【陸上】日本選手が100mで世陸金メダリストに勝った! 21歳大学生が国立で快挙

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2025年05月19日 08:11  日刊スポーツ

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男子100メートル決勝、1位でゴールする柳田(右)(撮影・垰建太)

<陸上:セイコー・ゴールデングランプリ(GGP)>◇18日◇東京・国立競技場◇男子100メートル決勝



昨年のパリオリンピック(五輪)男子400メートルリレー日本代表の柳田大輝(21=東洋大)が、10秒06(追い風1・1メートル)の好記録で優勝した。9月の世界選手権東京大会の参加標準記録(10秒00)は突破できなかったが、19年世界選手権金メダリストのクリスチャン・コールマン(米国)らを抑えて連覇を達成。日本のエース、サニブラウン・ハキーム(26=東レ)が欠場したレースで“次代のエース”をアピールした。


    ◇    ◇    ◇


レース展開は頭になかった。コールマンやミラーの姿も見なかった。「60メートルで決着をつける」。柳田はそれだけを考えて左端の第1レーンから飛び出した。スタートのリアクションタイムは最速。何かにはじかれたような勢いで、ゴールまで駆け抜けた。


「スタートが自分の生命線。そこがうまくいけば最後まで転がるように走れる。その通りになった」。レース後は、してやったりの顔で声を弾ませた。


スタート強化のためにオフに練習に芝生を走るメニューを取り入れた。「ふくらはぎや足首が固められていないと、スタート時に無駄な弾みができてしまうから」。そのために100メートル10本を毎日2セット。軟らかい芝生を踏みしめて走った。優勝は冬場の地道な鍛錬の成果でもあった。


今月9日の関東インカレを追い風4・5メートルの参考記録ながら9秒95で制した。その9秒台の体感も背中を押したという。「風に押されてスタートしたあのスピード感を思い浮かべながら走れた。体が勝手に反応してくれた感じがした」。


もっとも思い通りのレースにも本人の採点は「80点」。「20点足りないのは1・1メートルの追い風なのに標準記録を切れなかったから。100点なら10秒を切ることができる。(7月の)日本選手権(世界選手権選考会)で100点のレースをすればいい」。目標はあくまで10秒の壁。


昨年のパリ五輪は100メートル代表の有力候補に挙げられながら、最終選考会の日本選手権で3位に終わり、リレーメンバーとして出場した。そこで見た世界最高峰の戦いに刺激を受けた。「9秒台を出して、さらにもう1段階上げる実力がないとファイナルで走ることができない」。目標が五輪出場から「世界のファイナル」に変わった。


この日の決勝直前のウオーミングアップで、サニブラウンが足の違和感を訴えて欠場した。注目の第6レーンから“大会の顔”が消えたレースで、第1レーンの21歳が日本のエース候補に名乗りを上げた。「今度は真ん中のレーンを走って、ハイレベルなレースに勝ちたい」。柳田は9月の世界選手権で真の主役の座を狙っている。【首藤正徳】


◆柳田大輝(やなぎた・ひろき)2003年(平15)7月25日、群馬・館林市生まれ。小学生で競技開始。館林一中−東農大二高。高2から5年連続で日本選手権100メートル決勝進出。22年から東洋大。世界選手権は22年に400メートルリレー代表、23年に100メートルで準決勝進出。24年パリ五輪400メートルリレー代表。父輝光さんは東海大で3段跳び、母昌代さんは日本女子体育大で7種競技の選手。自己ベストは10秒02。183センチ。


◆陸上世界選手権の一般種目の代表選考 各種目の出場枠は最大3(女子やり投げは4)。パリ五輪入賞者で日本人最上位者は、1月1日から日本選手権(7月4〜6日、東京)までに参加標準記録を突破すれば内定。8月24日までに標準記録を突破した上で日本選手権で3位以内に入れば、代表に大きく近づく。

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