4月13日に開幕した大阪・関西万博は、その全貌が明らかになるにつれ、評判が高まってきている。
東京に住む筆者も「行ってみたい!」と思い立ち、開幕から5日目の17日木曜日、早朝の新幹線に乗り、日帰りで訪問した。
会場にいられたのは、午前10時前から午後2時半ごろまでの5時間弱。時間的制約の中、パビリオンの事前予約なしでどこまで楽しめたかを報告する。
●午前6時:東京駅から新幹線に乗る
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早朝、自宅から電車で東京駅へ。午前6時9分東京発・新大阪止まりの「のぞみ」に乗った。
博多行きなら6時ちょうどに始発があったが、万一、新大阪で寝過ごしたら悲惨なので、その次の新大阪止まりを選んだ。
●午前6時半:新幹線内で万博チケット購入、「満員」表示に焦る
入場チケット(7500円)は当日に新幹線内でオンライン調達。午前9時、東ゲート(地下鉄駅側)入場で購入した。
開幕初週、良い評判がまだあまり聞こえない時期だったが、当日朝6時過ぎの時点で「東ゲート10時入場」「西ゲート9時入場」が満員で焦った。狙っていた東ゲート9時入場は「混雑」だが残っていたので、確保できて安堵した。
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パビリオンの予約はゼロ。「大阪・関西万博ぴあ」のKindle版を購入して予習を試みたが、ごく一部のパビリオンしか紹介されておらず、全貌がつかめない。海外のレストランにも興味があったが、飲食の紹介は2ページしかなかった。
「何をするにもスマホが必要」と聞いていたので、新幹線内でスマホとモバイルバッテリーをフル充電。会場マップもダウンロードしておいた。だが、スマホで拡大しながら見るのは不便で「紙の地図があればよかった」と思った。
●午前8時半:新大阪から地下鉄で夢洲へ
午前8時半過ぎに新大阪駅に到着。地下鉄御堂筋線に乗り換え「本町」を目指す。駅には御堂筋線までの分かりやすい道案内があり迷わなかったが、地下鉄で通勤ラッシュにもまれた。
御堂筋線本町駅で地下鉄中央線に乗り換える。「中央線」と書かれた緑のラインに沿って歩けばOK。警備員が「万博はこちら」と案内していて迷わずに済んだ。
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●午前9時半:夢洲駅着、手荷物検査に並ぶ
9時半過ぎに会場最寄りの夢洲駅着。大きな階段を上ると景色が開け、各国の旗がはためいている。ついに来た!
9時入場の列に並ぶ。屋根がなく日差しが痛い。日焼け止めと帽子は必須だったと、持ってこなかったことを後悔した。行列には関西弁の中高年の女性が多く、にぎやかに話している。
20分ほどで手荷物検査の番が来た。空港の手荷物検査と同じ機械にすべての手荷物を入れ、金属探知機をくぐったらクリア。液体を持っている人は専用の機械でチェックするようだ。
●午前9時50分:入場、テンションMAX
ついに入場だ。入り口でチケットのQRコードをかざす。QRコードはスクショしていたが、その後に撮ったスマホ写真に埋もれて見つけにくい。事前に紙に印刷するのがベストだろう。
入るとすぐ、広く開けた敷地に、大きなミャクミャク像、その先に大屋根リングが見え、一気にテンションが上がる。みんな笑顔だ。ディズニーランドに入った瞬間に似ている。「いきなり来て、楽しめるだろうか?」という心配は吹き飛んだ。
ミャクミャクの近くにはピカチュウ像のフォトスポットもあった。撮影していると、海外から来た男性の写真を頼まれた。他にも、海外からの観光客が目立った。
●午前10時:大屋根リングに上り「来て良かった」と実感
大屋根リングに向かう。写真で見た通りの姿で、想像以上の大きさだ。くぐるとヒノキのいい香り。木組みが美しく、下は涼しくて気持ちいい。こんなに大規模な木造建築を体感するのは初めてだ。
その先のエスカレーターでリングに上った。大きな丸いリングの全貌と、いろんな形のパビリオンが見える。天気も良く、歩くだけで気持ちいい。道の脇には花がたくさん植えられており、これから咲きそうだ。
