60年前のボンベ、なぜ地中に?=工事中のガス漏出、過去にも―東京・葛西の爆発事故

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2025年06月02日 14:01  時事通信社

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時事通信社

白煙が上がる爆発があった現場周辺=5月27日午前、東京都江戸川区(読者提供)
 東京都江戸川区東葛西の工事現場で爆発があり10人が軽傷を負った事故で、地中から見つかったガスボンベには約60年前に検査に合格したことを示す数字が刻印されていた。現場は約40年間、舗装された駐車場だったといい、専門家は「かなり前に不法投棄された可能性がある」と指摘する。

 事故は5月27日午前9時半ごろに発生。住宅新築工事で地盤補強のためにパイプを打ち込んでいたところ、地中から金属の溶接や切断に使われる「アセチレンガス」が噴出し、爆発した。作業員や近隣住民ら10人が軽傷を負ったほか、半径約120メートル圏内の38棟で壁が壊れるなどの被害が出た。

 警視庁は深さ約50センチの地中から全長約100センチのガスボンベを発見。ボンベには1964年11月に検査に合格したことを示す刻印があり、数十年間、地中に埋まっていた可能性がある。中央部分には直径約6センチの穴が開いており、同庁は掘削工事中に損傷したボンベから漏れ出たガスに火花が引火したとみている。

 主に建設現場や工場で使われるアセチレンガスは可燃性で、高圧ガス保安法は風通しの良い場所で、40度以下の温度で保管するよう定めている。

 日本産業・医療ガス協会などによると、同法は、ボンベ所有者の氏名や名称、または所有者を示す番号をボンベに表示しなければならないと定めている。利用者は、中身のガスを使い切ると、ボンベを所有者に返却するが、中には返却せずに放置するケースもあるという。

 2021年5月には奈良県広陵町の建設現場で、破損した高圧ガスボンベから漏れたガスを吸うなどした男女20人が重軽傷を負う事故があった。ガスボンベは50年以上前から地中に埋まっていたとみられる。

 警視庁は江戸川区の事故で、業務上過失激発物破裂容疑などで現場検証し、工事業者の過失の有無などの捜査を進めている。捜査幹部は「ガスボンベが埋められた経緯も調べるが、60年前のものとすると、所有者をたどれるかどうか。高圧ガス保安法に抵触する可能性は高いが、時効が成立しているのではないか」と話した。 

現場検証をする警視庁の捜査員ら=5月28日、東京都江戸川区
現場検証をする警視庁の捜査員ら=5月28日、東京都江戸川区


現場検証をする警視庁の捜査員ら=5月28日、東京都江戸川区
現場検証をする警視庁の捜査員ら=5月28日、東京都江戸川区

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  • 被害に遭った住人のコメントに「地中にあるボンベが1本だけなのか分からないから、怖い」とあった。金属探知機などで確認できないかなぁ?
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