宇宙ベンチャー企業アイスペース(東京)の月着陸への挑戦が再び失敗した。初回と同様、月周回軌道への投入までは順調だったが、最終的な降下の過程で飛行高度の測定タイミングが遅れた結果、減速が間に合わず月面に激突したとみられる。
月などのように、一定の重力はあるが大気のない天体への軟着陸は高度な制御が求められる上、降下や減速に必要な逆噴射を開始するとやり直しが利かない。地上からのコントロールは難しいため、着陸機は高度計で高度を測りながら、適切なタイミングで逆噴射を行う必要がある。
2023年4月の初回挑戦では、高度計の測定値を評価するソフトウエアの問題で、着陸機の推定と実際の高度との間にずれが生じ、降下途中で燃料が尽きて月面に落下。アイスペースは、ソフトウエアを改修するなどの対策を施していた。
今回の原因は調査中だが、高度を測定できたタイミングが計画より遅かったことが影響した可能性があるという。
計画では、高度10〜3キロで測定値を得て、減速に必要なエンジンを噴射するはずだった。しかし、実際に測定できたのは高度1.5〜1キロになってからで、計画よりもかなり速い速度で降下した可能性が高いことが分かった。
同社の氏家亮・最高技術責任者は6日の記者会見で「高度計測が遅れたことで、速度の補正が遅れ、しっかり減速できていなかったと考えられる」とした上で、「(エンジンなどの)推進系、ソフトウエア、他のセンサーに問題があった可能性も含め、多様なシナリオの中で有力な原因を絞っていく」と述べた。