入場の10分後から、パビリオンの当日予約が可能なので試した。万博の予約サービスは毎回2段階認証が必要なのが面倒だし、目的のサービスが探しにくくて困った。早い時間に枠が残っているパビリオンがオーストラリアしか見つからなかったので、11時45分で予約した。
「予約時間までに並んでいないパビリオンをめぐろう」と、リングを降りた。下りのエスカレーターの場所が分からなくてボランティアスタッフに聞いたら、足元の案内を見るといい、と教えてもらった。
●午前10時15分〜:スペインとタイのパビリオンで困惑
最初に入ったのはパビリオンはスペインだ。入り口でスペイン人スタッフに「並んでいませんか?」と聞いたが、日本語が通じず、英語で聞き直した。
広いパビリオン内は青い映像で埋め尽くされている。海のイメージだろうか。日本とスペインの外交の歴史などの解説があった。じっくり見ても面白そうだが、時間がないので足早に眺めた。
続いて隣のタイパビリオン。入場前の解説が英語だけなのに驚いた。大阪なのに海外旅行のようだ。
中では、壁から天井までシームレスな巨大スクリーンで、タイの自然や医療、食べ物などが紹介された……と思ったら、スタッフが拍手を要求しながらタイ語で歌い踊り出してびっくりした。よく分からないが、楽しい気持ちになった。
●午前11時〜:「夜の地球」「コモンズF」「トルコ」
続いて「夜の地球」というパビリオンに入る。輪島塗の地球儀があると、中に入ってから知った。ツヤツヤで美しい。東京やニューヨークの蒔絵地図もある。
館内ではサザンオールスターズの新曲「桜、ひらり」がかかり、歌詞が掲示されていた。なぜこの曲なのか? と困惑したが、後で調べたら、 サザンが能登半島地震に想いを寄せた楽曲だそうだ。
続いて「コモンズF」に入る。パオを再現したブースの中で、東京で学んでいるというカザフスタン人の青年が、カザフスタンの現在を解説してくれた。展示の規模は小さいが、日常ではまず触れあえない国の人と話せるのが楽しい。
トルコパビリオンは、スクリーンに写った大きな青い顔が、日本語でトルコの文物を教えてくれた。顔が大きすぎてちょっと怖かった。
●午前11時半:ガンダムとミャクミャクのツーショットを撮る
トルコを出て歩いていたら、西ゲートまで到着したようだ。ガンダム像がある!
そのそばにはミャクミャクもいて、一緒に写真が撮れそうだ。カオスで面白いなと思った。(関連記事:謎の踊りに謎展示、ミャクミャクとガンダムの競演……大阪万博はごちゃ混ぜカオス、そこが楽しい)
そばの舞台では、インドネシアだろうか? 色とりどりの民族衣装を着た人達がダンスを披露していて、ガンダムと一緒に写真が撮れた。
●午前11時45分:予約したオーストラリアに入る
オーストラリアパビリオンの予約時間が迫ってきたので向かう。予約列に並んだが、予約なしの列もほとんど人がおらず、「予約しなくてよかったかも」と思う。
入ると、ユーカリの森が再現されていて香りがすごい! 水も流れている。オーストラリアの海を再現した映像も迫力があるが、足早に歩いていると、すぐに回りきってしまった。
さっきからパビリオンの外で、「ブラジル」と書かれたマントを着ている人と何人もすれ違う。ブラジルパビリオンに行くともらえるのだろうか。うらやましい。
万博会場では、入場QRコードを出したり地図を見たり写真を撮るためにスマホを使いまくる。新幹線でフル充電していたバッテリーは昼に50%を切ったので、モバイルバッテリーにつないだ。持ってきておいてよかった。
●午後0時:もう足が痛い モンテネグロで寝転がる
ここまでで1.5kmぐらい歩いた。すでに足が痛い。お腹も空いてきたが、ちょうどいいレストランが見つからない。
ふらふら歩きながら「コモンズC」に入ったら、モンテネグロブースで人工芝に寝転んでいる人が見える。まねして寝転んでみたら、天井の大型スクリーンにモンテネグロの自然や建物の映像が流れていて、寝転びながら見られる仕組みだった。これはいい!
