インドの自動車工場の生産ライン=2024年3月27日、南部チェンナイ郊外(AFP時事) 【ニューデリー時事】インドの自動車業界が、中国の輸出規制強化に伴うレアアース(希土類)磁石の供給不足に見舞われている。業界団体は6月初めにも生産停止に追い込まれる恐れがあるとして、インド政府に対し、中国に規制緩和を働き掛けるよう求めている。
希土類磁石は特に電気自動車(EV)のモーターやセンサーなどに使われる。中国が世界生産の大半を占めており、調達を同国に頼るサプライチェーン(供給網)のリスクが浮き彫りとなった。
インドは新車販売台数で中国、米国に次ぐ世界3位の市場。2022年に日本を上回った。
中国政府は今年4月に輸出規制を強化。トランプ米政権の対中追加関税への報復策とされている。
ロイター通信やインドメディアによると、スズキの現地子会社マルチ・スズキなどが加盟するインド自動車工業会(SIAM)は、規制強化を受けて中国の港にとどめ置かれている希土類磁石の出荷許可取得に向け、インド政府に支援を要請した。また、SIAMを中心とする代表団が今週訪中し、事態解決のため当局者と話し合う予定。
SIAMのラジェシュ・メノン事務局長は時事通信に「インド政府との協議が進行中なのでコメントできない」と述べた。
自動二輪車大手バジャジ・オートの幹部も5月29日、7月までに規制が緩和されなければ自社のEV生産が深刻な影響を受ける恐れがあると警告している。