なぜ、子どもはiPhoneを欲しがるのか 当事者の言葉から浮かび上がった「4つの理由」

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2025年05月30日 13:01  ITmedia NEWS

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 先日、Xで「子どもにはiPhoneを買うべきなのか。Androidではいけないのか」といった議論が巻き起こっていた。


【調査結果を見る】子どもが持つスマホのOSを調べた東京都のデータ


 この議論は、ネット上で何年にもわたって繰り返されている。しかし、少しずつムードが変わってきていることを感じる。


 以前は、「子どもは安価なAndroidで十分」という意見が多数であり、そもそも「スマホなんてぜいたく品だ」とスマホを持たせるなという論調さえあった。


 しかし、現在はスマホを持ち始める年齢の平均が10.3歳と、小学生でもスマホを持つことが珍しくなくなり、現実的な視点で考える人が増えたのだと思う。


 Xを追っていくと、「黙ってiPhone買ってあげてほしい」「AirDropとか子どもにはiPhoneにしたい理由もある」「プレステ欲しいのにセガサターン買われるみたいなもん」など、iPhoneの購入に理解を示す声も多く見られる。


 そもそも、なぜ子どもはiPhoneを欲しがるのか。筆者が実際に会ってきた子ども達の訴えから理由を掘り下げていく。


●理由1:みんながiPhoneを持っている


 子どもは、「みんなiPhone持ってるからiPhoneが欲しい」と主張する。子どもの「みんな持ってる」はあてにならないこともあるが、筆者が会う10代もほとんどがiPhoneだ。


 そこで、子どものiPhone率の高さを表すような調査を探したが、ここ数年に行われた中高生対象のOSに関する調査を見つけられなかった。これも大人を混乱させている要因なのかもしれない。


 そこで、東京都生活文化スポーツ局が令和5年3月に公表した「スマートフォン等の利用等に関する調査 報告書」を引用する。調査対象が都内在住に限定されているため、全国とは異なる結果かもしれないが、ご承知おきいただきたい。


 本調査によると、小学生から高校生の全体では、「iOS(iPhone)」が61.8%ともっとも高く、「Android」が37.9%となっている。学年が上がるほどiOSの割合が高くなり、高校生では72.3%がiOSを利用している。令和2年度の調査よりもiOSの割合は1.8ポイント高くなっている。


 このグラフを見ると、高校生でもiPhoneは約7割であり、「みんなiPhone」というよりかは「ほとんどがiPhone」とも解釈できる。しかし「Androidだからみんなの前では使わない」という男子中学生の話を聞いたことがあるため、堂々とスマホを見せている人がiPhoneであり、その結果「みんなiPhone」に見えるのかもしれない。


 ほとんどがiPhoneを使う世界では、「あの加工アプリ便利だよ」「新しいSNS使ってみない?」とiOSのアプリを教えられても使えないケースが起きる。「SNSに投稿している画像に使っているフォントが違くて、Androidってすぐ分かる」と、ある女子高生も語っていた。


 「自分はみんなとは違う」と、事あるごとに実感することは、思春期には大きな打撃となるだろう。


●理由2:AirDropが使えない


 ほとんどがiPhoneという環境で起きる最大の困りごとは、「AirDropが使えない」ことだ。


 中高生はデータ通信量が少ないプランで契約していることが多く、常に「ギガが足りない」状況だ。そのため、写真や動画の共有にはAirDropを使う。


 LINEで共有すればいいという意見もあるが、LINEの場合は「友だち」になる必要がある。今やInstagramをメインにしている彼らにとって、全員とLINEでつながることは重いのだ。


 また、動画世代である彼らは常に動画を撮影し合う。LINEでは最長5分以内の動画しか送信できない。「アルバム」機能を使っても同様だ。InstagramやTikTok向けにダンスを踊ったり、友人とのカラオケを撮影したりすれば、あっという間に5分を超えてしまう。


 何より、「今からエアドロ(AirDrop)するねー!」と一人がiPhoneを出し、友達が一斉にiPhoneで受け取っているときに参加できないのは悲しいだろう。あとで送ってもらうことにしても、うっかり忘れられる事態も起きる。何となく仲間外れにされている気持ちになってしまうのもやむを得ない。AirDropは1対1でのシェアだけでなく、複数人での共有にもよく使われる点が学生ならではだ。