歩き疲れて痛んだ足にとても優しい展示だ。10分ほどのんびりさせてもらった。
●午後0時40分:ウクライナブースで戦争のリアルを知る
コモンズCにはウクライナもブースを出している。10分ほど並んで体験できた。
展示された青いオブジェのバーコードを読み取ると、そのオブジェの商品が戦争がどう関わっているかが、映像と文字で表示される。ロシアと情報戦に勝つために、市民がオンラインでも戦っている――など、知らなかった情報に触れた。
コモンズCを出てふらふら歩いていたら、ポーランドパビリオン前で謎のダンスか寸劇のようなものが展開されていた。「STICKS USERS GUIDE」(棒の使い方)というテーマらしい。よく分からないが、面白い。
●午後1時:オーストリアの「カイザーシュマーレン」を食べる
それにしてもお腹が空いた。並んでいないレストランを探すが見つからない。アニメ「スパイファミリー」のコラボフードトラックはあったが、できれば海外のものが食べたい。
オーストリア館の前に、ほとんど並んでいないフードブースを見つけた。「カイザーシュマーレン」というパンケーキを出しているらしい。頼むと、手のひらサイズ程度の器に入ったパンケーキに、ラム酒をスプレーして出してくれた。
サイズが予想より小さく、「これで1600円か」とがっかりしたが、食べてみると、経験のない味でとても美味しい。添えられたアップルコンポートもいい味で、満足した。
●午後2時:並んで入ったブラジル館で困惑する
2時過ぎには会場を出たいので、もう時間がない。足も痛い。でもブラジルのマントがほしい。
ブラジルパビリオンを最後にしようと決め、初めて行列に並んだ。修学旅行とおぼしき高校生が「俺、マントがほしいだけなんだよね」「集合時間間に合うかな」など話しながら並んでいる。楽しそうだ。
約20分行列して入ったブラジルパビリオン。入った瞬間「なんだこりゃ」と声が出た。
空気でふくらんだ白いオブジェが大量にウヨウヨ動いている。足元には「空気」「AIR」の文字。奥で太陽のような赤い光が点いたり消えたりする。分からなすぎた。
その奥にある小さな部屋に、例のマントがガサっと置かれており、自分で色を選べた。ブラジル国旗のイメージで緑を選んで袖を通すと、ディズニーランドでミッキーの耳を着けたような気持ちになって、ウキウキした。
●午後2時:大屋根リングでサウジアラビアのダンスを見る
最後に大屋根リングにもう一度上った。朝より人が増えているが、道幅が広いので混みすぎることもなく、気持ちいい。
下のアラブ館では、民族衣装の男性たちが、棒を使ったダンスを披露していた。男性だけのダンス。見たことのないタイプだ。さらに先では、日本の和太鼓と舞踊が見られた。
まさに「”万国”博覧会」だ。
●午後2時半:後ろ髪を引かれながら退場
そろそろ帰らないと、子どもたちの晩ご飯に間に合わない。土産を買いたかったが店のありかもよく分からず、あきらめて東ゲートから退場した。
5時間弱ほぼ休まずに動いたが、会場の半分ぐらいしか歩けていない。ただ、在宅勤務で万年運動不足の足にはこれが限界でもあった。足が棒のようだ。
新大阪駅でミャクミャクグッズなどを買い、午後7時前に自宅に帰った。その夜の眠りはとても深かった。
●次はゆったり回りたい
初週の木曜日だったこの日、入場者数は8万2692人。午前中はすいており、並ばずに入れるパビリオンが多かった。入場者数は日々増えていて、土日はさらに増えるようだ。
今回、短い滞在時間で満喫しようと早足でめぐったため、一つ一つをじっくり味わえなかったのが心残りだ。
もし次の機会があれば、パビリオンに入ることにこだわらず、全体の雰囲気をゆったり楽しんでみたい。さらにもう一度行ければ、パビリオンを一つ一つ味わってみたい。
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