岡山の観光スポットに、唯一の書店がオープン 町に惚れ込み移住した店主、人生が一転したきっかけは…?

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2025年05月30日 07:20  まいどなニュース

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かつて赤色顔料・ベンガラや銅の生産で栄えた吹屋ふるさと村。赤褐色の屋根とベンガラ塗りの格子が特徴の町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている

 岡山県高梁市の観光スポット・吹屋ふるさと村(同市成羽町吹屋)に個人経営の本屋「袖珍舎(しゅうちんしゃ)」がオープンした。店主は埼玉県から移住した川鍋裕和さん(31)。古民家をリノベーションし、郷土史や食、旅、動植物など多彩なジャンルの中からえりすぐった約800冊を並べた。

【写真】吹屋ふるさと村に本屋「袖珍舎」を開いた川鍋さん

 古民家は国重要文化財・旧片山家住宅に隣接する木造平屋(約30平方メートル)。店名は、着物の懐や袖に入れて持ち歩ける和とじ本「袖珍本」から名付けた。「この場所で出合った本と一緒に、いろいろな場所に出かけてもらいたい」との思いを込めた。

 店の本棚に並ぶのはポケットサイズの文庫が中心。かつて赤色顔料・ベンガラの生産で栄えた吹屋の歩みなどを記した歴史本のほか、小川洋子さんや重松清さんら岡山県出身作家の小説、鉄道旅行、野鳥、パン作りに関する本などをとりそろえた。ベンガラ色の町並みにちなみ「赤い」表紙の書籍も集めている。

 川鍋さんは、旅行で訪れた吹屋で人々の温かさや穏やかな風土に魅了されたといい、2022年秋に移住。警備会社に新たに就職した。

 無類の本好きで、自宅近くの古民家が売りに出されていることを知り「本屋も営みたい」と思い立ったという。仕入れの方法などを学び、4月に吹屋唯一の書店を開業した。

 オープン後、地元の人たちや観光客らが立ち寄り、本選びを楽しんでいる。川鍋さんは「本を片手に良い時間を過ごしてほしい。皆さんの意見を聞いていろいろな本を用意していきたい」と話している。

 不定休。営業時間は正午〜午後5時。インスタグラム(@syuchin_sya)で営業日などを公開している。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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