宇宙ベンチャー企業アイスペースの月着陸機=2024年9月、茨城県つくば市の筑波宇宙センター 宇宙ベンチャー企業アイスペースは6日早朝、独自開発した着陸機の月面への着陸に挑戦する。2022年に打ち上げた初号機は失敗しており、2度目の挑戦。成功すれば民間企業ではアジア初となる。
着陸機は今年1月15日に米スペースX社のロケット「ファルコン9」に載せて発射。多くの荷物を運ぶため、太陽の重力を利用するなどして燃料消費を抑える軌道を航行し、現在、着陸に向けた最終準備に入っている。
22年12月に打ち上げた初号機は、翌年4月に月面着陸に向け逆噴射を開始。しかし、高度計の測定値を処理するソフトウエアの誤作動により、高度5キロで燃料が尽きて月面に落下した。成功すれば民間では世界初の快挙となるはずだったが、その後、米2社に先んじられた。
アイスペースは今回、ソフトウエアの誤作動が起きないようシステムを改修。詳細な地形データを用いたシミュレーションで、高度計とソフトウエアの動作を確認するなどの対策を講じた。
着陸に成功すれば、搭載する月面探査車で「レゴリス」と呼ばれる月の砂を採取。レゴリスの所有権は米航空宇宙局(NASA)に有償譲渡する計画で、世界初の月資源の国際商取引に臨む。
着陸機は高砂熱学工業やユーグレナなどの実験機器も搭載しており、実験のサポートも行う。
アイスペースは月の水資源を活用し、人類が月で生活する世界の実現を目指している。当面は、宇宙開発に参入する顧客の荷物を月に輸送するサービスで、事業を軌道に乗せたい考えだ。

アイスペースの月着陸機(左)と月面探査車のイメージ図(同社提供)