●理由3:ゲームがカクカクする&カメラ画質が悪い


 中高生からは、「iPhoneはゲームしてもカクカクしない」「僕のAndroidはすぐ落ちる」「iPhoneはカメラの画質がいいけどAndroidだと盛れない」などの意見もある。


 これは、使っているAndroidがエントリーモデルであるケースがほとんどだからだろう。親がAndroidを買う理由の1つに、「安価だから」がある。Androidにすると3万円台から選択できるため、親がエントリーモデルのAndroidで満足していれば、子どももそれで十分だと考えるはずだ。


 一方のiPhoneは、ミドルレンジモデルからハイエンドモデルにあたる。当然価格は高いが、性能も良い。友人のiPhoneと自分のAndroidを比較してしまうと、自分のスマホが劣っていると考えてしまうのだろう。


 中高生のスマホの使い方は、動画視聴やオンラインゲーム、撮影、加工、ライブ配信などで、ハイスペックを要するものが多い。しかも、ちょっとうまく動作しないだけでスマホのせいにしがちだ。親としては、自分で稼げるようになってから高いスマホを購入してもらうという教育方針もあるだろう。それは家庭それぞれだ。


 それにしても、そもそもOSの違いというよりもスペックの差なのに、「Androidは使えない」と若者に印象づいてしまっているのはもったいない話だ。


●理由4:かわいいケースがない


 女子中高生にとって、スマホのケースは大切なおしゃれアイテムだ。今は、透明ケースの中に「推し」の写真を入れるなどして、自分らしいケースを作ることが流行っている。その際、100円均一ショップなどで透明ケースを購入する。しかし、そのほとんどがiPhone用だ。


 また、中高生が好きな雑貨ショップに出掛けても、iPhone用のケースばかりだ。例えば、ドン・キホーテやWEGO、サンキューマートなどでは、中高生が大好きなキャラクターやかわいいデザインのiPhoneケースが手頃な価格でたくさん売られている。そうしたケースが手に入らないことも、Androidを避けたい理由だ。


●子どもにはiPhone、Androidのどちらがいい?


 子どもがiPhoneを欲しがる理由は以上の通りだ。スマホネイティブの彼らにとってスマホは大事な道具であり、「ほとんどがiPhone」の世界で自分だけが違うことは少なからず心の負担になる。


 では、子どもにiPhoneを欲しいと言われた場合、親はどうすべきなのか。


 親が子どものスマホをAndroidにしたい理由の1つに、手頃な価格がある。確かにiPhoneは高額だが、子どもはみんなと同じiPhoneでAirDropが使えればいいため、中古iPhoneの購入を視野に入れると解決するかもしれない。


 筆者は、我が子のスマホデビューに中古iPhoneを用意した。本体カラーの希望を受け入れたこともあり、とても喜んでくれた。高校生ともなれば、iPhoneのなかでもレンズの数で序列があるようだが、小中学生なら旧機種で十分だ。


 価格以外には、「ペアレンタルコントロール」の問題もある。


 親が子どものスマホを管理するペアレンタルコントロール機能を利用するには、親子のOSが関係する。OSが提供しているペアレンタルコントロールを利用する場合、子どもがiPhoneだと親もiPhoneでなければならない。つまり、親がAndroidを利用している場合、子どものiPhoneを管理するには工夫を凝らす必要がある。この点を重視してAndroidを選択している家庭も多いだろう。


 こうした問題がないのなら、現状では子どものスマホ選びはiPhoneにしておくと安心だ。


 なお、「Androidだといじめられる」と心配する声もある。ある男子大学生は「昔からAndroidなので、オンボロイドだとからかわれる」と語っていたので、そのような状況はあるのだろう。スマホの機種だけで深刻ないじめに発展するかどうかは断定できないところだが、少しでも不安を感じるなら、iPhoneという選択が無難だ。


 ここまでiPhoneが欲しい子どもの話をしてきたが、もちろんAndroidを欲しがる子どももいる。筆者がインタビューした男子高校生は「自分はAndroidを気に入っている」と、カスタマイズ性などを挙げて熱弁してくれた。子どもがスマホで何をしたいのか、どんなデザインがいいのか、ルールは守れるかなど、スマホデビューの際にはゆっくり親子で話し合ってほしい。



このニュースに関するつぶやき

  • iPhoneなんて田舎者と子供しか使ってないからね。世界的に日本のiPhone使用率はカッペさを物語ってる。
    • イイネ!6
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