がポストされると、約4000件もの「いいね」が寄せられています。
メンタル不調で30代会社員のはるかさんは、意を決して自分を取り戻すためにインドへ飛び立ちました。日本を出発して6日目、最大の目的地であるラダックに到着し、ホステルで休むはるかさん。しかし、標高が3500mを超えていることもあり、高山病のような症状によって体調が悪くなります。
とりあえず宿の人にもらった「きれいな水道水」を飲んで様子を見ていたところ、お腹に異変が発生します。下痢が止まらなくなり、数え切れないほどトイレに行くものの、いっこうに症状は落ち着きませんでした。そして、近くの病院に行くことになり…。
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読者からは「知らない世界だったから引き込まれた」など様々な反響が。そこで作者であるはるかさんに、同作を手がけたきっかけについて話を聞きました。
―『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る』を描いたきっかけを教えてください。
元々、新社会人のときに鬱で休職したことをきっかけに漫画を描くようになり、いつか大好きな旅の漫画を描きたいと思っていました。コロナ禍を経て3年半ぶりの海外旅となったラダックツーリングは、とにかく1日の出来事で50ページ漫画が描ける！と思うくらいの濃い体験で。お腹を壊しながらヒマラヤを自分とバイクだけで走ったことも大冒険ですし、出発前の閉塞感が嘘みたいに解消されて「社会も生き方も他にもたくさんある」と思えたり、現地の方との交流に胸が温まったり。
もうすぐ描くしかない！と、帰国後すぐにコミティアに申し込み、当時のTwitterで「漫画本を作ります！」と宣言して。ギリギリの進捗を公開し、フォロワーさんに応援してもらいながら、本書の前身となる同人誌『ワンマン夏休み』Vol.1を完成させ、Vol2、Vol3と新刊を出し、100ページを描き下ろして本書の出版に至りました。
―“きれいな水道水”で体調不良になった場面はとても辛い状況と読み取れましたが、やはり、里中さんが経験した中でも上位に入るほど辛い体験だったでしょうか？
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下痢に加えて高山病も高熱もありましたし、海外旅行先の「体調」面では確かに上位に入る辛さだったかもしれません。元々バックパッカー1人旅が好きで、いろいろと大変な目に遭うことはありましたが、ここまでの下痢は始めてでした。酸素も薄く、寒い中シャワーのお湯も安定せず、過酷だったと思います。
下痢も高山病も命を落としうる危険がありますので、くれぐれも無理せず、きちんと対策・対応をしてくださいね！
おかげで、あれほど息が詰まると感じていた日本に帰国した後の自室の快適さ、松屋などの食事、銭湯やお湯シャワーなどのありがたみが骨の髄まで染み渡りました。冒険旅は2度美味しいと感じました。
―個人的に気になったのですが、お水をくれた方は特に体調不良になったことに対してコメントのようなものはなかったのでしょうか？
書籍にも描きましたが、とても心配して、他の宿の方と一緒に丁寧に看病してくれていました。あのお水は宿の方や観光客の方の多くが普通に飲んでいた水だったので、私の免疫力の問題もあったと思います。彼女とは宿でおしゃべりしたり、皆でキャンプファイヤーをしたりして楽しく過ごしました。
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―読者にメッセージをお願いいたします。
『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。』は、社会で消耗して鬱気味になった30代会社員が、インドのヒマラヤ“ラダック”をバイクで走って雄大な自然や心温かな人々に触れ、息を吹き返す、一夏の冒険譚です。漫画と写真と動画で読みやすく、旅を擬似体験できる1冊にしました。旅やバイクが好きな方、日々に少し疲れているような方に、ぜひ読んでいただきたいです。私も旅の思い出を胸に、日々なんとか生きていきたいと思います。
（海川 まこと／漫画収集家）
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