無料の足湯に誘われて、毎日通った健康器具店…「特別なお客様」扱いで100万円超の商品を買わされた 「これって詐欺?」女性の後悔【弁護士が解説】

11

2025年04月09日 12:00  まいどなニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

まいどなニュース

本当は買いたくないけれど、つい買ってしまった健康器具… ※画像はイメージです(takasu/stock.adobe.com)

夫に先立たれて以来、Aさんは独りで静かな生活を送っていました。子どもたちは既に独立し、それぞれの家庭を持っています。近所に友人もいないAさんにとって、日々の楽しみといえば、スーパーへの買い物と時折かかってくる孫からのテレビ電話くらいでした。

【漫画】人の心に忍び込むマルチ商法 警戒心を解きほぐす勧誘トーク リアルすぎる漫画に「怖すぎる」と反響続々

いつものように買い物を終え家路につこうとすると、Aさんの目に真新しい健康器具店の看板が飛び込んできました。「無料体験」の文字に惹かれ、少し腰の痛みを感じていたAさんは、ふらりと店内に足を踏み入れました。

活気に溢れた店内には親切な店員が数人おり、Aさんは案内を受けてマッサージチェアや足湯など、様々な健康器具を無料で試せました。体験後には、お土産として健康食品や入浴剤までもらったのです。

その日以来、Aさんは毎日のようにその店に通っています。店員たちはいつも笑顔でAさんを迎え、世間話に花を咲かせました。一人暮らしのAさんにとって、そこは温かく安らげる場所となっていったのです。

しばらくするとAさんは奥の個室に案内され、店長らしき人物から、「特別なお客様だけにご案内している」という高額な健康器具を勧められます。これまで受けた親切や、店員たちとの親密な関係からAさんはこの誘いを断ることができません。そして、その場の雰囲気に流されるまま、契約書に判を押してしまったのです。

帰宅後、不安になったAさんは、思い切って娘に電話をかけ今回の経緯を話しました。電話口で娘は、「それは詐欺かもしれない!」と声を荒げました。「絶対にクーリングオフの手続きをするべきだ」と強く主張します。親切にしてくれた店員たちを疑いたくなかったものの、娘の言葉も頭から離れません。Aさんはどうしたらいいのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

ーAさんが騙された手口はどのような商法でしょうか

Aさんが騙された手口は、一般的に「催眠商法(SF商法)」と呼ばれるものに該当する可能性が高いです。閉鎖的な空間で開催し、無料の特典で関心を引き、親切な対応によって信頼関係を構築します。集団心理を利用して断りにくい雰囲気を演出して、高額な商品であっても断りにくい状況を作り出すのが特徴です。 

ーAさんの契約は有効なのでしょうか

Aさんの場合、自分から店に出向いて契約しているため、クーリングオフが適用されません。したがって、販売会社に事情を説明し解約を申し出てください。もし、解約に応じてもらえない場合は、消費者センターや弁護士に相談し適切なアドバイスを受けましょう。

過去には催眠商法で高額の健康機器を買うよう勧誘したとして、特定商取引法違反(目的隠匿勧誘)の疑いで逮捕された事例もあります。無料で配布される健康食品や入浴剤を目当てに、会場に近づくのは避けたほうがいいでしょう。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

動画・画像が表示されない場合はこちら

このニュースに関するつぶやき

  • 少し前に無料とうたってた健康器具展があって怪しいと思ったけどやっぱり
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(9件)

前日のランキングへ

ニュース設定